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アルアインで悲願G1初制覇の松山 自信深める「今は注文がない。距離が延びても大丈夫」
2017/4/16(日)
69年ぶりとなる牝馬による皐月賞制覇に注目が集まったが、ゴール前の大観衆を釘付けにしたのは、黒、赤十字襷、袖黄縦縞の勝負服、9番人気の伏兵・アルアイン(牡3、栗東・池江寿厩舎)だった。
2000年以降、前走毎日杯からの参戦は馬券内は一度もなく、掲示板に載ったのは24頭中わずかに2頭と不振続き。そのデータを覆す見事な走りで、第77回皐月賞馬の栄誉に輝いた。その鞍上は今回が中央G1初制覇となった松山弘平騎手。平成生まれの騎手として、一番乗りでG1ジョッキーの称号を手にした。
先行馬が揃い、どの馬が逃げるのか注目スタート。最有力候補の最内マイスタイルは五分のスタートを切るも、馬なりのポジションを選び後方へ。ハナを主張したのは外枠勢力。テンのスピード勝るファンディーナが一旦は前に出るが、それを抑えるようにアダムバローズ、トラスト、そしてアルアインもこの集団に加わる。
外からクリンチャーがポジションを上げるのと同時に、ファンディーナの隣をキープするアルアイン。2コーナーに入っても隊列は落ち着かず、出たり入ったりを繰り返しながら向正面へ。前半1000mで刻んだラップは59.0秒。この辺りから半馬身ほどファンディーナの後方に位置して出方を窺う。
「ファンディーナを見ながらレースを出来たら、と思っていました。3、4コーナーの馬場が悪いところで、少し脚を取られる形になってヨレてしまいました。馬は頑張っていたのですが、人間が必死になり過ぎて迷惑をかけてしまいました」
4角手前でファンディーナが前を捕まえ、外へ出すタイミングでは譲るようにして内を選択。同厩舎ペルシアンナイトがその内から抜け出しを図り併せ馬の形で前を強襲。前を行くトラストとクリンチャーの外へ出したファンディーナが一旦先頭に立ち、会場のボルテージは一気に最高潮へ。
ペルシアンナイトはトラストとクリンチャーの間を突き、アルアインはクリンチャーとファンディーナの間から抜け出しを図る。更に外からは同じ勝負服のダンビュライトも末脚を伸ばし、残り200m地点では6頭が一進一退の攻防を繰り広げる。
「直線に向いてからは、いい脚を使ってくれ、しっかりと伸びてくれました」と松山騎手が振り返るように、残り100mで一伸び。ペルシアンナイトとともに抜け出し、最後は気力の争いといった感じ。ゴール前でクビ差前に出たアルアインが皐月賞を制し、勝ち時計はコースレコードタイの1分57秒8を計時した。
引き上げる際、拳を高く天に突き上げた鞍上は「ゴールしてからは信じられない気持ちでした。自分としては何度もチャンスがある馬に乗せて頂いたのに、なかなか勝つことができず、勝てて本当に嬉しいです」と喜びを露わにした。
「自在性がありますし、追ったらの伸びる馬です。直線の粘りもありますし、持久力もあります。とても乗りやすく、折り合いにも問題がないですから、距離が延びても問題ないと思います。現時点では注文はありません」と最大限の評価を与えた。
また、管理する池江泰寿調教師は管理馬がワンツーフィニッシュ。日本を代表するトップステーブルの存在感を改めて強調する結果となった。
「中2週でも大型馬。繊細なタイプではありませんし、飼い食いにも心配はなく、仕上げやすかったですよ。トレセンではちょっとやんちゃなのですが、オン・オフがしっかり付きます。パドックや馬場入りでもどっしりし、落ち着きがありました。それでいて、内に秘めた闘志が伝わってきましたね。
テンは少し速く、先行争いに巻き込まれそう。気持ち良く行きすぎるのが心配でしたが、2コーナーで落ち着き、いいポジションだと思いました。4コーナーで死んだふり。内を突いたのが良かったですよ。直線はペルシアンナイトだけを見ていて、気付かなかったのですが、おっ、来ていると確認し直しました」と少しおどけて話しながらも、満足そうな表情で語る。
母はBCフィリー&メアスプリントの勝ち馬で、1200m~1600mを中心に活躍。母系からも類まれなるスピードを受け継いでいる。
「短めの母系ですし、あのたくましい胸前や詰まった胴。先入観にとらわれ、適性はマイルにあると考えていたのですが、毎日杯はタフなレースでした。時計も優秀です。この舞台でも十分に通用すると感じていました。次はダービーになると思います。折り合いは付きますが、距離が延びても対応できる仕様に、しっかり馬をつくりたいですね」と、すでに視線は大舞台・日本ダービーへ向けた。
群雄割拠の様相から瞬く間に現れた新星は、ホースマンの最高峰をも制するのか。異色の挑戦が話題を呼んだ牡馬一冠は終わってみれば、異色のキャリアの持ち主が締めくくった。
JRAのイメージキャラクターを務める俳優の松坂桃李さんと
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