ソウルスターリングが女王奪還ルメール「今日はスペシャルな日」

ソウルスターリング

●5月21日(日) 第78回オークス(G1)(芝2400m)

3歳牝馬の頂点を決める伝統の1戦。今回で78回目を迎えるオークス(G1)は1番人気ソウルスターリング(牝3、美浦・藤沢和厩舎)が桜花賞の雪辱を果たす素晴らしい走りで栄冠に輝いた。

出走馬の多くが2400mは初の舞台。3歳牝馬のまだ若駒にとっては過酷なレース条件で行われる。6万人を超す大観衆が詰めかけたスタンド前から発走する注目のスタート。1枠2番に入ったソウルスターリングは抜群のスタートで飛び出すと、ハナを主張するフローレスマジックに前を譲ると2番手から長い直線を経て1コーナーへ入る。

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▲桜花賞3着の雪辱を果たしたソウルスターリング

外からミスパンテール、ヤマカツグレース、ブラックオニキスが体を併せに来るが、マイペースにレースを進める。「リラックスしてレースが出来た」と振り返る鞍上のC.ルメール騎手が話す通り、他馬のプレッシャーには見向きもせず。自分の競馬に徹する。

抜群の折り合いと手応えで向正面を通過するソウルスターリングを見て、管理する藤沢和雄調教師は「ペースもそんなに速くないし、向正面で勝ちを意識しました。これ以上遅くならなければと思いました」。1000mの通過タイムは1分1秒7。平均的なペースで流れ、4角手前から徐々に進出を開始。直線手前ではハナを行くフローレスマジックに並びかけた。

「ペースがそんなに速くなかったし、内で詰まるのは嫌だった。ちょうど抜け出すスペースが出来たから行きました」押し切りの構えで直線勝負へ。残り400m地点で先頭に立つと、ここから自分との戦い。

自身にとって今回がオークス初制覇となる藤沢和師は「直線は長く感じました。相手がいい脚で迫っていましたが、大丈夫だろうと思っていました」と緊迫する直線は、粘るフローレスマジックの後ろからモズカッチャンが猛追。他馬とは一定の距離を保ったまま差が縮まらず、2頭の叩き合いの展開に。

一時はモズカッチャンが前に出るも、更にそこから一伸び。ルメール騎手は、「直線では脚の送りもよかったです」と振り返るその脚は衰えることなく、府中の長い直線を突き抜け、見事オークス馬の栄冠に輝いた。

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母スタセリタとはフランスでコンビを組み、フランスオークスを制覇。異国の地で母と子の2代オークス制覇を成し遂げた。晴れやかな表情でルメール騎手は、「今日は特別な日になりました。母スタセリタでフランスオークスを勝った時も、2番手から抜け出して勝ちました。今日と同じような勝ち方でした。ソウルスターリングは母そっくりで、耳が大きいところもそっくり。体つきも似ているし、トビが大きいところも同じです」と勝利を改めて噛みしめるように語った。

そして、ひとつひとつ言葉を選ぶように藤沢和師は「桜花賞ではたくさんの方に応援していただいて、直線ではみなさんと同じように悲鳴が出るような想いでした。オークスはこれまでにもチャンスのある馬で出走させて頂いたのですが、2着3着と悔しい想いをしてきました。デビュー前から能力を感じていた馬ですし、勝てた事にファンのみなさんやオーナーさんに感謝したいと思っています」と31年目にして掴んだオークスの栄冠に喜びを表した。

加えて、この勝利で重賞100勝の大台を突破。「長い間やらせてもらっています。応援して頂いた方のおかげです。もう少しありますが、これからも頑張ります」と改めて引き締めた表情で語る。

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▲2年連続クラブ馬によるオークス制覇

今後については一旦休養を予定。距離に関してルメール騎手は、「タフなところがあるし、彼女ならこなしてくれると思っていたが、分からないので心配はありました。エネルギーを溜めて直線を迎えリラックス出来ます。血統的なところはわかりませんが、2000m辺りが一番だと思います」と中距離適性を高く評価している様子。

藤沢師は「オーナーさんと話してからですが、夏は休んで秋かと思います。(秋華賞へ向けて)東京でもいいレースがありますし、今後を見てから決めたいと思います」と展望を語った。

そして、ルメール騎手×藤沢和厩舎は来週に迫った日本ダービーでも引き続きタッグを組む。両人にとって悲願のダービー制覇。阪神JF・朝日杯FSを連勝した藤沢和厩舎。オークスとダービーでもその偉業を成し遂げるのか、来週も注目のコンビであることは間違いない。

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