5連勝で重賞制覇!グレイトパールが平安Sを4馬身差の圧勝!!【平林雅芳の目】

グレイトパール

17年5/20(土)3回京都9日目11R 第24回平安S(G3)(ダ1900m)

  • グレイトパール
  • (牡4、栗東・中内田厩舎)
  • 父:キングカメハメハ
  • 母:フォーチュンワード
  • 母父:デヒア

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全国的に真夏日となった土曜日。淀競馬場もアイスクリーム片手のファンを多く見かけたほど。乾いたダートで真っ白な砂煙が舞うコンディションのなか、直線で真っ先にゴールをしたのは、1番人気の支持を受けたグレイトパール。昨秋からダートへ転向してから負けなしの戦いであったが、重賞初挑戦でもその勢いは止まらず。2着に4馬身もの差をつけてのゴールだった。
その2着には4角ではブービーの位置にいたクリソライト。武豊Jらしい騎乗で、差しに回っての2着。3着に15番人気のマイネルバイカが入って、大荒れの結末となった。

建物のなかにいればヒンヤリとして気持ちがいいのだが、パドックで馬を見たり観戦のために日向に出てくれば、《ジ・ジ・ジ~》と音がして焼けそうなほどの真夏日である。元々、淀は夏はかなり暑いところではあるが、今日は全国的にその傾向にある様だ。
芝は先週と違って高速決着が続き、ダート戦は観ていてもこちらまで埃っぽくなってくる程に、馬が走った跡を砂煙が追っていく。
コパノチャーリーがいるから、ケイティブレイブは先手をすぐには取れないな、どう乗るのかな~と、ゲートからその2頭を見ていた。 眼の前を通っていく馬群の中に、クリソライトはいない。何と後ろから2頭目、前からだいぶ後ろで、砂煙の中にいた。やっぱりコパノチャーリーが先手を取って行った。ケイティブレイブは、大外枠のせいで最初のカーブにはドリームキラリの後、3番手で入った。その後ろにアスカノロマン、ロワジャルダンと続き、馬群の真ん中あたりにグレイトパール。それをマークする形でグレンツェントが続き、ピオネロが後ろから3頭目、ブービーがラストインパクトで、ドンジリがクリソライトで廻って行く。

しかし次の2コーナーへ入るまでに、ケイティブレイブがハミをグーンと噛んだかの様に行きだし、前のドリームキラリのすぐ外まで出して行く。さらに向こう正面に入ったあたりで、ケイティブレイブは外から前へと並びかけて出ようとする。するとコパノチャーリーの松若Jが意地でも前に出させない、自分が先手なんだと主張して抵抗するかの様に、押して押して先頭をキープしていく。後でPVで見ると、何とステッキを使った馬をうながすシーンもあった。
一度でも前へと出たケイティブレイブが譲る訳もなく2頭が並びながら、いや外のケイティブレイブが体半分ぐらい前に出て、3コーナーへと入って行く。ドリームキラリはもう脱落気味で、3番手グループに吸収された。同じ向こう正面で馬群の真中あたりにいたグレイトパールが、時を同じくして前へ前へと進出をしていく。先に動いて行ったロワジャルダンを追いかける様に外目を上がって行き、5番手集団の外目まで進出して3コーナーへと入って行った。

3コーナーを過ぎて4コーナーへの中間地点では、外のケイティブレイブが半馬身ぐらい前に出て行く。内のコパノチャーリーがすでに追って追っているのに、ケイティブレイブは涼しい顔をして前へ出て勢いづいて、最後のカーブへと入って行った。
まだ内でコパノチャーリーは粘っているが、手がかなり動いて余力はない。3馬身離れてロワジャルダン。すぐ隣りへグレイトパールがエンジン全開で並び、そして前へ前へと上がって行く。クリソライトは、相変わらず後ろの砂煙の後。
4コーナーヘ、ケイティブレイブは単独で入って来た。だがすぐ後ろまでグレイトパールが忍び寄ってきていた。早めに動いたグレイトパール。ケイティブレイブが相手と見ていたのか、早めの仕掛けで直線へ入ってきた。後ろとは少し間が開いた感じである。

ケイティブレイブの後ろに取りついたグレイトパール。うながしてうながして、前を行くケイティブレイブに並びかけたのが、ラスト1ハロンにかかる少し手前。そこで川田Jは右ステッキを入れて、さらに前へとグレイトパールをいざなう。再びステッキを2発ほど入れた後は、流し気味でのゴールであった。
最後の1ハロンだけが12.9であり、道中は12秒台の前半のラップを刻んだ先行馬には辛い流れであった。だからケイティブレイブの粘りには驚く。枠が内であり自身で先手を取っていたら、松若Jの抵抗がなくスンナリ雁行の行きっぷりだったら。タラ・レバは競馬では通用しないが、この着順と流れを振り返ると、何と粘っこい馬なんだな~と改めて思えるものであった。

クリソライトのこの変貌ぶり。内々を廻って脚を貯めたにしろ、マイネルバイカの突っ込み。そして何と言ってもグレイトパールの強さであろうか。
4歳馬グレイトパールの重賞初挑戦での勝利。これからのダート界に新星が表れたと言っても過言ではなかろう。はたして次走、帝王賞で古馬の先輩相手にどこまでやってのけるのか興味はつきないダート界なのである。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。