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最後まで何とか粘りとおした!ステイインシアトルが初重賞【平林雅芳の目】
2017/6/6(火)
17年6/3(土)3回阪神1日目11R 第70回鳴尾記念(G3)(芝2000m)
- ステイインシアトル
- (牡6、栗東・池江厩舎)
- 父:ステイゴールド
- 母:シアトルサンセット
- 母父:Belong to Me
水曜朝に武豊Jが坂路へ向かう車中で、『逃げ一車だね~』と競輪用語で言う。続いて『スマートレイアーが54キロで出れるのだ~』とも言った。目黒記念を予定していたステイインシアトルを、距離が合わないからと鳴尾記念を進めた。その後でスマートレイアーがここを使うと聞いた、がすでにオーナーサイドに告げてあるのだから、乗り替えは出来る訳もない。スマートレイアーに負けるのは辛いな~と思いながらの観戦であった。 そのステイインシアトル、眼の前を4コーナーへと返し馬をしていく恰好を見て、《大丈夫?》と思えるほどに後脚がついてこない。前だけで走っている格好で、決していいキャンターとは言えない。その時点で馬券を買うなら対象外にするだろうと思えるもの。
バンドワゴンが先手を取って逃げ切ったのを見た事もある。またスマートレイアーがミルコに導かれてスイスイと逃げ切ったのも知っている。だからスタンド前を9頭を後ろに従えて先頭で通過していくのが、実に嬉しかった。ルメールもミルコも先手を考えなかった様である。逆に松山のミュゼエイリアンが《やけに来るな~》とボヤきながら、双眼鏡で追いかけていた。 3角を過ぎて、ますますミュゼエイリアンが付いてくる。4コーナー手前でさらに接近する。外からスマートレイアーの姿が見えた。直線に入ってきて一旦、後ろの馬達に並ばれたかの様に見えたが、それは錯覚だったのか。場内アナウンスに押されて、ステイインシアトルが何とか粘る。でもゴール前のスマートレイアーの脚色を見ていると、とてもじゃないが交わされたと思って、階段を急いで降りる途中で『ステイインシアトルが残しました』とのアナウンスを聞いてひと安心。
枠場で馬が周回をしている時に池江師が『ほら、あの腰を見てください、右が落ちているでしょう。股関節が本当でないんですよ。バランスが悪い。あれでこれだけ走るのだから、ちゃんとしたらもっとやれる馬なんですよ~』と説明してくれた。知れば知るほど、馬って難しいと思える。そしてウイナーズサークルへ、歓喜のまま馬達は去って行った。
じっくりとPVを見る。バンドワゴンは、道中で馬がやや行きたがっている。『バンドワゴンの位置がミルコは欲しかっただろうな~』と誰かが解説する。バンドワゴンをマークして行った訳でもなかろうが、ミュゼエイリアンがひとつのアシストとなったのもあっただろう。 しかし何よりも、ステイインシアトルの頑張りにある。武豊Jが『たまにはこんな事もないと…』。とウイナーズサークルへ行く時のこのひと言が、全てであろう…。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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