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重賞メモランダム【弥生賞】
2010/3/9(火)
またしても雨に見舞われた先週の中山。メインにはクラシックへの重要なステップ、弥生賞が組まれているのに、日曜の入場人員は2万8000人余りだった。スタンドも閑散とし、まだまだ冬競馬の趣。暖かい日差しが恋しく思えてしまう。
それでも、春が来ない冬はない。レースの売り上げは前年比で105%。不景気は底を打ち、緩やかに回復基調にあることが伝わってくる。自宅でグリーンチャンネルにかじりついてた人も興奮しただろうし、ウインズにも大歓声が巻き起こったに違いない。実力馬による手に汗握る戦いこそ、競馬熱が盛り返す原動力。中身の濃い弥生賞に、競馬の未来もそう暗くないと思えてきた。
今開催より、しばらく温存された内ラチ沿いが走りやすいAコース。雨が降っても、使用2週目ならば、インが伸びる傾向は変わらない。弥生賞も、馬番1、3、2の順にワン・ツー・スリー。
ヴィクトワールピサ(牡3、栗東・角居厩舎)は、着差(半馬身)以上に強さを感じさせる勝ち方だった。
そつなく経済コースで脚を温存。直線は抜け出すスペースがなく、場内がどよめくシーンもあったが、4着・ダイワバーバリアン(牡3、栗東・矢作厩舎)の脚色が鈍ったのを見て外に持ち出すと、瞬時に先頭に踊り出た。
「初めて跨ったときから、クラシックを意識してきた馬。一戦ごとに課題をクリアでき、いいかたちで本番も迎えられる」と、武豊騎手も満足そうに話す。長距離輸送も、重馬場も、初の中山コースも、馬群で我慢させる戦法も、楽々と克服した。新馬で唯一の敗戦を喫したのが、2歳チャンピオンに輝いたローズキングダム。皐月賞での直接対決が楽しみでならない。
ヴィクトワールピサの父は、サンデーサイレンス系のなかでもやや硬めの体で、パワーにあふれるネオユニヴァース。重巧者が多く、極悪馬場でダービーウイナーとなったロジユニヴァースらがファーストクロップである。産駒による2年連続のクラシック制覇が見えてきた。母はホワイトウォーターアフェア。半兄に安田記念に勝ったアサクサデンエン(父シングスピール)やスウィフトカレント(父サンデーサイレンス、小倉記念優勝など)がいる良血である。
「数多くの素質馬が育成される社台ファームでも、トップクラスとの評価を受けていた馬。2歳年長の兄、トーセンモナーク(父アグネスタキオン、現1600万下)も管理していますが、早い時期に動き出す系統ではありません。ところが、馬格が雄大でありながらも全身を無駄なく使え、手元に来た時点でも軽さが際立っていたんです。まだ伸びる余地がたっぷり残されていますし、こちらとしては、精神面を整えることや柔軟性を高めて故障させないことに全力を注ぐだけ」と、角居勝彦調教師。
厩舎の代表格、ウオッカの引退が発表された直後、次世代のスターが狙いどおりにクラシックへ王手をかけた。師のほっとした表情が印象的だった。
2着のエイシンアポロン(牡3、栗東・岡田厩舎)も、枠順だけが好走の要因ではない。コロんとした体型だが、この距離でも走れるバックボーンを持つ。同馬はアメリカ産で、レースを重ねながら強さを増した〝アイアン・ホース〟、ジャイアンツコーズウェイが父。わずか3か月間でGⅠを5連勝し、初ダートのブリーダーズCクラシックでもクビ首の2着した名馬である。母は、2歳時にアイルランドのGⅡ、デビュタントSを勝ったシルクアンドスカーレット(その父サドラーズウェルズ)。大舞台向きの底力を秘めた重厚な血筋だ。パワフルな走法で、道悪も鬼である。
「好位での競馬は想定どおり。スムーズに折り合えた。2000mは初めてだったけど、こなせることがわかったのは収穫。皐月賞ではもっといい走りを披露したい」と、池添謙一騎手も前向きに話した。ヴィクトワールピサとの勝負付けは済んだように思えるが、前で運べる強みを生かせれば、本番でも好勝負に持ち込める。
3着には、7番人気のダイワファルコン(牡3、美浦・上原厩舎)が滑りこんだ。
「行けるよね。これで皐月賞だね」と、上原博之調教師はガッツポーズ。無欲の挑戦で、1冠目の出走権を獲得した。スローペースにもかかわらず、上位2頭とは決定的な差が開いた。ただし、まだ精神面が若く、前の馬を追い抜くのを嫌がる癖がある。まだ伸びる余地をかなり残していることは確かだ。
3番人気のアドマイヤテンクウ(牡3、栗東・松田博厩舎)は、前半から手応えに余裕がなく、ずるずる後退して11着。
「返し馬の時点から、いつものフットワークではなかった。肩ムチで怒らせ、ハミを噛ませようとしても、ずっとふわふわして」と、安藤勝己騎手。馬場も響いたのだろうが、一気に20キロも体重を減らし、状態が本物でないように映った。この時期の大敗は痛い。
弥生賞終了時で、クラシック戦線に大きな変動はなし。細部の序列を少し手直しすれば良い。ますます来週に迫るスプリングSが重要になってきた。
それでも、春が来ない冬はない。レースの売り上げは前年比で105%。不景気は底を打ち、緩やかに回復基調にあることが伝わってくる。自宅でグリーンチャンネルにかじりついてた人も興奮しただろうし、ウインズにも大歓声が巻き起こったに違いない。実力馬による手に汗握る戦いこそ、競馬熱が盛り返す原動力。中身の濃い弥生賞に、競馬の未来もそう暗くないと思えてきた。
今開催より、しばらく温存された内ラチ沿いが走りやすいAコース。雨が降っても、使用2週目ならば、インが伸びる傾向は変わらない。弥生賞も、馬番1、3、2の順にワン・ツー・スリー。
ヴィクトワールピサ(牡3、栗東・角居厩舎)は、着差(半馬身)以上に強さを感じさせる勝ち方だった。
そつなく経済コースで脚を温存。直線は抜け出すスペースがなく、場内がどよめくシーンもあったが、4着・ダイワバーバリアン(牡3、栗東・矢作厩舎)の脚色が鈍ったのを見て外に持ち出すと、瞬時に先頭に踊り出た。
「初めて跨ったときから、クラシックを意識してきた馬。一戦ごとに課題をクリアでき、いいかたちで本番も迎えられる」と、武豊騎手も満足そうに話す。長距離輸送も、重馬場も、初の中山コースも、馬群で我慢させる戦法も、楽々と克服した。新馬で唯一の敗戦を喫したのが、2歳チャンピオンに輝いたローズキングダム。皐月賞での直接対決が楽しみでならない。
ヴィクトワールピサの父は、サンデーサイレンス系のなかでもやや硬めの体で、パワーにあふれるネオユニヴァース。重巧者が多く、極悪馬場でダービーウイナーとなったロジユニヴァースらがファーストクロップである。産駒による2年連続のクラシック制覇が見えてきた。母はホワイトウォーターアフェア。半兄に安田記念に勝ったアサクサデンエン(父シングスピール)やスウィフトカレント(父サンデーサイレンス、小倉記念優勝など)がいる良血である。
「数多くの素質馬が育成される社台ファームでも、トップクラスとの評価を受けていた馬。2歳年長の兄、トーセンモナーク(父アグネスタキオン、現1600万下)も管理していますが、早い時期に動き出す系統ではありません。ところが、馬格が雄大でありながらも全身を無駄なく使え、手元に来た時点でも軽さが際立っていたんです。まだ伸びる余地がたっぷり残されていますし、こちらとしては、精神面を整えることや柔軟性を高めて故障させないことに全力を注ぐだけ」と、角居勝彦調教師。
厩舎の代表格、ウオッカの引退が発表された直後、次世代のスターが狙いどおりにクラシックへ王手をかけた。師のほっとした表情が印象的だった。
2着のエイシンアポロン(牡3、栗東・岡田厩舎)も、枠順だけが好走の要因ではない。コロんとした体型だが、この距離でも走れるバックボーンを持つ。同馬はアメリカ産で、レースを重ねながら強さを増した〝アイアン・ホース〟、ジャイアンツコーズウェイが父。わずか3か月間でGⅠを5連勝し、初ダートのブリーダーズCクラシックでもクビ首の2着した名馬である。母は、2歳時にアイルランドのGⅡ、デビュタントSを勝ったシルクアンドスカーレット(その父サドラーズウェルズ)。大舞台向きの底力を秘めた重厚な血筋だ。パワフルな走法で、道悪も鬼である。
「好位での競馬は想定どおり。スムーズに折り合えた。2000mは初めてだったけど、こなせることがわかったのは収穫。皐月賞ではもっといい走りを披露したい」と、池添謙一騎手も前向きに話した。ヴィクトワールピサとの勝負付けは済んだように思えるが、前で運べる強みを生かせれば、本番でも好勝負に持ち込める。
3着には、7番人気のダイワファルコン(牡3、美浦・上原厩舎)が滑りこんだ。
「行けるよね。これで皐月賞だね」と、上原博之調教師はガッツポーズ。無欲の挑戦で、1冠目の出走権を獲得した。スローペースにもかかわらず、上位2頭とは決定的な差が開いた。ただし、まだ精神面が若く、前の馬を追い抜くのを嫌がる癖がある。まだ伸びる余地をかなり残していることは確かだ。
3番人気のアドマイヤテンクウ(牡3、栗東・松田博厩舎)は、前半から手応えに余裕がなく、ずるずる後退して11着。
「返し馬の時点から、いつものフットワークではなかった。肩ムチで怒らせ、ハミを噛ませようとしても、ずっとふわふわして」と、安藤勝己騎手。馬場も響いたのだろうが、一気に20キロも体重を減らし、状態が本物でないように映った。この時期の大敗は痛い。
弥生賞終了時で、クラシック戦線に大きな変動はなし。細部の序列を少し手直しすれば良い。ますます来週に迫るスプリングSが重要になってきた。
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