研究員ヤマノの重賞回顧

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6/17日(日)、阪神競馬場で行われたマーメイドS(3歳上牝、G3・芝2000m)は、中団からレースを進めた武豊騎手騎乗の2番人気ディアチャンス(牝6、栗東・清水出美厩舎)が、最後の直線で逃げていた3番人気シェルズレイを交わすと、そのまま脚を伸ばして優勝した。勝ちタイムは1分58秒4(良)。
2着には1.1/4馬身で5番人気サンレイジャスパーが、3着にはさらにクビ差で6番人気ソリッドプラチナムがそれぞれ入線した。

なお、安藤勝己騎手騎乗の1番人気コスモマーベラスは8着に敗退した。
スタートで、シェルズレイは二の脚を使ってハナを奪うと、コーナーワークを利用して後続を大きく引き離す大逃げを打った。みるみるうちにその差は8馬身ほどに広がった。
息の入らないハイペースだったが、最終コーナーを回っても後続との差はまだ4、5馬身ほどある。逃げ切りもあるかのようにさえ思えた。
しかし、ここからレースが動き、結果、好位4、5番手につけて流れに乗ったディアチャンスが、内ラチ沿いから脚を伸ばし快勝したのだが、2着、3着馬はいずれも差し・追い込み馬となった。

逃げ先行勢は壊滅となった、そんな今年のマーメイドSだったが、それぞれの鞍上の思惑が、見事に反映された結果となったように思える。
実は開幕初日の土曜阪神レースでは1、2着馬の大半は逃げ先行馬で占められており、追い込みが利かないという顕著な傾向が現れていた。
開幕週ということで基本的には先行勢にアドバンテージがあるにせよ、当然、心理的には誰もが早め早めのレースを心がけるようになり、それがオーバーペースを誘発し、このような結果が生じることがある。
あくまでも仮定の話となるが、シェルズレイがあそこまで掛からなければ全く違った結果が出ていたはずだ。
2着サンレイジャスパーはともかく、3着ソリッドプラチナムはなかったはずだ。
ここまでハッキリした形ではないにせよ、過剰意識により逃げた馬が潰れたレースは福島などでも見られた。
総じて、前に壁を置いた形の好位勢が好走したレースが多かったように思う。
このあたりがレースの妙である。
トラックバイアスを読む事はもちろん重要だが、それに人の思惑が絡んでくるとまるで思わぬ結果が生まれることがある。
同じ条件下で行われるレースでも、午前と午後では傾向がまるで違うことも少なくない。
微にいり細にいり、刻々と変わり行く状況を把握する事が大切だと実感させられた今年のマーメイドSだった。