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リスグラシューが馬群を割る、今年の初陣を快勝!!【平林雅芳の目】
2018/2/6(火)
18年2/4(日)1回東京3日目11R 第68回東京新聞杯(G3)(芝1600m)
- リスグラシュー
- (牝4、栗東・矢作厩舎)
- 父:ハーツクライ
- 母:リリサイド
- 母父:American Post
ひとつ前のレースから芝は《良馬場》に回復。時計のかかる良馬場である。トウショウピストの逃げから始まったが、1000m通過が1分ジャストとゆったりの流れ。決め手勝負となった直線での凌ぎ合い。横に並ぶ馬の間から脚を伸ばして出たのはリスグラシュー。1年半前の3歳牝馬重賞では外から来たが、今回は馬群の中で我慢させてと収穫が大の伸び脚である。内から鋭く伸びてきたG1馬のサトノアレスを1馬身置いての勝利。今年の第一戦をいい形で飾った。
新宿からの車窓に雪が目立ちだす。日陰にはしっかり残っていた。競馬場の2コーナーの向こうにあるゴルフ場のフェアウェイも、しばらくはプレーが出来そうもない。関東圏はかなり寒い。 パドックに陣取ってしっかりと馬を見る。覆面をしている馬の数をチェックしたり、いろいろとメモっておく。リスグラシュー、大幅馬体増を予想していたが4キロの微増だ。それと最近になくテンションが高い。
返し馬を見るために、急いでいつもの場所へ戻る。馬場入場をしてキャンターに移るのが見える絶好のビューポイントだ。《ふーん、この馬はこんな走りをするんだ~》とか、《アレレ!、この馬、けっこう硬い走りをするな~》と思いがけない情報が手に入る。 ダイワキャグニーが先入れで、いち早くキャンターで向こう正面へ行った。サトノアレスが、何か雰囲気がいいな~と感じてしまう。
ゲート内でリスグラシューが一旦、前へと行き、後ろへと戻ってきた時にゲートが開いた。その分で少し遅れ気味となる。出遅れではないが、武豊騎手持ち前の好ダッシュとは行かなかった。マイネルアウラートの出が早く、内からディバインコード、外からグレーターロンドンも顔を出してきた。白い馬体、ダノンプラチナが少し遅れ気味の出だった。 スルスルっとトウショウピストが前へと出て、トップへと出て行く。ディバインコードが1馬身差の2番手、外からマイネルアウラートとグレーターロンドンが並んで前へと出てきた。リスグラシューは同じ勝負服のクルーガーと6、7番手、外にダイワキャグニーがいる。ゆったり、ゆったりと流れは進む。かなりのスローペースで推移して行きそうだ。
3コーナーあたりで首を振るリスグラシューではあったが、その後は巧く折り合いついて馬の中にいる。ダイワキャグニーが少しだけ前に出て、その内で息を潜めている感じだ。 前と最後尾がポツンと1頭ずつ馬群と2馬身ぐらい離れているが、あとは1馬身間隔での縦に長い隊列で進む。 前半3F、35.4。1000m通過が1分ジャストのスローペースで4コーナーを廻ってきた。カーブを廻って全貌が見えだした。 グレーターロンドンが、持ったまま前に並ぶ。内のマイネルアウラートとの間が開いている。思わず《そこ、そこっ!》と口から出ていた。染め分け帽のキャロット勝負服が、その間に入ってきた。ラスト200、右ステッキをクルクルっと廻して手の中に収めた武豊騎手が追いだす。内のディバインコードのさらに内から、サトノアレスの姿が見え始める。外からがダイワキャグニーも伸びてきた。
追いすがる馬達を後目に、1馬身の差と余裕を持ってゴールへと入ったリスグラシュー。時計をみると1.34.1で、上がり3Fも34秒1だった。 フーッと大きな息を吐いて、エレベーターで地下道へと降りる。バスから降りてきた北口君とガッチリ握手して馬を待つ。 調教師が続々と降りてくる。藤沢和師に、『おめでとう!』と言われた。その時点では2着がサトノアレスとは知らなかった。やがて姿を現した矢作師とも握手。そして枠場へといそいそと駆けつける。
検量室前を少し入ったあたりで、武豊騎手へ《うるさかったな~》と声をかける。矢作師が『あれだけ時計を出したら~』と笑いながらこちらを向く。すると武豊騎手が、『出した~のではなくて、出すぎたの~』と受ける。このやりとりが面白い。 それほどに、パドックからややテンションが高かったリスグラシュー。秋は《ほぅ~》と思えるほどに落ち着きをみせていた彼女だったが、今回はややスイッチが入ったかの様であった。返し馬を終えてポケットに向かっている時も、けっこううるさかった。 それと、ゲートの出がもうひとつ。ゲート内でもうるさい様だ。次はもっと落ち着いてくれるだろう。だが、まずは今年の初陣を、いい形でスタート出来たことが大きい。もちろん帰りの新幹線では爆睡でした…。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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