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《金の夢》ではなくて『ノンコの夢』だった!!【平林雅芳の目】
2018/2/20(火)
18年2/18(日)1回東京8日目11R 第35回フェブラリーS(G1)(ダ1600m)
- ノンコノユメ
- (セ6、美浦・加藤征厩舎)
- 父:トワイニング
- 母:ノンコ
- 母父:アグネスタキオン
1000m通過が58.3と急流を造ったニシケンモノノフ。それを追走するケイティブレイブ、テイエムジンソクもそこへ加わる。4コーナーで後ろを少し離して入った先行集団だが、さすがに脚も上がる。前と後ろがガラリと入れ替わっての追い合いとなった。 早めに追いだしたゴールドドリーム。だがその外からノンコノユメが長~い脚を使って、かわしての戴冠。その2頭の内をインカンテーションもしぶとく迫ったが、クビ・クビの3着。そこから3馬身離れてサンライズノヴァ。今年は完全に差し馬の流れとなった…。
ニシケンモノノフは、昨年のこのレースで2番手から5着。今年は前走で1200芝を使っていることからも、先手主張はあり得ると。ノボバカラが絶対先行と報道されていたが、そこはどうかなと。内枠だけにケイティブレイブも出して行ったが、1ハロン行ったあたりでテイエムジンソクが外からすぐに来て、3頭が並びこそしないものの速い流れで行く。ノボバカラが続き、少し離れた5番手のインに地方馬のララベル。そこから2、3馬身離れてベストウォーリアが先頭となる第二集団。その最後方がキングズガード。ノンコノユメはスタートしてすぐに外へとだして行く。その少し前にゴールドドリームとレッツゴードンキがいた。
テイエムジンソクは、パドックでややテンションが高かった。周回を重ねても治まらなかった。ゴールドドリームも少しテンションが高め。そして馬場には一番先に入って行った。 ノンコノユメはいつもパドックで思うのだが、このスリムな体型でダートがいいのかと感じるもの。まるで牝馬かと思えるラインだ。大概、ダート馬は腹袋のユタっとした体形をしている。このノンコノユメはいつも戸惑される馬である。そのノンコノユメがゴールドドリームの外から渾身の伸び。平昌オリンピックにならえば、『復活の金』であろうか。
ノンコノユメは、ルメール騎手とのコンビで大井JDダービーを制覇。その3歳秋も武蔵野Sを勝ち、チャンピオンSで2着。古馬になった翌年は、1番人気の支持で臨んだフェブラリーSではレコード勝ちのモーニンの2着、そこから勝てない日々が続き、帝王賞の後には去勢手術。すぐには結果が出ずに、昨年のフェブラリーSの後に長い休養でリセット。昨秋の武蔵野Sから復帰してウチパク騎手を背に迎えた今年の初陣、根岸Sで見事に久々の美酒。そして今回である。3歳時にはトップを走っていた馬が、低迷期から再びトップの座に還っただけなのである。
もう少し、今年のレースの分析をさせて欲しい。過去10年で一番早い1000mの58.3。一昨年の時はレコードが出る馬場状態であり、今年はパサパサとして砂ぼこりが立つほどの乾きであった。何よりも最後の1ハロンの12.8は、この10年でも一番遅い数字である。それだけ前へ行った3頭が緩みない流れを造ってしまい、追走する馬も全てが息切れ。後ろで脚を貯めていた馬が上位に来た流れである。そこを読み切った者が勝ったものであろう。 終わってみれば、実力馬が復活と簡単な図式なのであった。そして最近、とみに感じるのは、東の勢いが良すぎること。関西馬が頑張らねばと、節に思うものであった…。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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