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『大きなハナ差』、ジュールポレールがG1初勝利!【平林雅芳の目】
2018/5/15(火)
18年5/13(日)2回東京8日目11R 第13回ヴィクトリアマイル(G1)(芝1600m)
- ジュールポレール
- (牝5、栗東・西園厩舎)
- 父:ディープインパクト
- 母:サマーナイトシティ
- 母父:エリシオ
ひとつ前のレースから芝もダートも稍重の発表となった東京競馬場だが、実際はもっと悪くなっていたかも知れない。昼過ぎから細かい雨が落ちてきて、空も暗い。ヒンヤリとして、肌寒さまで感じるほど。人の出も悪く場内はまばら、それでも4万人だと言うのだから関東圏は違うと感心。 そんな悪天候下で行われたヴィクトリアマイルは、リスグラシューの猛追をハナ差凌いだジュールポレールが、昨年3着から今年は見事に栄冠に輝いた!・・。
9Rの時はまだ雨粒も知れていたが、ダートの10R青竜Sの時にはしっかりと降ってきた。それでもパドックへと足を向けたが、いつも見させて貰っている場所は空に覆いがないところ。さすがに無理と馬の出入り口の雨がギリギリのところまで出て、周回する馬を見ていた。リスグラシューの北口君がこちらを発見してくれて、アイコンタクトを交わす。馬体は450キロと、大台を確保してくれているのが嬉しい。 2、3周で早めに切り上げる。古馬の牝馬、よほどの事でもないかぎりに乱れない。とてつもなく入れ込む馬なんていない。気配も馬の毛艶も皆、悪かろうはずがない。返し馬を最初から観る方が肝心だ。
パドックを終えて馬場入場だが、先に入ってきた馬が4頭もいた。真っ先にデアレガーロ。そしてカワキタエンカ、アドマイヤリードにソウルスターリング。眼の前を通って1コーナーへと走り去って行き、ポケットへと納まる。そこからしばらくして各馬の入場だ。 眼の前をいいキャンターで走り去って行く馬達。リスグラシューも申し分ない出来と見た。《後は枠順だけか~》と心の中でつぶやく。
ゲートはクインズミラーグロが大きく悪かった。膠着気味のスタートか。デアレガーロ、エテルナミノル。そして内のミスパンテールもあまりダッシュがなかった。リエノテソーロが出を伺う。中からカワキタエンカとレーヌミノルが顔を出して来た。レッドアヴァンセが4番手、レッツゴードンキ、そしてアエロリットも好位の7頭目。その内にジュールポレールがいて、ミスパンテール。ソウルスターリング、リスグラシューと続く。
2ハロンぐらい行ったあたりで、カワキタエンカが単独の先手となっている。中団の内目をアドマイヤリードがポジションを上げて、リスグラシューの前あたりに収まる。流れはすでにゆったりモードだ。 馬群の中で、ミスパンテールがガツンと噛んで行きたがっているのが見える。その外のジュールポレールが、涼しい顔をして折り合っているのが対照的だ。ほとんどの馬が動きをみせないまま、最終カーブまで来た。 先頭のカワキタエンカが、外へ張りながらカーブを廻る。アエロリットが3番手の外へ来ている。そして全部の馬が見えだした直線入口。リスグラシューはちょうど馬群の真ん中、空間の中に納まっている。馬場の内目を各馬が選択している。そんなに荒れていないとの判断なのであろう。
当然にリスグラシューを中心に見つめている。 ラスト400m、ジュールポレールの真後ろまで来ている。そこから外へと出していく。外のソウルスターリングとの間を突こうしている。前はレッドアヴァンセが勢いづいて、アエロリットを交わしそうだ。まだ、どの馬にもチャンスがありそうな各馬の伸び具合で、ジワジワとしか伸びていかない。
リスグラシューがエンジン全開となって前を追う。少し先を行くジュールポレールが内へもたれだした。 レッドアヴァンセが先頭となって押し切りそうだが、内へもたれていたジュールポレールが再び前へと伸びだした。リスグラシューもいい伸びを見せだしているが、前との間隔があり過ぎる。《届くのか!》と心の中で叫んでいる私。 ゴールが近づく。内からアエロリット、レッドアヴァンセにジュールポレール、そして外、リスグラシューと大接戦である。だがジュールポレールが僅かに先んじていた様に見えた。リスグラシューはゴール板を過ぎてから、一番前に出ていたが・・。
検量室前の枠場の一番手前に、西園師が馬を待っていた。思わず握手をしてしまう。続いて山本康二助手にも握手をする。勝者を称えるのが当然である。 隣のリスグラシューはすでに枠場に収まっているから駆けつける。矢作師、北口君、そして武豊騎手。多くを語らないが、その気持ちだけは判るつもりだ。
検量室の中へと入って行った。ハナ差負けであるが、『大きなハナ差』負けである。ジュールポレールも前走の阪神牝馬Sの直線で大きな不利を被った馬であり、それでもコンマ2しか負けてないのは知っていた。昨年3着の先輩馬である。枠順にも恵まれてリスグラシューの一列、二列ぐらい前でレース出来ている。相手に運があったと言うことだろう。悔しいが仕方あるまい。これも競馬だ!・・・。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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