天皇賞・春/平林雅芳の目

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日曜京都10R
天皇賞・春(GⅠ)
芝3200m
勝ちタイム3.15.7
勝ち馬
ジャガーメイル(牡6 美浦・堀厩舎)

『スゴイデスネ~、すごいですね~』と引き上げてきた。

随一、勝者だけに許されるウイニングラン。ジャガーメイルとウィリアムズJがスタンド前に帰ってきた。そして大観衆に向けて、もっと称えてくれのパフォーマンスだ。左手を上に挙げ、『もっと、もっと!』とうながした。
やがてコースを出て検量室前の方へと戻ってくる時に、カタコトな言葉で『スゴイデスネ~、すごいですね~』と数回言っているのが聞こえた。
枠内に収まる時もそのつぶやきが聞こえたが、後は拍手やシュプレヒコールに消されて聞こえなくなった。
『フーン、しっかり日本語を覚えてきたんだ・・』と改めて感心させられた一瞬だった。

場内アナウンスが『3時現在で7万5000の人が入りました京都競馬場です』と告げると、ドッと場内が沸いた。見渡すかぎり、人、人、人で埋め尽くされている。快晴の淀競馬場。絶好の競馬日和だ。
3コーナー手前からのゲートに続々と馬が入り、今年の天皇賞のスタートである。

いきなり、内のフォゲッタブルがあまりいいスタートでないのが判り、また場内がドッと沸いた。ミッキーペトラの逃げは皆が想像していた事だが、マイネルキッツがこの位置、2番手を前向きに行くとは思ってもいなかった。

やや先頭が後続を離して、2番手グループが4頭ぐらい。
その後ろめにテイエムアンコール。そしてそこから少し開いたところにジャガーメイル。その後ろにフォゲッタブルが、マークする様な位置にいた。

2コーナーを廻る時に、一番後ろがジャミールにもまた驚いた。
2コーナーを廻ったあたりで、先頭のミッキーペトラと2番手グループがもう差がなくなった。
徐々にメイショウドンタクが位置を上げていくのが見えた。

2度目の3コーナーを廻り、坂の下りに入って行くが、中団からの動きに変わりはない。むしろ前でマイネルキッツが先頭に踊り出ようかという勢い。それをメイショウドンタクが交わすのかという動きだったが、思いとどまったのか、前には出なかった。

4コーナーを廻った。ジャガーメイルがスッと前との差を詰めて接近して、メイショウドンタクのそばに上がってきていた。
直ぐ後ろに位置していたフォゲッタブルは、その動きについていけないのか離れてしまった。

直線に入って、マイネルキッツはもう先頭で、4、5馬身前にいる。メイショウドンタクと同じ位置に上がってきて4コーナーを廻ったジャガーメイルが、ジワジワっと前との差を縮めて行った。
マイネルキッツとはかなりの差があり、松岡Jが渾身のステッキをふるっている。
『果たしてジャガーメイルは届くのかな』と思う間もなく、差が詰まり出した。そして並び、ジャガーメイルが前に出た。
後ろの方のジャミールとかフォゲッタブルを見たが、伸びがそれほどに鋭くない。むしろ、内からエアジパングや、馬場の真ん中をナムラクレセントが伸びだしてはいるが、メイショウドンタクを脅かすほどの脚色ではなかった。
ジャガーメイルがマイネルキッツを交わした後も、まだ余裕があるような感じでのゴールであった。
メイショウドンタクが5馬身差の3着。そして審議ランプが点灯していた・・。

審議は最後の直線の入り口での出来事だった。
トウカイトリックとかジャミールとかが影響はあった様子。
だが上位馬の態勢に影響があるものではなかった。

完璧に勝ちに行って、力を十二分に発揮した昨年の覇者マイネルキッツと、それを交わしたジャガーメイルの充実ぶり。
スタンド前で、ウィリアムズJの『馬を褒め称えてくれ』のパフォーマンスがよく判る。

今回は完璧に関東馬が関西馬を上廻る勝利であった。
どうも最近の競馬の流れが、関東に傾きつつあるように感じている。
次の古馬陣の戦い宝塚記念で、関西馬の巻き返しはなるのだろうか・・・。

それにしてもC・ウィリアムズJ。
土曜の最終レースの勝利といい、日曜も天皇賞に続いて端午Sでの勝利といい、ここ一番を決める強さがある。おそれいりました・・・。