この馬に注目【京都新聞杯】コスモファントム

トピックス

初めての芝となった野路菊Sでリルダヴァルの2着すると、萩Sはテイラーバートン、エイシンフラッシュらをタイレコードで完封したコスモファントム(牡3、栗東・宮厩舎)。
ラジオNIKKEI杯2歳Sでも、勝ち馬のヴィクトワールピサにクビ差まで食い下がった実力は、京都新聞杯で最右翼といえる。

放牧先のビッグレッドファーム鉾田での調整が遅れ、帰厩したのは4月23日。大目標のダービーに向け、余裕がない状況での再スタートとなったが、もう太め感はなく、前走時と比べても遜色ない反応を見せている。
「派手さこそありませんが、欠点が少ないタイプです。普段はのんびりしていて、本当に仕上げやすいですし、ゲートの上手さや渋太さは、大舞台でも強みになりますね」
と、宮徹調教師は目を細める。

スティーヴンガットイーヴン(その父エーピーインディ、ドンHの勝ち馬で産駒には米2歳チャンピオンのスティーヴィーワンダーボーイなど)を父に持つアメリカ産である。ただし、母サザンハウス(その父パリスハウス、伊米で6勝、伊1000ギニーのレジーナエレナ賞を2着)はアイルランド生まれ。ターフランナーの血も流れている。
異色の国際派であっても、イタリアで枝葉を広げているファミリーの出身。ローカルでの活躍が目立つブラックタイプであり、ファシグティプトン・ケンタッキージュライイヤリングスでの落札額は5万ドル(約530万円)と安価だった。馬主を対象とした共有クラブの「コスモオーナーズ」にて、総額2200万円で募集されている。

「1歳の暮れにビッグレッドファーム明和で初対面したときより、たくましい馬体をしていましたよ。ただ、脚さばきは硬く、現地の評価もダート向き。この路線で才能が花開くとは、とても想像できませんでした」

完成度の高さが買われ、昨年の5月下旬に入厩。
6月28日、阪神のダート1200m(3着)でデビューした。続く新潟も3着に終わったが、札幌のダート1700mで一変し、5馬身差の圧勝劇を演じる。
「距離が延び、長く脚を使える特徴が生きたわけですが、札幌滞在時に目覚めたのも確か。それまでの攻め馬では前向きさが欠しかったのに、動きががらりと変わり、古馬オープン(レインダンス)に先着してしまった。いざというときは、きちんと気持ちが切り替わるようになったんです。イメージ以上の奥深さを感じ始めましたね。札幌2歳S(除外)に出ていても、いいところがあったはず」

ダートに適距離の番組が少ないことから、当初は半信半疑で目を向けた芝戦線だったが、同馬はさらに進化を遂げた。
レース前は闘志をむき出しにするようになっても、折り合いはスムーズで、ペースに左右されることもない。
「一杯に見えても、もうひと伸びできるように、一戦ごとに持久力を高めてきました。強さは本物ですし、まだまだ良くなる余地も残されている」

決して早熟ではなく、どんどん強靭さを増すコスモファントムは、まっすぐにダービーロードを突き進んでいく。


コスモファントム
(牡3、栗東・宮厩舎)
父:Stephen Got Even
母:Southern House
母父:Paris House
通算成績:6戦2勝