【アメリカ遠征記】UAEダービーを振り返って

それでは話を巻き戻して、UAEダービーについて少し僕なりに回顧させてもらいます。

今回僕がクラウンプライドに調教でリクエストしてきたのは、気持ちのスイッチの切り替えです。

クラウンプライド

どうしても海外に来ると調教環境、気候なども良いのでスイッチがオフになる事が多いんですよ。まあ勝手な僕の持論なんですが。
なのでONOFFをしっかり作り、メリハリをつけるようにしてきました。歩ける時は歩き、走る時は集中して走るという当たり前を当たり前にできるようにする事ですね。
これらを学んだクラウンは、待機馬房も装鞍所もパドックでも普段より大人しく集中していました。でも返し馬はダミアンが抑えられないくらい前進気勢が強かったですよね?また映像を確認してもらうと、馬の作りの意図が見れると思いますよ。

そしていよいよレース。前走で出遅れがあったため今回はゲートボーイをつけたり、入念に練習した事もあってスタートは良かったと思います。1コーナーの入りはキックバック(前の馬が蹴り上げた砂)を嫌がる素振りを見せて少し外に膨らむ感じでしたが、ほぼイメージ通りでした。因みにあの1コーナーは調教していた時は報道陣がいたり、他の馬たちが厩舎に帰る道になっていたので、それをクラウンが覚えていてそっちに行きたくなって少し膨らんだとも考えられます。

向正面に入ると以前より折り合いも楽でしたし、キックバックが飛んで来ないところにダミアンが誘導したのを見るとさすがのひと言です。

4コーナーから直線へ向く勢いはすごくてほぼ馬なり。もしかしたら、と思いましたが、さすがにUAEダービー。そう簡単に逃げている馬を捕まえさせてくれませんでしたが、1着でゴール板を無事通過してくれました。この結果は本当に嬉しく思います。表彰台の上から見た景色は最高でした!!

ドバイ表彰式

そして!
勝った瞬間から、次のレースがすぐに決定されるのではと予感が…。UAEダービーをステップに、遙か彼方にあるケンタッキーが僕には見えたからです。
更にその先に見えるのは、ケンタッキーダービーを1着でゴール板を通過する姿。その姿こそ、アートに通じる美しさかも‥‥。競馬は一つのアートかもしれませんね。

ここチャーチルで最強馬と戦う、と考えただけでドキドキします。チャンスを与えられた“サムライ”として、クラウンが到着して体調など確認したのちに競馬当日から逆算して戦略を立てていきたいと思います。