【有馬記念】強力牡馬をまとめて差し切る!指揮官が語るスルーセブンシーズの手応え

中山で強力牡馬勢撃破を目指すスルーセブンシーズ

中山で強力牡馬勢撃破を目指すスルーセブンシーズ


有馬記念
スルーセブンシーズ
尾関知人調教師

——初海外遠征となった前走の凱旋門賞は4着でした。レースへ向かうまでの過程とレース内容について振り返ってください。

尾関調教師(以下、尾):初の海外遠征でしたが、輸送が上手くいきましたし向こうの受け入れ厩舎がすごく良くしてくださったこともあって、素晴らしい環境のなかとても良い雰囲気で過ごすことが出来ました。いつも以上にカイバを食べられるくらいでしたし、順調に調整を進めてレースに臨めました。

レースの前にジョッキーやオーナーとミーティングをする機会があって、この馬はそれほどスタートが速いタイプではなく日本の競馬のなかでは遅いくらいだけど、ヨーロッパの競馬は全体的にスタートが遅いためこの馬のスタートでも速いくらいになるのではないかと話していました。

そういう見立てから、中団、場合によっては先団くらいから競馬が出来るかもと話していましたが、実際はいつもと同じように後方からの競馬で、想定していたより後ろの位置取りになりました。道中は自分のリズムで進めていましたが直線に入るところではかなり後方でしたし、これまで観戦してきた凱旋門賞ではそういう位置取りのまま競馬に参加出来ずに終わってしまう馬もたくさん見てきたので不安な気持ちでした。

ただ直線でエンジンがかかってからはすごく良い伸びを見せてくれましたし、外に持ち出そうとしたときに他馬が壁になって進路を切り替えざるを得ない厳しい形になったことも考えるとよく頑張ってくれたと思います。

——今回有馬記念を選択した意図と、中間の過ごし方を教えてください。

尾:凱旋門賞と宝塚記念の内容からG1級のメンバー相手でもやれると思っていましたし、中山コースも得意なので帰国後初戦の第一候補として有馬記念を考えていて、あとは体調が整えばという状況でした。

帰国後はレースで頑張ったことと輸送を含めて体が減っていましたが、競馬学校を経由してノーザンファーム天栄に戻って調整を進めるなかで疲れも取れましたし、馬体重も回復したので予定通り有馬に向かうことにしました。11/30(木)に帰厩後もしっかりカイバを食べていますし、順調に調整を進めてきています。

——12/13(水)に行われた1週前追い切りの狙いと動きの評価をお願いします。

尾:神経質なところがある馬で、1週前にしっかりやって直前はある程度反応を見る程度という形でこれまで調整してきたので、今回の1週前追い切りもしっかりやりたいと思っていました。今回は2500という距離も意識して、ゴール板を過ぎたあとも流していつもより長めの距離で追い切りました。時計も良かったですし、この馬らしい迫力のある動きで1週前としては申し分のない追い切りが出来ました。

——今回はキャリア最長の距離です。中山2500というコース適性についての見通しは。

尾:レースに行ってそれほど折り合いに心配のないタイプですが、コーナーからスタートしたり2回直線コースを走ったりというトリッキーなコース形態とこれまでで1番長い距離という点から、それなりにハードルは高いかと思っています。

ただ久々の2400だった凱旋門賞であのような走りが出来たので何とか距離をこなしてくれないかという希望的観測と、得意の中山で武器である一瞬の切れ味を生かせればという期待を持っています。

——今年は初重賞勝ちに続き、宝塚記念と凱旋門賞でも好走しました。この馬は立派だなと感じるところを教えてください。

尾:元々の能力が高く、成長力もすごく大きいと思います。特に宝塚記念と凱旋門賞共に馬群の中から諦めずに伸びるところ、一流馬がトップスピードで走っている厳しい状況のなか、進路を切り替えながら最後まで食らいついていく根性も凄いと思います。

——厩舎として有馬記念初挑戦になります。意気込みをお願いします。

尾:自分は千葉県出身なので競馬ファンだった頃から有馬記念には思い入れがありましたが、ここまでなかなか出走するチャンスがありませんでした。凱旋門賞に続いて有馬記念にも出走してくれて、スルーセブンシーズには感謝しかありません。クラブの規程でこの子の競走馬としてのキャリアも先はそう長くありませんし、そういう状況のなかで挑む有馬記念なので、厩舎スタッフ一丸となって悔いのない状態で送り出したいと考えています。