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【特別対談part1】レジェンドアンカツ×スター候補田口貫太騎手 夢の笠松師弟対談実現!
2024/3/3(日)
笠松師弟対談、実現。中央、地方で計4464勝、数多くのビッグレースを制した伝説の名手・安藤勝己元騎手と、父と母が笠松で元ジョッキーという生粋のサラブレッド・田口貫太騎手が夢の対談!地元が生んだスター候補に対し、レジェンドは何を語るのか……。
可愛い笠松の後輩だからこそ指摘したい課題
-:早速ですが、安藤さん、昨年の田口騎手はJRA35勝、地方10勝、計45勝を挙げられました。率直に、この数字に対しての感想をお聞きしたいです。
安藤勝己(以下安):上出来、上出来。このままうまくいってくれればいいな。最初からいい位置で馬に乗ってたからな。バランスも良くて貫太は乗れるなと思っていたけど、段々と競馬の流れにも乗れるようになってきた。
田口貫太(以下貫):ありがとうございます!
安:ただこの間の重賞(日経新春杯、リビアングラス7着)みたいな、ああいうカッコ悪いレースしちゃダメだ。あれは矢作先生の指示もあったんか?
貫:「行けるならハナに行ってほしい」という先生からの指示はありました。実際これまで逃げて結果を出している馬でしたし、行けるなら行きたいなと。
安:あの形になると絶対行けねえんだから。あれはレースを見てるモンからしたらカッコ悪い。強引に逃げたら絶対勝てねえ。ただこれも難しいところで、調教師の言うことも聞かないといけないしな。※日経新春杯の話はこちら
-:積もるお話もありそうですので、日経新春杯のお話は後程じっくり伺います。「さて、1年目は30勝以上したい」とデビュー前におっしゃっていた田口騎手は、12月3日にアリエスキングで勝って、この数字を突破されました。田口騎手は12月3日での達成について自身の中では早かったと思われますか?
貫:立て続けにいい馬に乗せていただいたのになかなかいい結果を出せず、乗っている馬を考えたらもう少し早く達成できていたと思います。ただ新人のうちに30勝させていただいて、乗せてくれる関係者の皆さんに感謝したいなと思っています。
安:30勝、早かったな。同期の中で一番やろ?デビューしてからのスタートダッシュが良くないとな。みんな見る目が違ってくるから。最初にバンバン勝つと"あの子乗れるな"っていういい印象がつく。これがすごく大事。あとはケガと騎乗停止を気をつけないとな。ケガしたらすぐ馬が回ってこなくなるから。技術もデビュー時からだいぶ向上したと思う。それはそうやけどな(笑)
貫:はい、これだけすごく乗せていただいているので(笑)
安:騎乗の姿勢は元々良かったんやけど、レースの流れに落ち着いて乗れるようになったと思う。でも今日の競馬を見ていて思ったけど、力の足りない馬で外を回し過ぎてるな。
レースだから自然と外に出されちゃう時もあるけど、力の足りない馬でできるだけロスなく内を回る意識はもっとあっていい。自分の馬の能力をもっと知る必要があると思うわ。たださっきも言ったように、騎乗姿勢は良いな。
貫:ありがたいことにこれだけ多く乗せていただいたことで、デビュー当初より自分の目指すフォームに近づいてきたかなと思います。ただまだまだ接戦になると慌ててしまうところがあるので、この部分は改善していきたいです。
昨年の阪神JFでルーキーイヤーにG1初騎乗を果たす
安:接戦になるとどうしても身体はバラバラになる。まあ人それぞれ追い方はあるんやけど、綺麗に乗らないとな。ユタカ(武豊騎手)なんかはいつも綺麗に乗るしな。
ルメールも、(川田)将雅もそうや。慌てたって勝てないんやから。反対に馬のリズムを崩すだけ。それでも貫太は随分落ち着いて乗れるようになってきてると思う。
あとずっと思ってたことなんやけど、木馬でいいからステッキワークの練習をしないとな。外国人ジョッキーなんか右でも左でもすぐ持ち変えてくる。貫太のステッキの持ち変えはまだまだスムーズじゃない。実戦ではなかなか練習できんから、木馬とかでやらないとアカン。
-:安藤さんは木馬で練習されたのでしょうか?
安:俺か?俺はなんの練習もしてない(笑)。笠松にそんな上等なもんはなかった(笑)
レジェンドが指摘するフォームの課題
安: あとステッキの持ち変え以外でもう1つ指摘させてもらうと、貫太は道中の折り合いも上手いし、ゲートも上手いんだけど、フォームには足りないもんがあると思う。追い出したらもうちょっと体がグっと沈んでほしい。
-:沈む、ですか。
安:そう。(体が)浮くところがある。手綱の長さにもよるんやけど、柔軟性とトレーニングが大事になる。体が柔軟だと馬にピタっとくっつける。
貫太は体が小さいし、馬にピタっとついて追えればもっとカッコ良くなる。膝で押すんや。上手いジョッキーは下半身がしっかりしてる。ヨーロッパのジョッキーがそういうところがあるな。
貫:そうですね、実際今はヨーロッパのフォームが主流になっていると思います。追っているモーションなんかは川田さんや(岩田)望来さんはすごいと思いながらレースを見ています。
安:でもさっきも言ったように、追うこと以上に道中に重点を置いてほしい。日本の競馬は特にな。いかにリラックスさせて走らせられるかも大事。(騎手の)気持ちが重要になってくる。レースで騎手が勝ちたいっていう気持ちがあると、それが馬に伝わってしまって掛かる。道中はそれこそ鼻唄歌うくらいで乗らないとな。まあ、なかなかできんのやけど(笑)
貫:はい(笑)
安:馬はそんなに長い脚は使えないんやから、道中どれだけリラックスさせて走らせられるかが鍵。騎手が緊張していてもダメ。勝ち気にはやっていてもダメ。自分がプレッシャーとか重荷を背負うと、それがそのまま馬の負担重量になる。ルメールなんかいつも「自信ある」って言ってるやろ(笑)
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