研究員ヤマノの重賞回顧

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11月17日(土)、東京競馬場で行われた東京スポーツ杯2歳S(2歳、G3・芝1800m)は、中団からレースを進めた9番人気のフサイチアソート(牡2、美浦・岩戸厩舎)が、最後の直線での叩き合いに競り勝ち優勝した。

新馬勝ちから見事初重賞を手中にした同馬であるが、記録づくめの嬉しい勝利となり、競馬ファンのみならず、多くの関係者に恩恵をもたらした。
まず、馬主の関口氏は、一昨年のフサイチリシャール、昨年のフサイチホウオーに続いての同レース3連覇の偉業を達成。
続いて厩舎の岩戸孝樹調教師は、これが重賞初勝利となった。
そして、トワイニング産駒としても、これがJRA重賞初勝利。
さらに鞍上の横山典弘Jも、この勝利が今年くぎりの100勝目となった。
このように、同馬の勝利は多くの人に恩恵をもたらす結果となったわけだが、ここまで色々と重なると、“天運”という言葉を思わず思い浮かべてしまう。
もし“天運”というものがあるとするなら、フサイチアソートのこの勝利は必然だったのかもしれない。
一方、もちろん能力がなければ重賞レースで勝つことなどできない。
特にこのレースは、過去にメイショウサムソン、アドマイヤコジーン・フサイチリシャール・アドマイヤマックスなど、後に多くのG1馬を輩出してきた出世レースとして知られているだけに、フサイチアソートも来年G1戦線を賑わせる優駿となれるだけのポテンシャルを秘めている可能性は高い。
この馬の今後に大きく注目してみたいと思う。


翌18日(日)、京都競馬場で行われたマイルチャンピオンシップ(3歳上、G1・芝1600m)は、好位3番手からレースを進めた1番人気ダイワメジャー(牡、美浦・上原厩舎)が、最後の直線で早め先頭に踊り出ると、中団から猛追してきたスーパーホーネットをクビ差抑え、昨年に続いての同一G1連覇を成し遂げた。

これで現役最多のG1・5勝達成と、昨年JRA賞最優秀短距離馬に輝いた実力をまざまざと見せ付けてくれた。
勝ちタイムが昨年と全く同じ1分32秒7なのは偶然かもしれないが、高いレベルで同等の能力を発揮できる、6歳になっての同馬の円熟味が成せる技だとも捉えることもできるだろう。
これで次は暮れの有馬記念に駒を進めるということだ。
今年の有馬記念には、妹のダイワスカーレットも参加を表明している。
この兄妹対決は真に興味をそそられる。
昨年のディープインパクト一色の有馬記念とはまた違った面白さが、今年は期待できそうだ。
ところで、このレースは過去に連覇を成し遂げる馬が多く、さらに過去23回で優勝騎手は14人と、同じ騎手が複数回優勝しているという特異な傾向があった。
その傾向から考えれば、今年はダイワメジャー&安藤勝己騎手が優勝する可能性が高いという結論にたどり着くことは容易だったはず。
巷に色々な馬券術はあるが、これも一つの馬券術だということなのだろうか。