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-宝塚記念-平林雅芳の目
2011/6/28(火)
日曜阪神11R
宝塚記念(GⅠ)
芝2200m
勝ちタイム2.10.1(レコード)
勝ち馬:アーネストリー(牡6・父グラスワンダー・栗東・佐々木晶厩舎)
※※レコードで後続を封じたアーネストリー、完璧な勝ちだった。
ナムラクレセントを行かせて2番手。しかし終始主導権を握る競馬内容で、4コーナー入り口ではもう先頭となって、後続を完全に封じての勝利のアーネストリー。まるで主役は自分だとばかりのパフォーマンスであった。
昨年のこのレースはブエナビスタに遅れる3着だったが、今回はそのブエナビスタに影をも踏ませぬ完璧な勝ちっぷり。
待望のGⅠ勝ちをレコードと、これでもかの印象で飾り、春競馬の締めくくりを父グラスワンダーに捧げた宝塚記念の親子勝利であった。
GⅠレースの日をなめていた。GⅠデーは開場が30分早いのも知っていた。しかしこの暑い時期である。そんなには人が来るはずがないと完全にナメておりました。いつもどおりに9時にはスタンドに到着して、何とか座る場所をと思って階段を上がったら、そこはもうすでに通路にまで敷物を敷いている大勢のファンで溢れていた。食堂も大変、中に入るのと中でとかなり待たされる。パドックの周りは凄い人、人。
本当に嬉しいかぎり。暑いのにこれだけ競馬を、スターホースを見に来てくれる大勢のファン。そしてその熱い思いに応える様なレースでもありました。
アーネストリーが完全に抜けて興味は2着。それも内々で競馬してきたエイシンフラッシュが2着かと思って見ていた眼の前を、ブエナビスタが外から馬体を並ばせて来る。《でも勢いでは内だな~》なんて思ってスローで見ると、ちゃんとブエナビスタが2着。12キロ増の馬体がどうなのかは知らないが、毎回キッチリと走るブエナビスタの凄さを改めてみた思いです。
そして着差以上の強さで、それこそ完璧な競馬でGⅠ到達のアーネストリー。鞍を検量室から持って出てきた佐々木晶師が満面笑みで《メッチャ~嬉しい》と言っていたのを見てこちらも思わず、《良かったな~》なんて思っていました。
《誰が、どの馬が行くんだろうか?》と思っていた戦前。絶対に行く馬が有利な流れになりそうだと誰しもが思える展開面である。外から敢然と行くのには無理がある。やはり内の先行馬が有利と思える。
そんな気持ちでいただけに、好スタートからアーネストリーが一番先に出てきた時には、このまま先手で行くのではないかと思った程。でも目の前を通って最初の1コーナーに入る時には《やけに内を開けているな~》と思えた。《なるほど、ナムラクレセントが行きたがっているのか、それを行かせてとの作戦か~》と。
天皇賞で積極果敢な競馬をして残ったナムラクレセント、今回も行く気満々だったのか。2コーナーを回って隊列も収まった様子。先頭ナムラクレセント。2番手アーネストリーだが、自分自身がガチっと抑えて行っている感じでなく、いつでも先手を取りに行くぞと、前にプレッシャーをかけに行く様な行きっぷりである。人気馬はと見ると、ルーラーシップはスタートがあまり良くなく、後ろの方は判っていた。ブエナビスタも中団から後ろめの内の方である。
前半1000メートルを通過。この時、場内のアナウンスが《前半1000メートルは58.7で行きました。今年は速いペース!》と吠える様に叫ぶと、場内がドッと湧く。《今年の流れは速いぞ》と誰しもが思う数字である。
向こう正面に入ってもう一度各馬の位置を確認する。ローズキングダムが5番手と、前々で競馬している。シンゲン、ダノンヨーヨーで真ん中ぐらいか、直後にビートブラック。内めにエイシンフラッシュかと見ていると、ルーラーシップが後ろから少し前に出て来ていた。
3コーナーを過ぎて、だいぶ集団が楯長から縮まってきた。ローズキングダムがさらに前へと進めてきた。トゥザグローリーとルーラーシップが外めを接近しつつある。内めでエイシンフラッシュも差を詰めて来ており、ブエナビスタは、その皆よりもむしろ後ろめにいる。
4コーナーのカーヴに入って来る。ここでは先頭のナムラクレセントに、もうアーネストリーが馬体を並べている。
カーヴを回る。やや進路を内を開けているアーネストリーの勢いがいい。外にローズキングダムが追って上がって来た。内めを狙うエイシンフラッシュ、外ではルーラーシップが馬群の一番外へ出して回って来た。
完全にアーネストリーが2馬身から3馬身と前に出た、残り300メートルのオレンジ棒あたりだ。
チラッとオーロラビジョンで後ろを確認する佐藤哲Jが見える。ローズキングダムの黄色い帽子が見える。しかしその一番内からエイシンフラッシュの伸びがいい。
もう残り1ハロンを過ぎた。佐藤哲Jの最後の仕上げ、右ステッキの連打だ。2着エイシンフラッシュ、3着ローズキングダムかと思って見ていると、ルーラーシップをかわしてブエナビスタが伸びて来ている。《でも届きそうもない、3着か~》と思う瞬間に、ゴール前でブエナビスタとエイシンフラッシュの馬体が内外離れているが並んで入った。
その少し前では、佐藤哲Jが右ステッキで歓喜のゴールを表していた。その後に後ろを確認する様に見た後で、左手のこぶしで小さくガッツポーズ。ここらが我慢する佐藤哲Jでいい。
1馬身半の完全なる勝利を収めたアーネストリー。昨年の宝塚記念を3着。秋の天皇賞でブエナビスタの3着。そして今年は5月の金鯱賞を3着。ルーラーシップの勝利の影で、もくもくと休み明け緒戦をまずは無難にスタートさせて、ここへ臨んできたもの。『何か相当なる自信を持って臨んでいたらしい』との報を聞く。なるほどと思える競馬っぷりであり、堂々たる勝利。
近代競馬の勝ち方をそのまま実践したアーネストリーの勝ち。《これからの時代は俺の時代だ》と言いたげなパフォーマンスさえも感じるアピール度合でありました。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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