騎手時代に約20万人が来場した90年ダービーをアイネスフウジンで逃げ切った中野栄治元調教師が、
独自の視点で重賞の好調教馬を導き出します!
【中山金杯】かつて金杯で"ディープ"に騎乗したレジェンドが選ぶナンバーワンは…
2025/1/4(土)
当週 美浦ウッド(良) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
85.0 | 66.6 | 51.6 | 37.1 | 11.5 | 馬なり |
皆様、新年あけましておめでとうございます。本年も何卒、このコーナーを宜しくお願い致します!
さて、引退して迎える初めての年末年始だったけど、違和感しかなかったね。その分たくさん競馬を楽しめたし、ゆっくりできたけれど(笑)
競馬の元旦は金杯から。昔から金杯で乾杯なんてよく言われていたけど、やはり現場の人間からすると最初の重賞は獲りたいものなんだ。
金杯の思い出話を少ししていいかな?僕にとって金杯といえば、1981年に騎乗して勝ったドロッポロ―ド。覚えているファン、いるかな?いないか、44年前だからね…(笑)
当時は金杯を勝つと天皇賞が視野に入ったもので、僕もこの時点で天皇賞は絶対に勝てる自信があったんだ。金杯の後は当時2000mだった東京新聞杯も楽勝して尚更期待は高まったんだけど、その後骨折して引退してしまったのは本当に悔しかったんだ。
この馬は素直で、頭が良くて、僕が乗った中でも一番乗りやすい馬だったよ。騎手の意志が馬に伝わっているというか、まるでディープインパクトみたいな馬だった。懐かしい。
昔話が長くなったね。今週の中山金杯、僕のナンバーワンはシンリョクカ。
今週の動きは素晴らしかったよ。3頭併せの外2頭が500キロを超す大型馬だったんだけれど、内から併せていっても怯まず、アッサリ突き抜けてきた。凄く伸び伸びと走っていたのが印象的で、これは最高の仕上がりだと思うよ。
次点でクリスマスパレード。暮れの時点で仕上がっていたけど、年明けも3本時計を出してきた。31日の本追い切りは首を上手く使ってリズミカルな動き。秋華賞以来だけど、順調に調整されてきたようだ。3戦3勝の中山ならチャンスあり。
エアファンディタも良かったよ。8歳馬だけれど、むしろ前走より良くなっている感じがする。覇気が戻って前走はフロックではないっていう雰囲気だったね。
最後にディオスバリエンテ。暮れの併せ馬は一杯に追われた格下に遅れたけど、こちらは余裕綽々。上手くハミを取って力強い動きだった。これも前走はフロックではない勢いを感じたね。
イラーナ
休み明けだった前走は13着だったんだけれど、これはハナを切れなかったのが大きいね。
逃げ馬というのはハナを切れないと脆いもので、大敗したとしてもそれは仕方ない。調教も強化したようだし、単騎逃げに持ち込めれば違うと思うよ。
プロフィール
【中野 栄治】Eiji Nakano
1953年大分県生まれ、東京都出身。父は大井の元調教師という家庭で育ち、1971年に騎手デビュー。数多くの活躍馬に騎乗し、約20万人が詰めかけた1990年日本ダービーをアイネスフウジンで逃げ切り伝説を作る。1995年には調教師に転身。短距離G1を2勝したトロットスターなどを育て、日本競馬にその名を残した名ホースマン。