競馬YouTuberとして一躍名を挙げ、各媒体に引っ張りだこの佐藤ワタルが、地方&海外レースを展望。若くして人並み外れた知識量、分析力を披露する。
【チャンピオンズC】スピード血統&スタミナ血統を兼ね備えた伏兵に渾身の◎!
2018/12/1(土)
「2軍でやっていた野球は超積極的。失敗を恐れずにどんどん向かっていく野球を1軍でもやっていきたい」
我らが阪神タイガースの矢野新監督は1日、球団のOB総会でこう言った。盗塁数の新記録を更新するなど積極的野球で阪神2軍は昨季日本一となった。素質ある若手たちをいかに伸ばすか、新監督の腕の見せどころである。こうして考えると、野球は厩舎と一緒なのかもしれない。いかに好素材が集まっても、翌年のクラシック、そして古馬になってから活躍させるのは日々の調教、厩舎スタッフの腕に掛かっている。
阪神は好素材を育てられない球団として長年悪いイメージが定着してしまっていた。事実そうなので反論のしようがないのだが、12年ぶりに2軍を優勝に導いた新指揮官なら、若手をうまく育て、1軍に定着させることで『育てられない球団』のイメージを払拭できるのではないか。そう思わずにいられない。最下位まで転落した今季。もう失うものはない。来季は挑戦の年として、若手に失敗を恐れずに攻める野球を徹底してもらいたい。
12月となりFAなど補強以外に阪神の話題がないため、前振りを考えることに苦労してしまう。そんな土曜日はステイヤーズS、チャレンジC共に的中と、好調だった秋の勢いそのままにいい結果を出すことができた。この調子で日曜も的中を狙いたい。
日曜日は中京11R・チャンピオンズC。このレースについては、競馬ラボチャンネル・うま馬データMOVIEも参考にしていただきたい。
さて、チャンピオンズCだが、当初は◎ウェスタールンドを予定していた。前走は接触に加え、半周コースの外枠と置いていかれる条件。それでも7着に食い込んだことで、狙うなら今回……そう考えていたら、12番枠である。ウェスター自身外枠は苦にしないものの、中京ダート1800でG1を施行すると厳しいペース、重い砂の影響で、外を回す馬がスタミナを削られ不利になりやすい。
実際中京移設後の4年間で3着以内となった12頭中、実に10頭が一桁馬番。二桁馬番で3着以内に食い込んだローマンレジェンド、テイエムジンソクは共に4角2番手。極端に外を回ることはなかった。ウェスタールンドは差し馬である。内を突ければいいが、◎を打つにはリスキーとして4番手とした。
では代わりにどの馬に本命を打つか考えた際、気になる傾向が一つあった。3着以内に入った馬で、父か母父が東京芝2400mや京都芝3200mのG1を勝っている、という馬が多いのだ。
14年1着ホッコータルマエ(父キングカメハメハ)
14年2着ナムラビクター(父ゼンノロブロイ)
14年3着ローマンレジェンド(父スペシャルウィーク)
15年1着サンビスタ(父スズカマンボ)
16年2着アウォーディー(父ジャングルポケット)
ロングスパートになりやすい東京、京都の中長距離G1はスタミナ、持続力を要する。チャンピオンズCも同様で、乾燥しがちなこの時期の重い砂に加え、中京ダート1800mはスタートしてから急坂を上り、最後、直線に入ってすぐにそびえ立つ急坂をもう一度上り、坂を上がりきってからまだ200mも直線が続く。スピードだけでは乗り切れないG1なのである。
今年、父か母父が東京芝2400mや京都芝3200mのG1で勝利している出走馬は6頭。その中から◎サンライズソアをチョイスしたい。
前走のJBCクラシックは好スタートからハナを切れたものの、700m通過地点から1300m通過地点まで12.9-12.2-11.5というラップが示すように、向正面で外にいたテーオーエナジーに絡まれ、ペースアップしなければいけなかったのが誤算であった。見た目以上に厳しいラップを刻んだにも関わらず、最後までよく粘っている。強い内容の3着であった。
父シンボリクリスエスはダービー2着に有馬記念連覇。母父スペシャルウィークはダービー馬。母母父のホワイトマズルは欧州芝2400mG1の最高峰であるキングジョージや凱旋門賞で2着がある。潜在的なスタミナは相当なものだろう。それに加え、祖母ビハインドザマスクがセントウルSやスワンSを制しているように、母系のヴァインゴールド一族はスピードも豊富。
スピード、スタミナ兼ね備えた本馬の大きな弱点が『怖がり』である点なのだが、9番枠を引いて、更に外枠に強力な先行馬はいない。被される心配も少ない。鞍上のモレイラ騎手は早めにアクセルを踏んでいく騎手だけに、揉まれなければチャンスはあるだろう。稀にゲートを失敗する時があるため、ゲートは互角以上に切っておきたいところだ。
相手は手広く。ルヴァンスレーヴはそこまでゲートが上手いわけではないが、今回は内枠。包まれるシーンは頭に入れておきたい。絶好枠を引いて、内でロスなく立ち回れるであろうアンジュデジールなども、穴馬として押さえておきたい。
◎サンライズソア
〇ケイティブレイブ
▲ルヴァンスレーヴ
☆ウェスタールンド
△①、⑤、⑥、⑦、⑪、⑬、⑭
中山11R・ラピスラズリSの話に移ろう。土曜の中山芝は2歳レコードが出たように時計の速い状態が続いている。加えて今回はモズスーパーフレアという、秋の中山・セプテンバーSを逃げて1.07.0という好タイムで圧勝した馬がいる。
注目したいのがこのセプテンバーS。モズはテン3F33.2というハイペースで逃げて、そのまま逃げ切ったのだが、3着に食い込んだのは父ハービンジャーのナンヨーアミーコであった。流れが厳しく高速決着になった分、重めの血統背景を持ち、かつ持ち時計がある差し馬にチャンスが生まれたのだろう。
今回の出走馬で持ち時計(1.08.0前後)があり、かつ血統背景が重い馬を探すと、◎カラクレナイに食指が伸びる。前走のオパールSは二の脚がつかず、4コーナー16番手という絶望的な位置取りだったものの、猛然と追い込んで4着。内容は悪くなかった。父は欧州の至宝・サドラーズウェルズ系ローエングリン。初めての中山をクリアできれば面白い。
平場からは合計2Rを挙げていこう。1つ目は中京10R・鳥羽特別の◎ラベンダーヴァレイ。まずは前走の勝浦特別のレースVTRを見ていただきたい。4コーナーで内に入ったところ、前を走っていたスマートシャヒーンに詰まる不利。立て直して追い出し、勝つかと思われる脚色で差し込んできたが、今度はスマートシャヒーンと、外のセイウンリリシイに挟まれてしまい、そのまま後ろへズルズル下がってしまった。
世界的名手でもこのような騎乗があるのだなと思いながらモレイラ騎手に話を聞いたところ、「レースの流れも悪くなかったのですが、詰まって能力を出し切れませんでした。申し訳ないです」と落ち込んでいた。再度騎乗する今回は広い中京コースに変わるだけに、前走よりは捌きやすいだろう。鞍上もいつも以上に何とかしてやろうという思いが強いのではないか。
2つ目は中京12R・鳴海特別。出走メンバーを見渡すと実に先行馬が多い。狙うは重厚でスタミナ豊富な血統背景を持つ差し馬。加えて土曜の中京ダートを見ていると、さすがに大外一気は苦しい馬場状態。◎モルゲンロートはほぼ真ん中の7番枠。馬群を割れるだけにこの枠はプラスと言っていい。気性的に距離短縮はプラス。
自身も以前ダートの2100mを走っていた馬で、父はキングジョージを制したオペラハウス。欧州の至宝・サドラーズウェルズの血を引く重厚な血統だ。以前新潟のダート1200mで500万条件を勝った際も、34.1-37.0という前半3Fが後半3Fより3秒近く速い前傾ラップで、上がりが掛かり持続力が求められる流れだった。厳しいペースになることで、潜在的スタミナが活きることに期待したい。
我らが阪神タイガースの矢野新監督は1日、球団のOB総会でこう言った。盗塁数の新記録を更新するなど積極的野球で阪神2軍は昨季日本一となった。素質ある若手たちをいかに伸ばすか、新監督の腕の見せどころである。こうして考えると、野球は厩舎と一緒なのかもしれない。いかに好素材が集まっても、翌年のクラシック、そして古馬になってから活躍させるのは日々の調教、厩舎スタッフの腕に掛かっている。
阪神は好素材を育てられない球団として長年悪いイメージが定着してしまっていた。事実そうなので反論のしようがないのだが、12年ぶりに2軍を優勝に導いた新指揮官なら、若手をうまく育て、1軍に定着させることで『育てられない球団』のイメージを払拭できるのではないか。そう思わずにいられない。最下位まで転落した今季。もう失うものはない。来季は挑戦の年として、若手に失敗を恐れずに攻める野球を徹底してもらいたい。
12月となりFAなど補強以外に阪神の話題がないため、前振りを考えることに苦労してしまう。そんな土曜日はステイヤーズS、チャレンジC共に的中と、好調だった秋の勢いそのままにいい結果を出すことができた。この調子で日曜も的中を狙いたい。
日曜日は中京11R・チャンピオンズC。このレースについては、競馬ラボチャンネル・うま馬データMOVIEも参考にしていただきたい。
さて、チャンピオンズCだが、当初は◎ウェスタールンドを予定していた。前走は接触に加え、半周コースの外枠と置いていかれる条件。それでも7着に食い込んだことで、狙うなら今回……そう考えていたら、12番枠である。ウェスター自身外枠は苦にしないものの、中京ダート1800でG1を施行すると厳しいペース、重い砂の影響で、外を回す馬がスタミナを削られ不利になりやすい。
実際中京移設後の4年間で3着以内となった12頭中、実に10頭が一桁馬番。二桁馬番で3着以内に食い込んだローマンレジェンド、テイエムジンソクは共に4角2番手。極端に外を回ることはなかった。ウェスタールンドは差し馬である。内を突ければいいが、◎を打つにはリスキーとして4番手とした。
では代わりにどの馬に本命を打つか考えた際、気になる傾向が一つあった。3着以内に入った馬で、父か母父が東京芝2400mや京都芝3200mのG1を勝っている、という馬が多いのだ。
14年1着ホッコータルマエ(父キングカメハメハ)
14年2着ナムラビクター(父ゼンノロブロイ)
14年3着ローマンレジェンド(父スペシャルウィーク)
15年1着サンビスタ(父スズカマンボ)
16年2着アウォーディー(父ジャングルポケット)
ロングスパートになりやすい東京、京都の中長距離G1はスタミナ、持続力を要する。チャンピオンズCも同様で、乾燥しがちなこの時期の重い砂に加え、中京ダート1800mはスタートしてから急坂を上り、最後、直線に入ってすぐにそびえ立つ急坂をもう一度上り、坂を上がりきってからまだ200mも直線が続く。スピードだけでは乗り切れないG1なのである。
今年、父か母父が東京芝2400mや京都芝3200mのG1で勝利している出走馬は6頭。その中から◎サンライズソアをチョイスしたい。
前走のJBCクラシックは好スタートからハナを切れたものの、700m通過地点から1300m通過地点まで12.9-12.2-11.5というラップが示すように、向正面で外にいたテーオーエナジーに絡まれ、ペースアップしなければいけなかったのが誤算であった。見た目以上に厳しいラップを刻んだにも関わらず、最後までよく粘っている。強い内容の3着であった。
父シンボリクリスエスはダービー2着に有馬記念連覇。母父スペシャルウィークはダービー馬。母母父のホワイトマズルは欧州芝2400mG1の最高峰であるキングジョージや凱旋門賞で2着がある。潜在的なスタミナは相当なものだろう。それに加え、祖母ビハインドザマスクがセントウルSやスワンSを制しているように、母系のヴァインゴールド一族はスピードも豊富。
スピード、スタミナ兼ね備えた本馬の大きな弱点が『怖がり』である点なのだが、9番枠を引いて、更に外枠に強力な先行馬はいない。被される心配も少ない。鞍上のモレイラ騎手は早めにアクセルを踏んでいく騎手だけに、揉まれなければチャンスはあるだろう。稀にゲートを失敗する時があるため、ゲートは互角以上に切っておきたいところだ。
相手は手広く。ルヴァンスレーヴはそこまでゲートが上手いわけではないが、今回は内枠。包まれるシーンは頭に入れておきたい。絶好枠を引いて、内でロスなく立ち回れるであろうアンジュデジールなども、穴馬として押さえておきたい。
◎サンライズソア
〇ケイティブレイブ
▲ルヴァンスレーヴ
☆ウェスタールンド
△①、⑤、⑥、⑦、⑪、⑬、⑭
中山11R・ラピスラズリSの話に移ろう。土曜の中山芝は2歳レコードが出たように時計の速い状態が続いている。加えて今回はモズスーパーフレアという、秋の中山・セプテンバーSを逃げて1.07.0という好タイムで圧勝した馬がいる。
注目したいのがこのセプテンバーS。モズはテン3F33.2というハイペースで逃げて、そのまま逃げ切ったのだが、3着に食い込んだのは父ハービンジャーのナンヨーアミーコであった。流れが厳しく高速決着になった分、重めの血統背景を持ち、かつ持ち時計がある差し馬にチャンスが生まれたのだろう。
今回の出走馬で持ち時計(1.08.0前後)があり、かつ血統背景が重い馬を探すと、◎カラクレナイに食指が伸びる。前走のオパールSは二の脚がつかず、4コーナー16番手という絶望的な位置取りだったものの、猛然と追い込んで4着。内容は悪くなかった。父は欧州の至宝・サドラーズウェルズ系ローエングリン。初めての中山をクリアできれば面白い。
平場からは合計2Rを挙げていこう。1つ目は中京10R・鳥羽特別の◎ラベンダーヴァレイ。まずは前走の勝浦特別のレースVTRを見ていただきたい。4コーナーで内に入ったところ、前を走っていたスマートシャヒーンに詰まる不利。立て直して追い出し、勝つかと思われる脚色で差し込んできたが、今度はスマートシャヒーンと、外のセイウンリリシイに挟まれてしまい、そのまま後ろへズルズル下がってしまった。
世界的名手でもこのような騎乗があるのだなと思いながらモレイラ騎手に話を聞いたところ、「レースの流れも悪くなかったのですが、詰まって能力を出し切れませんでした。申し訳ないです」と落ち込んでいた。再度騎乗する今回は広い中京コースに変わるだけに、前走よりは捌きやすいだろう。鞍上もいつも以上に何とかしてやろうという思いが強いのではないか。
2つ目は中京12R・鳴海特別。出走メンバーを見渡すと実に先行馬が多い。狙うは重厚でスタミナ豊富な血統背景を持つ差し馬。加えて土曜の中京ダートを見ていると、さすがに大外一気は苦しい馬場状態。◎モルゲンロートはほぼ真ん中の7番枠。馬群を割れるだけにこの枠はプラスと言っていい。気性的に距離短縮はプラス。
自身も以前ダートの2100mを走っていた馬で、父はキングジョージを制したオペラハウス。欧州の至宝・サドラーズウェルズの血を引く重厚な血統だ。以前新潟のダート1200mで500万条件を勝った際も、34.1-37.0という前半3Fが後半3Fより3秒近く速い前傾ラップで、上がりが掛かり持続力が求められる流れだった。厳しいペースになることで、潜在的スタミナが活きることに期待したい。
プロフィール
佐藤ワタル - Wataru Sato
1990年山形県生まれ。アグネスフライトの日本ダービーを偶然テレビで観戦して以降、中学生、高校生、大学生と勉学に勤しむ時期を全て競馬に費やした競馬ライター。『365日競馬する』を目標に中央、地方、海外競馬の研究を重ねている。ジャンルを問わない知識は、一部関係者に『コンビニ』とまで評されている。早稲田大学競馬サークル『お馬の会』会長時代に学生競馬団体『うまカレ』を立ち上げたり、北海道の牧場などに足繁く通うなど、若手らしい行動力を武器に、今日も競馬を様々な角度から楽しみ尽くしている。現在はサラブレ、一口クラブ会報などでも執筆中。血統派で大の阪神ファン。甘党でもある。