当コラムは毎回最初に阪神タイガースの話題から始まるのがもはやお約束となりつつある。週中、コラムの冒頭に何か阪神のニュースがないか楽しみに待っているのだが、昨日木曜日、原口文仁選手が大腸ガンで手術するという衝撃的なニュースが入ってきた。近日中に手術を受け、今季中の復帰を目指すという。

原口選手と言えば苦労人で有名。ドラフト6位で入団すると、3年で育成選手契約となり、苦難の日々が続いた。それでもあきらめず再び支配下登録されると、3季前には大ブレーク。一躍シンデレラボーイとなった。昨季は右の代打の切り札として、『新・代打の神様』を襲名するのではと言われるほどの活躍を見せており、今季も活躍が期待される選手の一人であった。それだけに衝撃は大きい。

原口選手は現在26歳。筆者は現在28歳。学年で言えば1つ年下にあたる。自分の1つ下ながら大病を患うこのニュースは思うところがある。持ち前のガッツで、何とか病気に打ち勝ち、再び甲子園のダイヤモンドを駆け回る姿を見たい。見せてほしい。本来予想コラムの冒頭としてふさわしくない話かもしれないが、一阪神ファンとして、原口選手の回復を心から祈る。


さて、土曜競馬の話に移ろう。

土曜は中京11・愛知杯が行われる。難易度の高い牝馬限定重賞の一つだ。直線が長く、しかも直線入り口に急坂があるため坂を上がってから伸び続ける持続力が求められるコースで重賞を催せば、それは荒れる。

求められるのが持続力であることは、ここ3年、1月開催になってからの3着以内馬を見ても分かる。16年1着のバウンスシャッセはオークス3着。昨年の2着レイホーロマンス、3着マキシマムドパリは共に2200mでの勝ち鞍があった。実際の距離より長い距離に適性のある馬がスタミナを活かして好走しやすい。加えて相性のいい血統はキングマンボ。スローペースに強く、冬場のパワーの必要な芝を苦にしない血統である。実際先週日曜の中京芝は4レース行われ、その内3レースでキングマンボ持ちの馬が3着以内に入っていた。

今年芝2200m以上に実績があり、かつキングマンボの血を持つ馬は◎ウラヌスチャーム1頭だけ。3走前のローズSでも重視したが、この時は距離不足もあって5着。それでも上がり3Fメンバー中2位の33.2を使って猛烈な勢いで追い込んできた。母親のアメジストリングが本格化したのは4歳からだったように、娘もここ2走は尻上がりにパフォーマンスを上げてきている。本格化の気配が漂う。

他に先週日曜活躍が目立った血統として、中距離3レース全てで3着以内に絡んでいた母父デピュティミニスター系が挙げられる。該当するノームコアは評価を下げられない。加えてこの3レース、3着以内9頭中8頭が二桁馬番であった。真ん中から外枠の馬のケアをお忘れなきよう。

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愛知杯と同じくキングマンボ系が有利になりそうなのが東京11R・白富士S。メンバーを見渡すと頭数も少なければ先行馬も少ない。まずスローペースが濃厚だろう。ここ10年の白富士Sで最もテン3Fが遅かったのは2017年だが、この年1着のスズカデヴィアス、2着サクラアンプルール共に父はキングカメハメハ。スローペースに強いキングマンボの血が活きているのが分かる。

キングカメハメハ産駒の◎ダイワキャグニーは、前走のキャピタルSは時計が出る馬場でのスローペースの上がり勝負に対応できず、1番人気を裏切り7着に終わった。レース後管理する菊沢調教師が「1600mは忙しい」と話したように、根本的にマイルが短くなってきている。これまで東京1800m以上でレース上がり3F34.9以内だったレースでは(3.0.0.3)。敗れた3回は日本ダービーと強敵相手の毎日王冠2回だった。このメンバーで2000mならば上がり勝負にも対応可能ではないか。


京都11R・橿原Sが行われる京都ダートは先週日曜、偏りが見られた。やけに内枠有利なのである。1200m~1400mの計4レースで3着以内に入った12頭中、8頭が馬番6番以内。馬場が乾いていた先週土曜も内枠有利の気配があっただけに、今週土曜も引き続き内枠の馬を狙いたい。

ロードエースは昨年秋の休養明けから身体が大きくなり、本格化の気配を漂わせる。前走も34.5-36.8という前傾ラップを4角5番手から力強く押し切ってみせた。だいぶ力をつけていると判断していいだろう。父エーシンフォワードは六甲アイランドS1着から7戦連続で3着以内に入り、高松宮記念3着になるまで出世した馬。調子がいい時のストームキャット系は相手強化を苦にしない。昇級戦の今回も要マークだろう。


メイン以外のレースからは計2レース取り上げたい。

東京10R・クロッカスSは◎ドゴール。前走はG1朝日杯FSに果敢に挑んだが、スタートして200m手前付近で内に押し込められる不利を受けてしまった。仮に不利がなかったとして3着以内になったとは言わないが、大きな不利ではある。

母ガイヤールは現役時代の3勝を全て1200m以下で挙げている馬で、姉のフェアラフィネも初勝利はマイルだったが、その後活躍の場を短距離に移した。互角にゲートを切ることができれば、距離短縮はプラスと見る。


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