一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
フローラSは除外も頑張ります
2017/4/20(木)
中山最終週は3勝を上げることができました。マイネルヴンシュ(1人気)は、あれでも道中フワフワしながら走っており、最後は突かれるような形になったのでそこから本気を出してくれました。上のクラスでもやれそうな馬なので、初勝利を弾みにこれからですね。エネスク(7人気)は以前乗せていただいた時に比べて競馬の型ができていた。イメージしていたとおりに乗れましたし、馬も力を出してくれました。昇級緒戦で準オープンを勝つのですから立派で、まだ4歳ですからこの先が楽しみです。
コスモバーダン(4人気)は返し馬から状態の良さが伝わってきて、自分のリズムで走れたら行けるなと思っていたところで理想どおりの競馬ができました。一方、皐月賞のトラスト(17人気⑬着)は大外枠から2番手につけられて折り合いがつき、とてもスムーズに運べました。惜しむらくはこの馬にとって時計が速すぎた。距離に関しては2000mが長すぎるという感じはありませんでした。着順ほど力差はなかったと思いますので、この先のキャリアで巻き返していきたい。
開幕週の土曜は東京で9鞍に騎乗します。4Rのワッハッハは、デビュー戦は同じ条件で結果(③着)が出ており、中山1200mよりは楽に追走できそう。ただ、体質的に調整が難しく、もう少しビシビシと調教を詰めるようになれば…と思う部分があります。6Rのマイネルプラヌールはジワっと競馬をすれば長く脚を使えるイメージなので、中山よりも東京のほうが合いそう。着順を上げてこれると思っています。7Rのインスタイルは東京コースが合っており、状態さえ上がっていればここ数戦ほど負ける馬ではないというイメージ。そんなに差はないはずですが……。9Rのウインイクシードは、ずっと乗せていただいているウインマハロの兄弟。似ている部分もあり、いいモノを持ってそうだなと見ていたので、素質を引き出してあげられるように乗りたい。
フローラSのアンネリースは除外になりましたが、日曜も東京で7鞍に騎乗します。4Rのコスモペリドットは南半球産で、これからの成長が見込める馬。前走後からの2ヶ月でどこまで良くなっているかですね。5Rのコスモアルメナーラは初ダートの前走も悪くありませんでしたが、小倉遠征の疲れがあったのかもしれません。リフレッシュして芝に戻れば更に頑張ってくれるはず。6Rのウインカートゥーンは以前の感触から長い距離は合いそう。少頭数で展開利もありそうなので、見せ場以上を目指して頑張ります。9Rのコスモナインボールの前走惨敗は道悪が全て。嫌気がさしてしまったのか、まるで進んで行きませんでした。開幕馬場は歓迎ですし、このクラスと距離なら勝ち負けできる馬です。
なかなか勝ち星を上げられなかった中山開催ですが、最終週は勝利もあり、掲示板にもまずまず載れたりと勢いづけた感じがします。東京開催はまた厳しくもなりますが、ここから勝利を積み上げていきたいと思っています。今週は初めて騎乗する馬が多く、あまり感触を記すことができずスミマセン……。僕はテン乗りの場合、それまで乗っていた騎手に話を聞き、以前のVTRを遡って研究し、そんな中でもいいレースをしていた時のイメージを大切にして臨みます。先入観なく乗れるので楽しくもあり、そこで馬の力を引き出し、改めて依頼いただけるような騎乗ができたら最高ですね。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。