一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
関屋記念はマイネルハニーに騎乗
2017/8/10(木)
新潟に開催が替わって苦戦しています。先週はコスモメイプル(3人気)が最高着順。今回が2走目のダート戦でしたが、返し馬から感触は凄く良かった。ただ、レースに行ってハミを取ったり取らなかったりと相変わらず気持ちが難しく、最後は外から勝ち馬が伸びてきたことでもう一度ハミを取ってくれての②着。このようにムラな部分はネックも砂を被ることは問題なかったので、ダートで3度目の正直になる次こそは勝たせてあげたい。レパードSのシゲルコング(15人気⑬着)も返し馬の感触は良かったのですが、成績に表れているとおりにモマれ弱いところがありますね。向正面に入ってからと3コーナーで自分から頭を上げてヤメてしまうような面を見せていたので、枠順や距離などを含めてキッカケが欲しいところ。もう一度乗せていただけるチャンスがあるなら、ここで感じた部分なども試して力を出し切ってあげたいです。
この土曜は新潟で9鞍に騎乗します。1Rのクインチの初戦は馬が周りを気にする面があり、手探りの部分も大きかった。それを考えれば収穫ある内容だったので、あの競馬を覚えてくれていれば前進が見込めます。5R(2歳新馬)のマイネルソラニテは今週の追い切りに乗せていただきましたが、大きな馬で使いつつ良くなっていきそうなタイプ。次にも繋がるレースを意識したいですね。6Rのピンキージョーンズは、期待していた前走が思っていたよりも走れなかった印象。14戦目にして初めてのダートになりますが、シッカリとした走りをする馬なので向いてくれそう。本来、先行力もあるのでスムーズな競馬を心掛けます。
7Rのウインプラージュの前走は落馬しそうなほど挟まって、馬にも可哀想なレースになってしまいました。その点でスムーズな競馬ができそうな千直はプラス。スピードもありそうなので改めて期待しています。10Rのウインマハロは感触を掴めている馬ですが、どちらかと言うとコーナー4つのコースが合っているタイプ。その点、外回りでどこまで踏ん張れるかが課題も、土曜は雨の予報もあるので、そうなるとこの馬には有難いですね。12Rのテンキセキはモマれ弱いところがあるので、スタートの良さを活かして前々で流れに乗りたい。内か外か、極端な枠順のほうが立ち回りやすいイメージです。
日曜も新潟で10鞍に騎乗します。関屋記念のマイネルハニーは前2走時と変わらずに順調。左回りも合いますし、1600mに距離が詰まることも全く問題ありません。同型との兼ね合いが鍵になりそうですが、無理に競っていこうとは思っておらず、その点でスローの2番手で我慢できた前走は収穫。今回は先団で折り合えるイメージがあります。ひとつ注文があるとすれば、時計が速い馬場への対応。当日は雨が降らないような予報ですが、土曜の雨が残ってくれることが理想ではあります。2Rのコスモライジンは芝だと切れ負けしてしまう部分があります。2走前はダートでも頑張れており、調教だけ動ければもっと上に来れるイメージ。休み明け2走目と相まって期待しています。
5R(2歳新馬)のマイネルテンプスは先週の追い切りに乗せていただいて気持ちは入っていました。ただ、少し緩い部分を感じたので、シッカリ追った分と当週でどこまで変わってきますか。8Rのワンダフルラッシュは降級の前走でクラスでは上の力を感じました。外枠から終始外を回される形でも踏ん張ってくれたので、内回りコースで更なる前進に期待しています。9Rのブルーボサノヴァのハンデ52キロはいいほうに向くと思います。最後はシッカリと脚を使ってくれるので、道中ロスなく立ち回って願わくばペースが流れてほしい。10Rのラッフォルツァートは何度か乗せていただいて左回りの1400mでこそというイメージ。前々で流れに乗せて、しぶとさを活かす得意のパターンに持ち込みたい。
福島から新潟と移動が続き、新幹線の中での息抜きを心掛けていますが、子供達に影響されて最近良く聴いているのがAAA(トリプル・エー) 。ほとんどの曲はもう分かりますし、とりわけ頑張ろうと思った時にはテンションが上がります。あとは稲盛和夫さんの本を持ち歩いていて、悩んだりへこたれそうになった時ほど何度も読み返しているんです。何はともあれ、今週こそは勝利を上げていいリズムで夏競馬の終盤戦に臨めるように頑張ります。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。