一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
勝って締めたい中山最終週
2018/9/27(木)
先週もモーンストルム(2人気)の2着が最高着順。気のいいタイプで自分からグングン行くようなレースを想定していましたが、競馬場が変わったことで周りに気を使っており前半は戸惑いながら走っていたという印象。ただ、ハミが抜けてまた違ったアプローチができたので、相手が強かったことを除けば内容は良かったと思います。アナザークイーン(3人気3着)は前半でもう少しいいポジションがほしかった……。ともあれ、集中してハミを取ってくれて、こちらも次に繋がる内容だったと思います。マイティワークス(9人気3着)は1200mで前半忙しかったものの、内枠と相まって上手く脚をタメることができました。勝ち切れなかったのは残念ですが、ベストな番組がありそうな次開催で改めて期待したい。オールカマーのマイネルフロスト(12人気9着)は前2走に比べれば大分感触は良かった。相手を思えば着順も納得できますし、これから上向いてくるはずです。
この土曜は中山で7鞍に騎乗します。1Rのアドアステラの初戦は終始追いどおしで最後だけハミを取ってくれての4着。競馬を覚えていてくれて、少し楽に追走ができるようなら前進も見込めます。8Rのネコワシは今週の追い切りに乗せていただきましたが具合がとてもいいです。前走でモマれない競馬が合うことが改めて分かったので、ごちゃつかないタイミングで外に出して脚を伸ばしてあげたい。9Rのマイネルアルケミーの前走は時計的には平凡も、まだまだ詰められる手応えを掴みました。オープンとはいえ全頭が1勝馬なので力差はないと思っています。
10Rのコスモアルヘナは自分で競馬を作れるタイプではないので、少しでも展開が向いてほしい。ロスのない立ち回りを心掛けます。11Rのウインフェニックスは初めての騎乗なので今週の追い切りに乗せていただきました。とてもコントロールしやすく、動きは抜群でした。上手に競馬できそうなイメージが掴めたので、せっかくのチャンスを活かせるように頑張ります。12Rのマイネルレヴリーは初芝の前走を使ってからの久々。昇級後は案外の成績でしたが、勝っているダートに戻り、休養効果がいいほうに向く可能性も少なくないと思っています。
日曜も中山で5鞍に騎乗します。2Rのレオンドーロの前走は強い競馬をしており、相手が悪かったという印象につきます。今回は頭数と改めてメンバーも揃いましたが、そんな中でも力は上だと信じて臨みます。5R(2歳新馬)のコスモアドムはなかなか乗り味いい馬なのですが、思ったよりも時計が詰まってこないという現状。初戦に関しては何とも言えませんが、使えば変わってくる馬だと思います。8Rのウサギノダンスは除外により最終週まで待ちましたが、その分だけ乗り込めて態勢は整っているはず。昇級しても通用する力はあると思いますし、前走乗れずも改めて依頼をいただけたので、結果を出せるように頑張ります。12Rのエネスクはハンデ56キロが鍵も中山の1800mはピッタリ。2週続けて追い切りに乗せていただき状態の良さは確認しています。いい競馬をして中山開催を締めくくりたい。
ご覧になった皆さんもおられるかと思いますが、先週土曜はジョッキーカーニバルの宣伝でグリーンチャンネルに出演。朝に急な依頼を受けてのものだったので、準備不足と生放送の緊張でぎくしゃくしてしまいました。さらに、当日はまさかのトークショー担当……。次回はしゃべれる騎手にお願いしたいと同時に、自分も競馬ラボのイベントでトークを磨いたほうがいいかもしれません(苦笑)。障害物競走も目が回って難しかったですが、やっている側としては楽しかったですし、お客さんが盛り上がってくれたのは何よりでした。自分の得意分野が当たってくれることを願いつつ来年も頑張ります!
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。