一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
力が入る未勝利戦
2019/1/31(木)
東京開幕週は勝つことができず、ロージズキング(3人気)の4着が最高着順。休み明けではありましたが状態が良く、東京2100mという舞台も本当にマッチしています。惜しむらくは前半で勝ち馬とのポジション争いが激化してしまったこと。それでも長くいい脚を使ってくれており、次走は何としてもという気持ちです。根岸Sのワンダーリーデル(12人気)は乗り味の良さを返し馬から感じましたし、あのメンバーに入っての5着ですから頑張っています。砂を被るのを道中嫌がっており、直線で外に出してからまたひと伸び。賞金的にフェブラリーS出走こそ厳しくなりましたが、より特徴を把握できましたし、どこかでまたチャンスをいただきたい一頭です。
この土曜は東京で8鞍に騎乗します。3Rのアルママは東京コース替わり、距離短縮、芝スタートと気になるところはありません。ポイントは最後まで気持ちを途切れさせずに走らせられるかどうか。好調キープは確認できていますが、我が強いところは出てきているので、今回こそ決めて一息入れてあげたいです。5Rのコンステレーションの初戦は4コーナー手前でごちゃついて何度も他馬にぶつけられたものの、それでも全く怯まずに根性があるところを見せてくれました。小柄な牝馬なので中1週で馬体のキープが鍵になりそうですが、2戦目の前進に期待しています。8Rのマイネルレンカは東京1600mがやや忙しい面もあるので、上手く流れに乗せてもうひと押しを利かせられるかどうか。馬場には対応できるタイプなので、工夫して乗ってみます。
9Rのマーマレードガールは初戦以来の騎乗になります。昇級してからもクラスで通用するスピードを見せており、自分で競馬をつくれる強味を活かしたい。10Rのサンデームーティエは間違いなく左回りのほうが合っている馬。右回りの中山コースだった前走は、あまりの走りの違いに自分も驚いてしまったほど。あの結果は度外視できるはずで、左回りかつ少頭数のハンデ戦なら巻き返せるイメージです。11Rのマイネルメリエンダは馬が諦めてしまうレースが続いていたものの、前走内容には復調の兆しが見えました。あの内容がキッカケになってくれていれば、このクラスで通用するだけの力は持っています。12Rのコスモロブロイの前走はまるでハミを取るところがなく終わってしまいました。東京1600mで500万を勝っており、現級でも十分にやれると思っている馬。この舞台であれば巻き返せませんか。
日曜も東京で6鞍に騎乗します。2Rのサクラザチェンジはダートに替わった2戦で良さが出ました。距離延長にも対応できそうなイメージなので、上手に流れに乗せて勝ち負けまで持っていきたい。3Rのアドアステラはいつも堅実に走ってくれますが、より東京コースのほうが競馬しやすいタイプ。ここで勝たせてあげられるように全力を尽くします。
5Rのエンジェルカナは新馬当時からセンスを感じている馬で、ここ2戦も上手に走れています。初の東京コースは問題ないはずで、改めて前進を見込んでいます。7Rのリープフラウミルヒは前半急かさずに行かせたいタイプなので、ゆったり走れる東京コース向き。とりわけ1800mでは崩れておらず、身上であるしぶとさを発揮してくれるはず。10Rのマイネルエスパスはこの時期に絞れない傾向があるので、なるべく増えずに出てきてほしいところ。2走前も53キロで頑張っており、軽ハンデを活かせるように立ち回りたい。
最近はコラムで小ネタにできるようなこともなく、調教とトレーニングの合間で時間さえあればTVer(ティーバー)でドラマを観ています。そのために暇がないとも言えるのですが……。特に好んで見るのが裁判や警察もので、被っている題材の中でもそれぞれの局で特徴を出して上手につくっていますよね。ちなみに今クールで一番好きなのは刑事ゼロです。年明け話題になっている映画も多いので、競馬ですっきりと結果を出して、よりいい休日を迎えられるように精進します。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。