一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
とりわけ力が入る未勝利戦
2019/8/15(木)
先週はコスモカッティーボ(1人気)がいいタイミングで勝つことができました。4走目ながらプラス体重で調子落ちなく、先にも繋がる内容だったと思います。立て直したマイネルイヴィンス(2人気3着)は体こそ減っていたものの、気持ちがリフレッシュされてヤル気になっていました。もうひと押し、相手関係につきるという段階です。マイティーワークス(16人気3着)はブリンカーが効いており、新潟1400m戦も合っています。ロスのない立ち回りができ、馬もよく頑張ってくれました。関屋記念のトミケンキルカス(15人気13着)は馬場が速すぎて持てるところがなく、終始余裕がない走りになってしまいました。その前は道悪が敗因だったのですが、反対の意味でかみ合わなかった。時計がかかる良馬場、坂があって他馬がゆっくり仕掛けるコースなどがマッチするかもしれません。
この土曜は新潟で7鞍に騎乗します。1Rのユニティコはどうしてもスタートが速くないため、外回りのマイル戦になるのは歓迎。最後はしっかりと脚を使ってくれるので、改めて前進を見込んでいます。2Rのムーニーヴァレーの初戦は強い2頭に早目に来られてしまいました。砂を被った際など未知なる面もありますが、能力は高く乗り方ひとつで巻き返せるはず。3Rのサクラザチェンジは間隔が空いていた前走でも頑張ってくれました。得意コースの続戦で、とりわけ勝たせてあげたい一戦です。
4Rのシックガニアンは初めての2400m戦。距離は合うと思うのですが、速い脚がないので、ポジション取りと道中のリズムが鍵になります。6Rのアマレーンの前走は思ったほどの反応がなく、初めての千直に参戦することに。ワンペースなところがあるため、このタイミングで新味が出てくれませんか。9Rのタイドオーバーは相手が強い東京コースでも勝ち負けしている馬。前走は続戦の疲れがあったのではないでしょうか。この間隔でリフレッシュさえできていれば、巻き返せる舞台と見ています。12Rのシュピールカルテはモマれると脆い面があるものの、ここ数戦の走りは常識にかかっています。スムーズに立ち回れさえすれば崩れないはず。
日曜も新潟で8鞍に騎乗します。3Rのコスモビートイットの初戦は前半に戸惑ってついて行けずも、直線では突出した上がりを使ってくれました。1ハロンの距離延長は歓迎で、少しでも競馬を覚えてくれてさえいれば、自ずと勝ち負けになると思います。4Rのアイアンゾーンは使って使って内容が良くなってきました。この馬も勝たせてあげたいタイミングです。5R(2歳新馬)のマイネルチューダは続けて追い切りに乗せていただいており、動きがいいです。まだ芯が入っていないのでスタートは課題になりますが、外回りなら長くいい脚を使ってくれるはず。能力が高い馬で、この初戦でどこまでやれるか楽しみにしています。
7Rのコスモビックラコグは前走でも頑張っていますが、もうひと押しが課題。かみ合えば勝つ力はあるはずなので、よりロスのない競馬を心掛けます。8Rのレンズフルパワーは初距離の1800mがどうか。タマれば脚は使ってくれるので、新たな一面を引き出してあげたい。9Rのストロングコンビは少頭数、芝の続戦で競馬はしやすくなりそう。一頭でも多く負かせるように頑張ります。11Rのニットウスバルは展開さえかみ合えば、ここに入っても際立つ末脚を持っています。1月に騎乗した際にイメージを掴めているので、タメて弾けさせる競馬で上位を目指したい。
先週は日曜の競馬帰りに宇都宮で同窓会がありました。お盆の忙しい中でも15人ほどが集まってくれて、原点に立ち返るような楽しい夜を過ごすことができました。夏の新潟開催も残すところあと3週。今週のラインナップ然り、まだまだ宿題は残っているので、一頭でも多く勝ち上がらせてあげられるように全力を尽くします。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。