一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
いい流れで臨める福島最終週
2020/7/16(木)
先週は土曜の福島で2勝することができました。アユツリオヤジ(12人気)は6歳夏にして初芝だったわけですが、福島の馬場ともマッチしていたようで、返し馬から感触がありました。気持ちを途切れさせないよう、直線も早目の仕掛けでという的確なオーダーをいただき、作戦もかみ合ってくれました。とはいえ、到底フロックではできない走りだったので、新たな可能性が広がったこれからが楽しみです。ブルーバード(4人気)もレースで初めて乗せていただきましたが、届くかなという位置から、凄くいい反応をしてくれました。あの馬場で勝ってくれたとはいえ軽い走りをするので、硬い馬場ならもっと切れ味が増しそう。この時期の新馬勝ちですから胸が躍りますね。
この土曜は福島で7鞍に騎乗します。 2Rのファーステストクーの前走は、東京の好メンバーの中に入って頑張ってくれました。福島コースで上手く流れに乗せていけば、もう一歩前進があるイメージです。5R(2歳新馬)のベルリーソは追い切りに続けて乗せていただき、やる毎に動きが良くなってきました。非力さも残っており使いつつ良くなりそうですが、現状における力は出せるはず。お母さんのサルヴェレジーナに思い入れがあることもあり、デビューを楽しみにしてきた一頭です。
7Rのマイネルチューダの前走は同じレースに乗っていましたが、3着以下を離して勝ちに等しい内容。3走振りの手綱になりますが、何とか勝たせてあげたいタイミングです。10Rのヴォイスオブジョイは未勝利以来の騎乗ですが、実績どおりに福島1200mはベストというイメージ。差しが届く展開が理想なので、最終週の馬場もマッチしてくれませんか。11Rのコスモカレンドゥラは操縦性が高い馬で、どんな競馬にも対応してくれそう。間違いなく3勝クラスも通用する馬ですが、今回は7ヶ月振りという久々がどう出るかに尽きると思います。
日曜も福島で8鞍に騎乗します。 4Rのマイネルエルガーはコンスタントに使われてきましたが、今週の追い切りも好感触で状態をキープできています。不運にもここ2走は道悪。馬場が悪いと進みが悪くなってしまうので、何とか乾いた馬場で走らせてあげたいところです。5R(2歳新馬)のスウィートブルームは続けて追い切りに乗せていただいて力を出せる態勢。6R(2歳新馬)のコスモサンレミと共々、初戦から走ってくれるタイプと感じており楽しみにしています。
8Rのマイネルテナシャスは間隔が空いていた分か、もうひとつだったという追い切りを引きずってしまったのかもしれません。連闘にはなりますが、素質ある馬で上積みに期待しています。9Rのマイネルコロンブスはエンジンがかかるまでゆったりしたところがある馬。福島最終週の馬場は合うと思うので、51キロのハンデを利して前進させてあげたい。10Rのテキスタイルアートは、どうしても後ろからの競馬になってしまいがち。流れに乗せてあげることが理想ですが、そうならなかった場合にも工夫は凝らしてみます。
どうしても毎週話題にしてしまいますが、この木曜で286人という過去最多の東京を中心として新型コロナの感染に歯止めがかかりません。そんな中でも、セレクトセールの盛況は競馬に携わる人間として頼もしかったです。開催するまでの主催者側の苦労は想像に難しくありませんし、週末のレースもあの熱に負けんと盛り上げていきます。その後に楽しみにしているのが19日夜にスタートする半沢直樹の続編。自分はここ2週の総集編でテンションを高めて準備万端です。視聴率で新型コロナの感染防止にも一役買ってくれるのではないでしょうか。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。