一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
関屋記念はソッサスブレイに騎乗
2021/8/12(木)
先週のダリア賞はクビ差の2着もコムストックロード(1人気)が頑張ってくれました。スタートも決まって4角まではプランどおりの運びで上手く行きましたが、前の馬を抜こうとすると逃げて、外から来られると逆の方に逃げてと、勝負所で若さを見せてしまいました。しかし、課題は明確で良くなる余地がまだまだありますので、経験を積ませつつもっと上を目指していきたい。コスモフロイデ(6人気4着)は芝2戦目で前向きさが出て、2走前と同じ着順でも次に繋がる内容でした。適性が掴めた感もあるので引き続き楽しみです。マイネルグロン(3人気4着)も一生懸命に走っていますが、この馬には時計が速すぎたかもしれません。内容は悪くなく権利は取れたので、開催が進む次走こそはという思いです。
この土曜は新潟で6鞍に騎乗します。2Rのマイネルアルザスは2戦目の前走で粘りが増して、新潟コースへの適性も見せています。最初のレースで結果を出して自分もリズムに乗っていきたい。5R(2歳新馬)のヒメゴゼンは続けて追い切りに乗せていただいています。晩生で段々と良くなってくる血統なのですが、この馬は現時点で兄弟よりもしっかり動けています。初戦から態勢が整っており、本当に楽しみなデビュー戦です。11Rのアルミューテンは自己条件でハンデの53キロもいいですね。千直適性は問題ないのですが、横から寄られると怯んで力を出せないタイプ。ごちゃごちゃしないスムーズな競馬がしたいので、外枠が理想として真ん中ならむしろ内枠のほうがいいくらい。自分もまずは枠順に注目してプランを練りたいと思います。
日曜も新潟で7鞍に騎乗します。関屋記念のソッサスブレイは回避馬が1頭いた関係で入ってくれました。先週の回顧で書かせていただいたとおり、今は本当に具合がイイんです。今度は重賞なので甘くはないと思いますが、デキの良さを活かすような乗り方をしてあげたい。3Rのサバイバルアートの初戦は返し馬から雰囲気が良く、人気を覆す走りをしてくれました。使って気が乗りそうなタイプに感じたので、パドックから落ち着いていてくれれば力を出せると思います。7Rのマイネルパリオートは能力がある馬なのですが、休んでからの3戦がもう一歩。状態さえ戻っていれば勝つチャンスがあるはずなので、外回りコースで力を出してあげたい。12Rのアイアンゾーンは芝の続戦で距離短縮。着順ほど走れないイメージの馬ではないので、そろそろキッカケを掴めませんか。
あっという間にオリンピックも幕を閉じてしまいましたが、先週話題にした野球の決勝戦は熱かった!地の利を活かすのも実力があるからこそ、日本選手団は金メダル数も過去最多で、アスリートの方々には本当に力をもらいました。相変わらずコロナ禍が大変な状況ですが、8月24日(火)には馬術の高嶋活士の活躍を楽しみにしているパラリンピックが開幕。今週から競馬も3場開催に戻るので、先駆けて真夏を盛り上げていきたいですね。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。