一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
勝手知ったる楽しみなラインナップ
2023/9/28(木)
あっという間に中山開催も最終週。3週終えても芝の状態が素晴らしく、どこを通っても有利不利は出にくい馬場。自分は時計がかかってほしい派なのですが、週中の天候からも速い傾向は変わらなそうです。先週は土日1鞍ずつでレース間がたっぷりあってウズウズする週でしたが、パトロールビデオをしっかり見て、自分が乗っていた馬の研究や騎乗したジョッキーにも話を聞いて、有意義な時間にすることはできました。それでもやはり乗せていただいてこそなので、次のチャンスに活かすべく努力を続けていきます。
この土曜は中山で4鞍に騎乗します。2Rのアオイラリュヌは中間の調教に続けて乗せていただいており、動きは悪くありません。距離を延ばした前走は止まり方が急だったので、1200mへの距離短縮はマッチしそう。この条件で次に繋がる競馬をしてあげたい。4Rのマイネルエムロードの初戦は馬体に余裕があって、気持ち的にも少し後ろ向きでした。使って今週の追い切りは上向いた感触があったので、一歩前進に期待しています。
7Rのターコイズデューは勝ってからお休みして、気持ちの面でリフレッシュして臨めそう。いい内容で勝ち上がっての昇級緒戦ですが、どちらかと言えば使いつつ体が軽くなってくるタイプ。それでも調教はしっかり積んでいるので、今の態勢でどれだけやれるか楽しみです。9Rのキャントウェイトは新馬勝ち後も順調にここまできました。追い切りも続けて乗せていただいており、テンションが上がることもなくむしろ慣れが見込めそう。少頭数ながらもオープンで相手が揃っていますが、自分としては春に繋げたいという一心です。
日曜も中山で3鞍に騎乗します。1Rのヨッコサンも前走後からここまで順調にきています。同コースで一変と言っていい内容からの続戦なので、改めて力が入る一戦です。
2Rのゴールウェイガールは2戦目の前走で気が入って行きっぷりが変わりました。スピードがある馬なので、時計の速い良馬場で持ち味を活かしてあげたい。4Rのミニョンルミエールは休み明けの前走がここに繋がりそうな内容でした。使ってグンと上向くタイプでもあるので、紅一点(13頭立てで牝馬1頭)の奮闘に期待しています。
先週に竣工式を終えて、今週プレオープンで美浦トレセンの新坂路に入れるようになりました。距離と勾配を考えてか現状は軽い走りやすい馬場なのですが、乗った感触と息遣い的には馬に疲労が溜まる感じではなさそう。上手く使っていけば間違いなくレベルが上がりそうな素晴らしい施設なので、これからの美浦調教馬に注目してください。また、これにてウッドの混雑が解消されるのも何より。事故なくオープンまで辿り着けたことも、皆で注意を怠らなかった賜物だと思います。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。