一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
同世代の引退とリスタート
2024/3/7(木)
先週はマンマミーア(4人気2着)が最高着順。調教にずっと乗せていただいて感触を得ていました。競馬での行きっぷりも全然違っていたので、次は勝ち上がらせてあげたい。コスモフリーゲン(2人気4着)は減っていた馬体を戻しつつ調教を積んでいたのですが、結果としてマイナス10キロの影響があったと思います。それでも昇級緒戦で厳しくなった展開をよく踏ん張って地力を示してくれました。次開催の中山に適鞍があるので、そこに向けてつくり直していきたい。
この土曜は中山で3鞍に騎乗します。5Rのハニーディライトは初戦で乗せていただいた時よりもしっかりして、追い切りの感触が良くなってきています。芝に戻って距離を延長しますが、条件さえマッチすれば前進がありそう。
6Rのシグムンドの前走は2戦目で頑張ってくれました。今週の調教でもまだ戸惑いながらの面があるので、そのあたりを考慮しつつ競馬を覚えていてくれたらなと思います。7Rのキャントウェイトの前走は、超スローペースになってよーいドンの展開が向かなかった。結果として内枠が仇になりましたし、中山のほうが立ち回りやすいタイプ。巻き返しに力が入る一戦です。
日曜も中山で4鞍に騎乗します。6Rのラムゼイテソーロは競馬で初めて乗りますが、前走の勝ち方が良かったですね。厩舎の方から状態面の良さも聞いているので、よく研究して結果を出せるように臨みます。8Rのキガサは中山ダートの長距離戦でこそ。いつも自分の力は出し切ってくれるので、上手くこの馬向きの展開になってほしい。
11Rのエチャケナもレースで初めて乗ることになります。ダートで勝ち上がった馬ですが、乗ったことがあるジョッキーに聞くと皆が「芝向き」と言うんです。タマれば脚を使ってくれそうなイメージです。12Rのジャーニーメモリーはもともと力がある馬なのですが、ここのところ淡泊なレースが続いています。勝ったコースに戻ってキッカケを掴んであげるような乗り方を意識したい。
定年を迎えられた調教師さんの引退に続き、今週は同い年の武士沢友治騎手が引退します。彼はひとつ下の13期生なのですが、話しやすく一緒に切磋琢磨してきた仲だけに寂しくなりますね。ただ、癖があるタイプを乗りこなしてきた馬乗り上手かつ人当たりもいいので、技術を若い世代に繋げる競馬学校教官というのは持ってこいだと思います。
そんな一方で、騎手時代の同期であった福永祐一調教師が今週から開業されました。実績は語るまでもなく勉強家、精鋭スタッフさん揃いで成功は約束されていると思うので、むしろ自分のほうが乗せてもらえるチャンスを掴めるように精進していきます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。