
2016年の阪神JSでJRA史上初の同一重賞7年連連対記録などJUMPレースの顔として活躍する高田潤騎手。 そして、ファンサービスの積極性は競馬界一とも噂される熱き男の生の声をお届けします!
悲しいお別れ…
2025/3/14(金)
高田潤です。
先週は本当に悲しいことがありました…
3/9の中山のジャンプレースで落馬してしまい、僕は大丈夫だったんですが、騎乗していたスズカマジェスタは上腕骨を骨折してしまい予後不良となってしまいました。。
レースでは、障害デビュー戦とは思えないほど華麗な飛越をしてくれていたマジェスタ。手応えよく迎えた最終障害でもしっかりと飛んでくれたんですが、着地で濡れた芝生に少し肢を滑らせてしまい転倒してしまいました。
僕は馬場に投げ出される格好になりましたが、この障害では他にも3頭の落馬があり、すぐに救護の救急車が到着し僕以外の3名のジョッキーはすぐに搬送されましたが僕は自身の身体が無事であった為(本来無傷であってもすぐに救急車に乗らなければいけませんが)自分のことよりもただただマジェスタが無事でいて欲しいという一心で無理を言って救急車には乗らず、横たわるマジェスタの元へ駆け寄りました。
自分は声をかける馬体をさするくらいしかできず、何かできるわけでは無かったのですが、どうしてもその場を離れることは出来ませんでした…
しかし、駆けつけて下さった獣医さんや馬事係の職員さん達の懸命の救助でもマジェスタは起き上がることが出来ず、だんだんと次のレースの時間も近づいていたこともあり、鎮静をかけて馬運車に乗せることとなりました。
獣医さんが鎮静をかける直前、それまで全く動けずターフに横たわったままだったマジェスタが突如一度だけ「ヒヒィーン」と大きな声をあげました。そして横たわったまま芝生をむしゃむしゃと2,3回口に含み、ゆっくりと目を閉じました。
診療所での検査の結果、右上腕骨骨折と診断され予後不良となってしまいました…
マジェスタには今年に入ってからずっと毎日調教で跨っていて、しっかりと練習を積んで自信を持ってレースを迎えていましたので本当に辛いです。普段の調教からレースにおいてまで常に一生懸命で真面目で勇敢な馬でした…
マジェスタと関係者、そして応援して下さった皆さまには本当に申し訳ないです…最後まで一生懸命頑張ってくれたマジェスタ、本当にありがとう。どうか安らかに。。
レースにおいて危ない場面や、いざというときに騎手を守ってくれるのが馬です。僕は今までにも何度も何度もそういった場面で馬に助けてもらってきました。馬は騎手を乗せ、命をかけて一生懸命全力で走ってくれています。
ですので僕は日々、馬に感謝し、馬に愛情をもって馬とのコミニュケーションを非常に大切にしています。
そして、馬を守るのも騎手の仕事だと思っています。その為、良い状態でレースに向かえるように、少しでも事故が起きないように、減らせるように、日々の調教においても一頭一頭考え、その馬に合った最善の騎乗が出来るように心がけています。
マジェスタの分もまたしっかりと努力して前を向いてこれからも騎乗していきたいと思います。
プロフィール
高田 潤 - Jun Takada
1980年11月3日生まれ、大阪府出身。
1999年に松田博資厩舎所属から騎手デビュー。デビュー当初から、平地・障害の垣根を越えた活躍を続けると、2006年にはドリームパスポートで神戸新聞杯を制覇。これが平地重賞初勝利となった。
一方、2008年にはキングジョイとのコンビで中山大障害を制し、キャリア初のJG1勝ち。2013年には待望の障害リーディングに輝いた。
また、2009年には師匠である松田博資師の元を離れ、フリーに転向。2012年にも生涯の伴侶を得るなど、公私ともに充実期を迎え、障害競走の次代を担う存在として更なる活躍が期待される。