待望の二勝目は悲願の一勝になるレッツゴードンキ
2015/4/5(日)
－：桜花賞(G1)に出走するレッツゴードンキ(牝3、栗東・梅田智厩舎)ですが、前走のチューリップ賞は休み明けのレース。どのようにご覧になっていましたか？
梅田智之調教師：いかにもトライアル仕様という感じで、余裕を持たせて作りました。放牧明けにしては馬体が細く見えましたので、食べさせながら、という感じでしたね。落ち着きはあったのですが、体の部分が足りなく見えたので、バランスを取りながらの仕上げでした。レースに向けて目一杯の仕上げではなかったですし、結果3着というのは悪くなかったのかなと。ただし、内容としてハナに行ってしまったのは少し誤算でしたが、馬場の悪い内を通りつつ、目標にされても3着に入ったのは能力があるからこそだと思います。今回は本番なので、しっかりと仕上げて悔いのないようにと思っています。
－：チューリップ賞の前に様子を見させていただいたのですが、その時は休み明けということで、少しテンションが低いように見えました。先生としても気持ちを高ぶらせるようなことはしたのですか？
梅：少し掛かっていくようなところがある馬ですので、これくらいが良いのかなとは思っていました。1回使えば変わるでしょうから、気持ちの面ではあまり気にせずに、チューリップ賞の時は余裕を持たせてということでしたね。
「ウチの馬は時計が速くても遅くてもどちらでも構いませんし、天気に関しては気にしていないですね。そこはこの馬の強みだと思います」
－：馬体重的にはプラス2キロの出走でしたが、それは理想のものでしたか？
梅：いや、もう少し増えていれば、というところですね。帰ってきた時に痩せていたので調整が難しくなりました。(ハードな調教を)すれば減りますし、それでも体重は増やしたい。かといって、しなければ勝てないですしね。ただ、トライアルなので、これくらいで丁度良いだろうというところでした。
－：振り返りますと、札幌から帰ってきてアルテミスS、阪神JF、チューリップ賞とタフな馬場のレースの中でもしっかりと走ってきました。今の阪神の馬場でも十分にいけると思うのですが、その辺りはいかがですか？
梅：内、外の有利不利がなければとは思いますけどね。
－：ただ、それがあるのが桜花賞の舞台でもあります。
梅：そうなんですよね。当日の馬場状態になるのかなとも思いますね。ただ、ウチの馬は時計が速くても遅くてもどちらでも構いませんし、天気に関しては気にしていないですね。そこはこの馬の強みだと思います。
前走は余裕残しの仕上げ、と逆転を目論む梅田智之調教師
－：阪神JF前のCWコースでの追い切りの時はかなり引っ掛かっていました。
梅：1週前の時ですね。浜中騎手に乗ってもらったのですが、持って行かれてしまって。前2頭を追う形だったのですが、向こう正面のところでマクってしまい、メチャクチャな時計になりました。それもあり、翌週は乗らない予定だったのですが、浜中騎手が乗せてほしい、というので乗ってもらいました。その時は坂路でしたが、しっかりと折り合っていましたね。
－：ハミを換えたのですか？
梅：トライアビットというハミに換えましたが、それが良かったのかは分かりませんね。
－：実際にレース後の浜中騎手の話では「追い切りではコントロール不能になってしまいましたが、実際のレースではそれほどでもなかった」と言っていました。
梅：レースに行けばペースは上がりますし、桜花賞なら尚更ペースは上がると思います。前走の時は行く馬がいなかったので、余計にあのような形になってしまったのだと思います。今回は行く馬がいそうですので、競馬はしやすくなるのではないかなと。
－：チューリップ賞を見て感じたのは、内目の枠で馬の後ろで運べる展開が良いのかな、とは思ったのですが。
梅：そのつもりでいましたよ(笑)。その予定でしたが、スタートして一瞬は岩田騎手も抑えて、馬の後ろにつけようと思っていたでしょうが、少し様子を見て「これはダメだ」と思ったのでしょうか、すぐに抑えるのを止めましたからね。馬の後ろにつけていれば、結果がどうだったか分かりませんが、あの条件の中でよく粘ったと思いますよ。
－：普通の馬なら大敗のパターンですからね。
梅：直線坂を上がって止まるところでしたが、あそこでも馬は頑張っていましたからね。大したものだと思いましたよ。
－：アルテミスSから3戦続けてココロノアイとの対戦となっています。現状ではどっこいどっこいと言いますか、常に上位争いを演じていますね。
梅：僕もあの馬は強いと思いますよ。今回もココロノアイとの勝負になるのかな、とは思っています。
－：そこにプラスしてルージュバックやクイーンズリングといった強敵とは初対戦になります。ファンとしては楽しみなところなのですが。
梅：3戦3勝の馬も何頭かいますし、女王(ショウナンアデラ)がいないだけで、面白いレースとは思います。しかし、ウチの馬は相手だけではなくて、自分の競馬ができるのかが重要だと思っています。それができればいい結果がついてくるのかなと思っているのですが。
－：現在の競馬界は乗りやすい馬を良しとするところがありますが、このようなクセのある馬でハマれば良い脚を使ってくる馬も魅力的だと思います。
梅：そうですね。今は自信を持っていますよ。レースまではあと10日位ありますが、そこまで上手くもっていければと。
レッツゴードンキ・梅田智之調教師インタビュー(後半)
「初のG1タイトルはこの馬で！」はコチラ⇒
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プロフィール
【梅田 智之】Tomoyuki Umeda
父はマイルCSを2連覇したダイタクヘリオスなどを育てた梅田康雄調教師。競馬学校厩務員課程を経て、96年から西橋豊治厩舎に調教厩務員、調教助手として所属。06年から厩舎を開業。12年の大阪杯をショウナンマイティで制して重賞初制覇。昨年秋、アドマイヤラクティがオーストラリアのG1コーフィールドCを制してG1初制覇が海外G1という快挙を達成。続くメルボルンTで非業の死を遂げるも、レッツゴードンキが重賞で活躍。桜花賞でJRAG1初制覇へ挑む。
1969年滋賀県出身。
2006年に調教師免許を取得。
2007年に厩舎開業。
初出走：
07年3月10日 1回中京3日目11R エミネンツァベルタ
初勝利：
07年4月7日 2回阪神5日目5R メイショウハナミチ
【高橋 章夫】 Akio Takahashi
1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて18年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。
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