元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
ニホン
2016/1/28(木)
相撲では、なんと琴奨菊関が優勝し、10年ぶりに日本人力士が優勝しましたが、先週の競馬界でも日本人騎手がやってくれましたね!まずは、競馬界のレジェンド武豊ちゃんが、怪我の四位君に代わりディサイファに騎乗し、見事AJCCに優勝し、30年連続の重賞制覇という記録を残しました。レースも言うことがないくらい完璧でしたね。スタート直後から良いポジションを取り、レースの流れから内ラチ一頭分を空けて進むと、スムーズに4コーナー手前からポジションを上げ、そのまま押し切る形は本当に見事でした。あそこで内ラチにつけてしまっていたら、今回のコース形態と展開では、まず勝ちはなかったと思いますからね。しかし、今回の勝利で、改めてディサイファは器用な馬だなと認識させられましたし、強さが目立つと言うよりは、平均して水準以上のものがあると感じます。この勝利で、次走をドバイへと決めたようですし、モハメド殿下の馬が、日本からドバイへの凱旋帰国での挑戦には、今から楽しみでなりません。
そして、中京でも日本人ジョッキーの太宰騎手が見事なレースで東海Sを制しました。レース前には1番人気のロワジャルダンに騎乗予定だった浜中君が落馬負傷のため、横山和生君に代わるという事態もありました。そんな中、ハナを奪ったモンドクラッセと田辺君が上手いペースで持ち込むと、逃げ切るか!?と思ったところ、外から虎視眈々とモンドクラッセを目標にしていたアスカノロマンが抜け出すと見事1着で優勝しました。太宰君は2012年の札幌記念以来のJRA重賞制覇となり、よく見ると重賞を勝ったのがフミノイマージンとアスカノロマンと名前の最後に「ン」がつく馬との相性が良いのかなと感じますね(笑)。これからも、太宰君と「ン」に注目していきたいと思います。
今週もフェブラリーSに続く道と高松宮記念に向けて目が離せない戦いが行われます。まず根岸Sでは、磐石の準備をしてきたモーニンに注目が集まります。ゆったりと育てられてきた雄大な馬格と大きな骨格は、まさにパワーの塊のような馬ですからね。今回は戸崎君が騎乗するとのことで、更に人気を集めることになるのではないでしょうか。その他にも決め脚勝負が得意なアンズチャンやレーザーバレットも面白いレースをするでしょうし、このメンバーではタガノトネール陣営も負けられないと思っているでしょうね。混戦のダート戦線は、まだまだチャンスはあります!一体、どの馬がここを制し、王者決定戦フェブラリーSに挑むのか、今年最初のG1を勝つためには見逃せない一戦ですよ!!
そして、高松宮記念に向けて阪急杯が京都競馬場で行われます。ここでの注目はやはりビッグアーサーになるのではないでしょうか。今回から新たにミルコとのコンビになる当馬。使い詰めになっていることに少し不安を感じますが、得意のスプリント戦で、もう負けられない一戦でしょう。その他の注目は、短距離戦で才能開花、今回も重賞をさらっていくのかサトノルパン、積み上げてきた汗と努力は二人の結晶ローレルベローチェと中井裕二騎手、そして、末脚は本物!勝利の舞を今日こそ!ダンスディレクター。どの馬が勝利し、3月の中京へと繋げることができるのか。開幕から4週目で外差しも決まるようになってきた淀で、電撃の6ハロンを見守りましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。