元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
トライアルの意義とは!?
2016/10/5(水)
皆様、こんにちは!台風がまたもや上陸し、家から1歩も外に出ることができず、テレビをボーっと見ている松田です。テレビでは東京都の築地問題が流れ、なぜこのようなことが起こっているのかと憤慨しています。そうしていると、シンハライトが故障というニュースが流れました。前走のコースコンディションで、あの激走で心配していましたが、まさかの出来事に動揺が隠せないです。やはり、勝たなくてはいけない馬でもトライアルはトライアルらしい競馬をする方がいいのか?とまた競馬について考えさせられる内容となりました。
トライアルを圧勝したビッグアーサーにとっても厳しい結果となりました。スプリンターズSの話に参りましょうか。今回はスタートの出があまり良くなく、その間に詰められ、コースが無くなると道中も厳しいレースとなり、最後はバタバタとした内容で敗戦となりました。こちらも以前に雲行きが怪しいと書いたように、トライアルで結果を求めすぎたため、この様になってしまったと思います。
逆に休み明けから、乗り込まれたレッドファルクスは最高の競馬をしましたね。スタート良く出ると絶好のポジションから中山を知り尽くしたミルコの絶好のタイミングでの追い出し、直線では1番人気のビッグアーサーを締め切ったあのシーンが勝因だったと思います。やはり、馬の力があることもそうですが、ミルコの勝負懸かった乗り方は大きいレースで、他の騎手も厳しい戦いをするGIでは活きますね。平場であそこまでタイトに強く追えば馬が疲れて後がなくなりますからね。今回は狙っていたレースに抜群の騎乗が噛み合い、見事な勝利だったと思います。
そして、日本馬マカヒキが凱旋門賞に挑みましたね。前哨戦より、こちらも雲行きが怪しいと言っていたことが現実になり、大変悔しい結果となりました。今年は例年のロンシャンではなくシャンティイでのレースになりましたが、本番特有の空気と各陣営の作戦にまんまとハマってしまった感がありました。スタート直後には、いつもよりも前目のポジションを取ろうとする中、ハイアンドリールに張られるように外に出されると、外にいながら他馬からプレッシャーを与え続けられるようなレースとなりました。
鞍上のルメールもある程度は覚悟していたことでしょうが、勝つためには、更なる覚悟を決めた乗り方が必要だったのではないかと思いました。それは急にできるものではありません。普段から自分でレースを作るようにしなければできないです。それがあからさまに出てしまったレースにも感じました。日本馬の挑戦は⑭着となりましたが、再度、いや何度でも挑戦し、いつしか当たり前のように日本馬がフランスでも勝つようになって欲しいと願っています。
さて、開催が変わり、京都、東京で早速の3日間開催が行われます。新設重賞サウジアラビアCに、毎日王冠、京都大賞典と注目のレースが続きます。 その中でも私の注目は毎日王冠ですね!今回は前走屈辱の負けをしたリアルスティール(※追記 6日朝に出走回避を表明)が出てきます。しかし、前回の負け方に、最大斤量、休み明けとなると不安は多いのも確かです。どんなレースを初コンビのミルコが挑戦するのかは楽しみですけどね!逆に54キロと4キロ差を貰うルージュバックにはチャンスが来たのではないでしょうか?その他にもディサイファにアンビシャス、ステファノスと実力があり馬が集まるだけに、非常に楽しみな一戦です!3連休は3連戦!皆様、是非、競馬場へ!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。