元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
世界をご賞味あれ
2017/8/24(木)
皆様、こんにちは!まだまだ夏は続きますね。甲子園はこの記事が掲載される頃には優勝が決まっていますね。そして、先週の栗東では、夏の恒例行事栗東トレセン祭りが開催されましたよ。今年はゲストにクマムシとやしろ優さんが来て盛り上げてくれました。毎年、直接見に行かなくても、声がトレセンの周りまで響くため、今年は家にいながら「暖かいんだからぁ~♬」を聞くことができました。まぁ、でも外は夏の残暑で暖かいんだからぁ~よりも「むし暑いんだからぁ~」ですけどね(笑)。
さて、ムシムシ暑い季節ですが、競馬に休みはありません!先週は札幌でG1昇格を狙う札幌記念が行われました。レースはスタート一番ロードヴァンドールがハナを奪う形になり、2番手にはマイネルミラノがつけました。ペースとしては、ややゆったりに見えたのですが1000m通過は1分ジャストほどでしたね。その逃げ馬を見ながらエアスピネル、ヤマカツエースが続く中、枠順からも内々をサクラアンプルールが前の2頭を目標に競馬を進めました。
迎えた4コーナーでは、一気に外へと加速した蛯名君とサクラアンプルールが前を行く人気2頭を抜き交わし、見事な勝利を収めました。②着にはナリタハリケーンが入り、大荒れとなる結果となりました。しかし、前回の敗北を糧にしたサクラアンプルールと蛯名君は見事と言うしかない騎乗でしたね。生まれた土地で、今年から再度、滞在競馬を選んだ蛯名君にとって、今回の選択は正しかったと証明するような勝利でしたね。また、サクラアンプルールも本当にデキが良かったですね。返し馬を観て、今回はいけるんでは?と思いましたが、まさに勝利という結果で見せつけてくれましたね。一度地方競馬を通じ、戻ってきた馬ですが、本当にいい馬ですね。ずっと気にしてきた馬だったのですが、まさに雑草魂という感じで、これからも応援したい一頭です。
小倉では北九州記念が行われ、見事ダイアナヘイローが4連勝を決め、重賞制覇をしました。こちらは500万を勝つまではなかなか気性的な難しさがあった馬ですが、豊ちゃんを含め、騎乗してきた騎手やスタッフが根気強くやってきた結果だったのではないでしょうか。ひとつのレースの結果だけを見れば、ファンの皆様にとっては、ダメだ!となる馬でも、トライし、レースでも教えていくことができたら化けることがあることを、この馬が証明してくれたのではないでしょうか。新馬戦でも、よく「まだ子供でしたね」や「これで競馬を覚えてくれたら」などコメントが出ている馬は、結果だけでなく、その不安点が解決できていれば狙い目と覚えていてもらうと、前回の着順だけでなく、馬券も更に楽しくなると思います。
今週はWASJが札幌で行われます。例年通りお祭りのレースですが、レースはレース。皆が真剣に優勝を狙ってきます。日本からは去年の優勝者ミルコを始め、戸崎君、内田君、田辺君、そして豊ちゃん、ルメール、福永君と豪華なメンバーが選出されました。世界選抜も豪華なメンバーとなり、大変楽しみな戦いとなりそうです。
その他にも札幌ではキーンランドCが行われます。ここで本命になりそうなのは、距離を短縮して挑むモンドキャンノではないでしょうか。元々、距離が不安のままマイルに挑戦していましたが、適性距離はここだと私は思っています。その他には、状態が整っていればシュウジやソルヴェイグも面白いと思います。あとは雨が降ればエポワスは非常に向くと思います。天候や馬場を読みきり、見事勝ち馬券を手にしてくださいね!世界レベルとキーンランドC、どちらからも目を離さないようにしてください!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。