元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
飛ぶ重戦車
2019/8/14(水)
皆様、こんにちは!世間はお盆休み真っ盛りの中、関西には台風がやってきています。大きな台風だけに被害が出ないことを願いつつ、お世話になった御先祖様への挨拶をしっかりとしていきたいなと思います。さて、甲子園では智弁和歌山が勝ち上がりました。智弁和歌山と言えば魔曲と呼ばれるジョックロックがありますね。テレビで見ているこちらでもこの曲が流れるとゾクゾクとした感じになり、なぜか打つ気がしてきますからね。こう見ると競馬も騎手毎に応援歌や入場曲があっても面白いなと思わされてしまいますね。少しずつでも競馬界がファンの皆様を盛り上げる企画をしてほしいとも思います。
そんな中、新潟では関屋記念、札幌ではエルムSが行われました。とりわけ関屋記念は面白いレースになりました。1番人気に選ばれたのは、力は抜けているミッキーグローリーでした。しかし、9カ月ぶりのレースを心配していましたが、返し馬で、あの重戦車のような体から繰り出される軽いフットワークを見た時、あとは息が保つかどうかだなと思わされました。その他にもソーグリッタリングが非常に良く映りました。この2頭に走りが安定してきたミエノサクシードや調子が良くなってきていたのが目に見えて分かったロードクエストに注目してレースを見ていましたが、勝利したのはミッキーグローリーとルメールのコンビでした。
ルメールは久しぶりの新潟、暑い中でのレースということもあり、前半戦を見て調子を見極めようと思っていましたが、勝つべくところでしっかり計って勝ち、乗り方としても最高の騎乗をしていたのを見て、これは心配がないなと思っていましたが、まさに心配どころか、馬の力を信じきった騎乗で勝利しました。もうお見事というしかありません!ただ、脚元が弱い血統で550キロを超える馬体に、あの瞬発力というのには、少しケガの心配をしてしまいました。しかし、今回の勝利は秋に向けて、素晴らしい結果となりました。G1戦線でも最も注目がいる一頭になったと思います。
2着にはミエノサクシードが入りました。こちらは見慣れた川島君とのコンビでしたが、今回は盤石のレースだったと思います。直線の途中までは「信二!男をみせろ!」と叫んだくらいですからね。あと斤量が1キロ軽ければとタラレバのように見てしまいましたが、十分な結果だったと思います。3着には調子の良さが見えたソーグリッタリングが入りましたね。浜中君としてはここで1000勝を決めたかっただけに非常に残念でした。しかし、こちらも競馬としては安定してきただけに、いつか重賞を獲るのではと思ったレースでした。
それでは、今週の重賞の話をしましょう。もちろんG1と言っても過言ではない札幌記念をフューチャーします。その中でも、ここまで別格の走りを見せているフィエールマンがどこまでのレースをして凱旋門賞に挑むのかという楽しみが非常に大きいです。ここでは結果よりも内容になるでしょうが、世界のレースを制すためには負けてもらっては困ると思います。ここでどうなるかで先が見えるブラストワンピースにも注目です。目黒記念では斤量よりも走り方が気になりました。川田騎手がどんなレースをするのかに注目しています。その他にもダービー馬ワグネリアンが出馬してきますし、馬具変更が楽しみなペルシアンナイトもいます。そこに札幌巧者のサングレーザーまでが勝負ラインかなと思います。涼しいはずの札幌が熱くなる札幌記念!ぜひ、生観戦で熱を感じましょう!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。