元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
川田WEEK
2019/8/29(木)
皆様、こんにちは!九州では大雨が降り、佐賀では佐賀駅が水浸しになる被害がありました。車が水没するなどの被害もあり、大変なことになりました。しかし、少し前から日本に起こる事故や事件、天災の規模、全てが昔と比べると大きくなってきているような気がしています。その他にも、韓国との関係も非常に気になります。一体、どうなってしまうのか。ただただ、祈るばかりです。
そんな暗いニュースが多かった週ですが、競馬は続きます。まずは札幌で行われたキーンランドCでは、薬物問題でスケジュールにズレが出てしまっていたダノンスマッシュが圧巻の走りで勝利しました。レースは前半からかなり速いペースになりました。しかし、王者はどっしりと構えると鞍上の川田君も自信に溢れた騎乗をしていました。外目につけると、ペースを合わせながら馬のリズムで進め、最後は川田君らしく馬を動かし、圧勝だったと思います。最近の川田君はリーディングトップにいることだけでなく、重賞でも安定した結果を出していることで自信に溢れた騎乗が多くなってきました。ここにきて、ワガママだけでない自分の形を進化させたと思いますね。
4コーナーから直線に向けての馬のバランスの取り方に関しては、今やNo.1ではないかというくらい上手いですね。このことにより、他の騎手よりも早めから馬がバランスを取ることができ、なおかつ剛腕で動かすため、足りない馬も勝たせることができていると思います。2着にはタワーオブロンドンが入りました。今回のレースは、ルメール騎手としても完璧に乗った結果だと思いますね。そこには斤量の差もありましたし、最高の走りを見せてくれたと思います。ただ、斤量やトライアルということを含めて考えても、やはりダノンスマッシュに本番で逆転するためには更なる進化が必要なのかなと感じました。
その札幌ではWASJが行われ、こちらも逆転で川田君が優勝しました。二位にはルメール騎手、三位にはM.ミッシェル騎手とティータン騎手が入った結果となりました。今回、特別枠で出場した的場文男騎手や藤田菜七子騎手も多いに盛り上げてくれたと思います。もちろん、レース結果としては足りないものになりましたが、それでも札幌を盛り上げてくれたのは、この二人のおかげでもあったと思います。しかし、毎年この大会を見ていると思うのは、ファンあっての競馬だけに、野球のようにファン投票で出場騎手を決めるオールスターを行ってもいいのになと思います。有馬記念のようにファンの方の一票が影響する環境にすることで、一緒に作り上げていくという視点を持つことが、ビジネスとしてもファン層を増やすという意味でも楽しいと思うんですけどね。
さて、今週で夏競馬がとうとう終了します。小倉、新潟、札幌の開催が最後ということもあり、関係者も少し寂しくなっていることだと思います。そんな中、土曜日には札幌2歳S、日曜日には新潟記念と小倉2歳Sが行われます。札幌2歳Sでは木村厩舎の2頭に注目しています。前走は圧巻の走りをしていたゴルコンダとダーリントンホールです。ゴルコンダは自分の競馬が出来ればというところでしょうし、ダーリントンホールに関しては競馬センスが非常に高いため、非常に楽しみにしています。新潟記念はすごく難しいレースになっていますね。今回の斤量を見ても、どの馬にもチャンスがあると思いますし、あとは運と流れを掴んだ馬が勝つような気がしています。2019最後の夏競馬!最後の思い出は、是非とも現場で!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。