元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
丸山君の挑戦者魂
2020/8/11(火)
皆様、こんにちは!梅雨が明け、暑いですねー。平気で昼間40度を超えるような気温になり、涼しい夏を予想していた私にとっては、耐えがたい暑さとなっています。歳を重ねると水分を取ることを忘れがちになりますし、私は意図的に小さいペットボトルにお茶を入れて、時間を見て飲むようにしています。寝る時も同じで、お茶を用意し枕元に置き、寝る前や寝起きなどに水分を取るようにしています。皆様も、若いから大丈夫!ではなく、しっかりと水分を取り、安全に過ごしてもらえるよう願っているばかりです。
そんな暑い中、やっと少しでもお客様を入れての開催を予定していた新潟では、現在の状況を考慮し、無観客での開催を引き延ばしました。残念ではありますが、皆様の健康あってこその競馬ですから致し方ありませんね。感染内容を見ると、以前よりも増えてきていますが、重症者の数からもマシになってきているのでは?とは思いますが、風邪よりも重症化しやすいウイルスですし、まだまだ得体の知れないものという点から油断できませんね。解明されるまでは、個人でできる最低限の生活をしていこうと思います。
今週からも無観客になってしまった新潟競馬場ではレパードSが行われました。勝利したのはケンシンコウと丸山元気君のコンビでした。今までも気性の面で上手くいかなかったことから控える競馬を増やしていましたが、先週の馬場で後ろからになると厳しいですからね。そのため、鞍上が選択したのはポジションを取る競馬でした。ここは気性面を考えても、ギャンブルになってしまいますが、恐れずに挑戦させました。
1コーナーでは前を行くタイガーインディの後ろに控えるかな?と思いましたが、そこで手応えからしても押すという選択をし、ハナを奪いました。ここが勝利の要因だったと思います。まだまだ未完成な3歳。可能性が無限にある中で、守らなくてはいけない馬独自のルールの他に、まだまだ試さなくてはいけないことがあるということを勝利という形で見せてくれたと思います。経験が少ない年代だからこそ、このレースでも試し勝ち切ったことが非常に大きな意味を持ちます。逆にトライできなかった馬は、不安要素を抱えたまま次のレースに向かわなくてはいけなくなったでしょう。
2着にはエスポワールシチーの弟ミヤジコクオウが入りました。こちらは、前回の地方競馬での小回りが苦手だったことから、大きな競馬場ではやはり力を出してくれましたね。3着にはブランクチェックが入りました。勝利したケンシンコウと同じパイロ産駒で席巻したレースとなりましたね。1番人気に推奨されたデュードヴァンの川田君も馬場も読み、出していくことに成功するも、現時点では距離が長かったですね。初のダートスタートの方が行き脚もついていましたし、こちらは再度距離を縮めるレースで見てみたいと思います。
今週からは3場開催になります。北海道と同様にこの仕事をしている人ならば楽しみになっている小倉開催が始まります。九州もまだまだ油断できない状況にありますが、そんな中でも早速、小倉記念が行われます。こちらは連勝で波に乗っているランブリングアレーが1番人気に推奨されるのではないでしょうか。ハンデも53キロとなりましたし、万全のレースに期待したいです。もう1頭の53キロのハンデとなったアールスターも気になります。こちらは難しい馬ですが、恵まれたハンデにここで一発というのにも期待してしまいます。その他にもサマーセントがどのように戦うのか、サラスの復活はあるのかも気になっています。
新潟で行われる関屋記念は難しいレースになりそうですね。ここでの注目はアンドラステになります。小倉での本命と同じ社台RHの馬ですが、まだ底は見せていませんし、岩田望君の初重賞制覇を見てみたいと思います。その他にも実力馬プリモシーンやクリノガウディーにグルーヴィットと揃いますが、ここでこのメンバーを倒すことでG1戦線へと飛び出てほしいと願っています。暑い日が続きますが、熱い競馬に没頭しましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。