元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
継続は力なり
2022/1/24(月)
皆様、こんにちは!大好きな大相撲が終了し、燃え尽き症候群のようになっています。今回はいつも以上に面白かったですね。見事、御嶽海関が優勝し、大関昇進が見えてきました。本当ならもう少し早くなっていてもおかしくなかったのですが、どこか勝負強さが足りないところがありました。今回は弱さがなく、ただ前へと挑戦し続けました。人が変わるためには想像以上の努力と取り組み、心持ちが必要となります。それを成し遂げた彼の優勝は本当に嬉しかったです。
馬でも同じことが言えます。体、能力的に大関や横綱になってもおかしくない馬はいます。しかし、そこまで上り詰めるには心身の成長が必要です。名門と呼ばれる厩舎は良い馬が多いこともありますが、それ以上に馬の心を育てることが上手いが故に名門と呼ばれるのかなと思っています。
それでは先週の競馬を振り返りましょう。中でも中京で行われた東海Sは熱い戦いとなりました。勝利したのはスワーヴアラミスと松田大作騎手のコンビでした。松田君と言えば、技術に定評があるもなかなか目が出ず、プライベートの事件による騎乗停止など、勿体ない時期を過ごしました。しかし、この馬と出会い年齢を重ねる度にズブくなる相棒を必死に立て直してきました。この結果は彼にとっても何かが変わる勝利になったのではないでしょうか。今回のスワーヴアラミスはズブさの中にも競馬のしやすさが加算され、そこに松田君の技術と諦めない心が勝利に繋がったと思います。
2着には盤石のレースをしたオーヴェルニュと団野君が入りました。こちらは勝つレースを完璧にしたという印象を受けました。出し切った中で負けてしまっては展開や馬場、勝った相手を褒めるしかありません。担当の梅内栄子ちゃんに勝利の美酒を味わってほしい!と応援したのですが、今回ばかりは仕方ありませんね。
3着にはブルベアイリーデが入りました。こちらは4コーナーの手応えからも勝ってもおかしくありませんでしたが、いい走りをする時は内からスルスルと抜け出すレースが多かっただけに、止まるか?と思って見ていると手前を換えられず、そのままバテてしまう結果となりました。しかし、1400mなど得意の距離ではまだまだやれそうに見えた一戦でした。G1戦線を戦ってきた馬達は流石としかいいようがありません。新星は誕生しませんでしたが、まだまだ戦えるおじさんコンビの活躍に期待していきたいと思います。
今週は中京でシルクロードS、開幕週の東京では根岸Sが行われます。冬は芝の傷みが激しいことからもダート戦が多くなりますが、その中でも注目はソリストサンダーに集まるのではないでしょうか。じりじりと力をつけてきた馬で、相棒の戸崎君もこの馬を掴んでいると思っています。かなりの余談ですが、我が家でお気に入りのキムチを買うと、その週には戸崎君が勝つというジンクスがあるのですが、今週たまたまですがそのキムチを買ったことからもキムチ圭太パワーが発揮されるかもしれません(笑)。
現在補欠になっていますが、定年までに恩師と更なる勝ち星を積み上げたいルメールと藤沢和先生コンビのクロパラントゥが出走できれば連勝中の波にのって期待したいと思っています。好調オメガレインボーも父の次は俺だ!と和生君が意気込んでいることでしょうし、ヘリオスなど力のあるメンバーが揃っています。フェブラリーSに向けてどんな結果を求めているのか陣営の意図も考慮しながら、楽しみな結果を待ちましょう!そして、我が家でキムチのジンクスは継続するのか!?結果は今週の日曜日です!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。