元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
競馬相撲秋場所
2022/9/22(木)
皆様、こんにちは!大好きな大相撲では横綱・照ノ富士関がヒザのケガにより休場となりました。見ていてもヒザに力が入っておらず、体が起き上がるような形になり、本来の相撲が全く取れなくなっていたので休場は納得です。横綱として無理をしてきたのが体に出ているのだと思います。体に無理をかけてでも勝ち続けなくてはいけないことがどれだけ大変なのか想像しただけで怖くなります。横綱とはそれほどまでに誇り高いのです。しっかりと治し、無事に戻ってきてくれることを願っています。
それでは競馬の話をしましょう。先週は中京・中山競馬場にて秋華賞・菊花賞へ向けたトライアル、ローズSとセントライト記念が実施されました。牝馬路線では横綱の位置にいるスターズオンアースが照ノ富士同様、ケガで休んでいますが、本番に向けて準備を整えています。そんな中、本物の相撲の大関とはまったく違う大関アートハウスが見事な勝ちっぷりでローズSを制しました。川田君がこだわってきた血統で、今回は展開としてもばっちりだったと思います。
その中でも我慢することを必死に教えてきたこと、オークスでバランスを崩したあたりも陣営と修正してきた結果を勝利という形で見せてくれました。本番は次とばかりに余裕があるように見えましたし、万全の態勢で横綱を倒しにいってもらいたいなと思います。新入幕と言わんばかりの3戦目で重賞挑戦してきたサリエラも素晴らしいレースをしてくれました。結果として敗れましたが、上がり最速の末脚を繰り出して才能の片鱗を存分に見せただけに、本番でも非常に楽しみになりました。こちらは脚の使い方や少し癖があるため、次走に秋華賞ならば鞍上は大事になると思います。
今回騎乗したルメールは横綱スターズオンアース騎乗が発表されていますし、そうなると前々走で騎乗した戸崎君なら脚の癖を理解できていると思います。しかし、トップジョッキーだけに騎乗馬がもういるかもしれません。そうなると海外からの騎手が早く来日できるかになると思いますが、果たして誰が選ばれるのかは大きな問題になりそうです。輸送をクリアできた点も強みになりますし、本番では逆転もありえるかなと思っています。相撲でも金星・銀星のバーゲンセールのように出ているだけに、競馬ではどうなるのかワクワクが止まりません!
今週は豪華なメンバーが揃ったオールカマーに神戸新聞杯が行われます。とりわけオールカマーはケガ明けの名馬たちが揃っており、力だけでは計れないレースになりそうです。その中でも、伊藤工が関わる全ての人に恩返しをと騎乗してくるロバートソンキーに注目が集まると思います。前走で3冠馬の意地を見せ今回は期待できそうなデアリングタクトも人気になるでしょうし、長期休養明けで重賞制したヴェルトライゼンデや素質馬ソーヴァリアントと、ケガの影響でどの馬にもチャンスと不安が残っている状況になっています。
馬券を勝負するのには少し不安があるかなと思うと同時に、大荒れを仕留められるかもしれません。ケガなく万全で適距離に戻ることで強さを見せてほしいテーオーロイヤルに個人的には注目しています。秋に向けて休場明けの馬が揃いましたが、力は元横綱や元大関。今回のレースをどう捉えているかを理解して、お気に入りの馬で万馬券を狙いましょう。今週の日曜日は台風予報も出ていますので、馬場が緩くなればこの馬!という情報も集めてくださいね!それでは、はっけよいのこった!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。