元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
変化への挑戦
2022/10/13(木)
皆様、こんにちは!円安が留まることを知りません。とうとう1ドル147円の時代に突入しました。アメリカではバブルのようになり、NYではそばが3400円もするようですよ。それだけ日本の価値が下がったということですからね。どうすれば日本の魅力や価値を上げられるか、それは日本の街作りから企業の昭和・平成からの転換、競馬界でも世界での結果が求められると思います。
ここで変わることができないと、世界から日本は置いていかれることになります。だからこそ、変化に挑戦することを全員で応援してもらいたいと思います。当たり前を崩すことは簡単ではありません。しかし、挑戦なくして成功や変革はありませんから。
なんと言っても先週は松山騎手と堀調教師の週になったのではないでしょうか。日曜日には東京競馬場で毎日王冠が行われサリオスが2度目の制覇を果たしました。想像していた通り、まずはレッドベルオーブが逃げの手にでました。前走、小倉で抑えることができずに大逃げとなり勝利したために今回も同じような展開になりました。1000mの通過タイムも予想通りといったところした。これで勝負になるのはサリオス、ノースブリッジ、キングストンボーイ、ジャスティンカフェの位置がベストだなと思っていました。
しかし、内枠からもサリオスは内にスペースがなくなるかなと思って見ていましたが、直線を迎えると、松山君も焦らずに進路を選びながら突き抜けてきました。何よりも切れ味があったからこその勝利だったと思います。しかし、それに助けられたとはいえ、松山君も勇気を持って乗ったなという印象を受けました。去年あたりから本人にも自信がつき、騎手として一皮むけた印象でしたが、こういったところが成長した証であり、年間重賞最多勝利の現在に繋がっている気がします。
2着には穴馬で推奨していたジャスティンカフェが入りました。こちらの祐一君も素晴らしい騎乗でしたが、何よりもここまで仕上げてきた陣営にお見事と言いたいです。じっくりと馬に合わせて焦らずに育ててきたことが今に繋がっているのだと思います。ここから先にどれだけの伸びしろがあるのか楽しみになってしまうレースでした。
G1馬が多く出走し、注目を集めた毎日王冠。日本では1800mのG1がないだけに、このレースをG1にすればマイル馬と中距離馬の熱い戦いが見られるのではないかと思ってしまうほどでした。もちろん1400mというのも面白そうですし、違う距離のスペシャリストを集めるG1もそろそろ作ってほしいなと、こちらも変化を求めたくなるようなレースだったと思います。
東京、阪神に続き新潟開催がスタートします。2場開催で乗り馬が集まらなかった若手にとっては絶好のチャンス到来です。ここで存在感を出すことができるかが一流への道ですからね。是非、新潟競馬にも注目してください。そんな今週には阪神競馬場で秋華賞が行われます。1番人気には3冠目を狙うスターズオンアースが出走してきます。桜花賞よりオークス、オークスより秋華賞で良いレースをしそうな距離適性に、勝利を期待してしまいます。
しかし、骨折明けというのは正直マイナスポイントです。そのマイナスをしても勝ち切る才能があるか、それとも横並びのメンバーに劣ってしまうのかはぶっつけ本番だけに怖い賭けになると思っています。逆にぶっつけ本番でテンションさえクリアすれば面白いのはナミュールではないでしょうか。体が成長していればさらに良い走りができるでしょうし、先週の雨で馬場が痛み、外差しの馬場に変わっていれば逆転もありえます。
その他にはサリオスの妹サリエラを倒し、万全の態勢で臨んでくるアートハウスや前走快勝のスタニングローズもいます。どの馬にも逆転の可能性があるだけに、予想はかなり難しいと思います。牝馬3冠ラストの秋華賞。一体、どの馬が最後のティアラを手にするのか。是非、その目でご確認ください。変化への挑戦を受け入れたものが、新たな扉を開きます!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。