
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
MIRAI IWATA
2023/8/31(木)
皆様、こんにちは!8月もとうとう最終日ということで、我が家ではオリジナル白玉かき氷を食べました。モチモチで抹茶が染みる逸品で、今年も素敵な夏を過ごせたなと感じました。そんな8月の終わりにはワールドオールスタージョッキーズが札幌で開催され、見事初出場の岩田望来君が初優勝を飾りました。普段は口数の少ない彼ですが、今回はお母さんも観に来てくれていたからこそ、気合いも入ったのではないでしょうか。4戦で勝つことはできませんでしたが、人気のない馬でも前へ持ってくる技術は世界でも通用すると自信につながったと思います。

日曜日は雷が鳴り、大雨になったことで計算が変わったのではなでしょうか。第三戦に乗ったイーサンバーニングは前目につけられないだけに雨はマイナスに働きました。それでも2着に持って来ると、最後に騎乗したウインルーアにとっては恵の雨となりました。2600mでも追走に苦労する馬を、内枠・ゴールドシップ産駒ということもありスタートから一気に出してポジションを取りました。これは父譲りの勝負を仕掛けたなと感じていると、3コーナーでも唯一、馬場を物ともしないらしさを活かし内へと導き続けました。そして、見事3着に入って逆転優勝に輝きました。
彼の騎乗技術は非常に高いものがあります。しかし、ここまで勝負を仕掛けてくることは少なかったと思います。それをやり遂げたことで、彼の中にはひとつの自信が生まれたことでしょう。この自信を持って勝負を続けていけば必ず、彼もコメントしていた「G1の舞台で表彰台の一番上にいる」ことはそう遠くない未来になることでしょう。彼の望みがきっと来ることを私は信じています。

同日メインにはキーンランドカップも行われ、ナムラクレアが勝利しました。浜中君は函館まで最終追い切りを乗りに行ったかいがありましたね。レースでも力を信じ、直線では雨で荒れた内を避け、彼女の走りたいポジションへと冷静に導いての勝利は価値があります。斤量を背負っても走れる体ができていることは確認できましたし、浜中君にとっては中山1200mの形状をさらに研究することで本番でも期待できると思います。
2着には北海道シリーズで急成長を見せていたシナモンスティックが入りました。こちらの競馬を見ていると洋芝が合っているなという印象を持ちました。しかし、中山でも同じ走りができれば先着する可能性もあります。まだまだスプリンター界はどの馬が頂点を獲るのか分かりませんが、まずは当レースのワンツーを注目しておく必要があります。

今週で小倉・新潟・札幌の夏が終わります。少し寂しい気がしますが、最後まで夏競馬を楽しみましょう。オーラスとして札幌2歳S、小倉2歳S、新潟記念と全場で重賞競走が行われますが、一番楽しみにしているのは札幌2歳S。特に注目は先週もオールドスターとして貫録を見せた豊ちゃんとのコンビ・ガイアメンテになると思います。その他、個人的に狙っているのがパワーホール。前走も圧巻の強さでしたし、まだまだ先がありそうな勝ち方だったので、期待したい逸材です。是非、当日の馬場と適性を読みつつ予想してみてください。万馬券の希望もきっと来る気がしています!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。