元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
秋G1開幕
2023/9/28(木)
皆様、こんにちは!大好きな大相撲が終わり、まるで燃え尽き症候群のようになっています。千秋楽では大関・貴景勝関と21歳・熱海富士関の優勝決定戦が行われ、大関が勝利して優勝しました。しかし、その勝ち方にはがっかりさせられました。勿論、勝負の世界。ルール上は問題ない立ち合いですし、勝てばよいとは思います。しかし、再入幕した21歳の力士が積み重ねてきた優勝決定戦。そこで思いっきり胸を借りるつもりで突っ込んできた際に胸を出す側があっさりと変化してしまったのですから。
大関だからこそ、しっかり受け止めて優勝してほしかったですね。勝てばいいだけではないと私は思っています。それは競馬も同じ考えです。勝つための執念は必要ですが、気持ちのよいレースこそが私は感動を生むと思っていますから。今回の大相撲の優勝はどこか気持ち悪い結果と感じてしまいました。
先週は阪神で神戸新聞杯、中山ではオールカマーが行われました。その中からオールカマーを振り返りましょう。1番人気にはタイトルホルダーが選ばれました。まだまだ余裕残しかなと思っていましたが、いつも通りの逃げを打ちことができ、これは決まりかと思った矢先、5番手につけていたローシャムパークが素晴らしい脚で差し切り勝利を挙げました。前走の函館記念でも素晴らしい末脚を使っていましたが、今回もまた同様の脚をクリストフが引き出したというところでしょう。G1への挑戦権を自ら手にしたローシャムパークにとっては非常に大きな勝利になったと思います。
敗れはしましたがタイトルホルダーは計算通りの走りができており、陣営としてはホッとしたことでしょう。強い馬であればあるほど休み明けに走る気持ちがなくなっていないか、走り方が変になっていないかと心配になるものですから。その不安が払拭でき、なおかつ2着に残る走りはいつも通りだったことからも、次のレースに自信を持って臨めるのではないかと思います。3着にはゼッフィーロが入りました。扱いが少し難しい馬ですが、冷静にレースをすることができればこういった走りを見せてくれます。この馬もどこかで重賞を獲れると思っていますので、長い目で見て頂けるとどこかで万馬券を掴めるかもしれません。
しかし、ルメールと川田君のリーディング争いが非常に面白いですね。川田君が勝てばルメールも勝つといった一騎打ちに見ている側は非常に興奮します。先週は二人ともが重賞を制覇し、川田君にとっては昨日で交流重賞10勝とまさに全盛期を迎えていますからね。今週はルメールが凱旋門賞で不在のため、ここで再度引き離してほしいなと思っています。
今週から秋のG1シリーズが開幕。中山競馬場でスプリンターズSが行われます。非常に面白いメンバーが揃った中で各馬がどんな走りをするのか楽しみな一戦です。1番人気に推奨されそうなのは浜中君とコンビを組むナムラクレア。前走でもベテランらしい走りをしての勝利で勢いは十分だと感じています。ジャスパークローネとテイエムスパーダの逃げ対決にも注目しています。どちらも引けば良さが出ませんし、引かなければ共にダメでしょうし、鍵を握るはスタートになるでしょうね。この2頭のやりとりがレース全体へ影響してくるだけに各騎手も悩ましいと思います。
そういった展開を予測し、後ろからの競馬で結果を出したアグリやレースの読みが素晴らしい川田君とママコチャなどは騎手買いしてもいいかも知れません。今回は非常に難しい展開になると予想しますが、個人的にはピクシーナイトの復活に期待しながらレースを観たいと思います。熱海富士のように思い切りのよい競馬に期待しましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。