'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月16日時点1567勝
小倉初参戦!小倉記念サンマルティンで史上5人目のJRA全10場重賞制覇だ
2017/8/4(金)
サンマルティンは前進気勢が凄い馬で、折り合いというか、折り合っている感じはしないほど。3~4コーナーも5、6頭分の外を回ったのですが、なかなか出来るレース内容ではないなと
-:それでは、今週もよろしくお願いします。本来ならば、先週の土日9勝について伺いたいところですが、まず、日曜が初めての小倉ということで、小倉記念(G3)についてお聞かせください。サンマルティン(セ5、美浦・国枝厩舎)にはこれまで2度乗られていますね。どんな印象ですか?
圭太:まあ、初めて乗せていただいた時に素質を感じる走りで、強い競馬で勝ったのが率直な印象ですね。上のクラスに行くのだろうという予感もしていましたし、2度目の時は「左回りはクセがある」と聞いていたのですが、右回りの方がやっぱり良い感触は受けました。
-:前走は追いづらそうというか、追えていない走りでしたよね。
圭太:そんな感じでしたね。
-:それだけ、左回りのクセはもともとあったということですね。騎乗される前にレースをチェックされたと思います。ジョッキー目線で見て、映像だけで感じる部分はありましたか?
▲昨年7月、福島で初コンビ。2馬身差の快勝だった
圭太:いやあ、さすがになかったですね。
-:もう一度、昨夏の福島を振り返っていただいて、道中の雰囲気や折り合いはどうでしたか?
圭太:前進気勢が凄い馬で、折り合いというか、折り合っている感じはしないほど。3~4コーナーも5、6頭分の外を回ったのですが、なかなかできるレース内容ではないなと。それだけ強い競馬だったのでね。
-:あの時は内を通った馬が上位に残っているのに、外から差し切って、着差をつける内容でしたよね。こういう激しさは同じハービンジャー産駒特有なのか……。
圭太:う~ん、他にはあまりいないタイプでしょうね。
-:同厩にテオドールというハービンジャー産駒もいまして、乗られていましたよね。
圭太:あの馬も前向きさはあるのですが、サンマルティンはこれだけ折り合いを欠いても凌ぎきってしまう凄みがありますからね。似ているようでそこは違います。
-:それだけのポテンシャルを秘めていると。折り合いが課題の馬について「クラスが上がった方がペースは上がってレースはし易くなる」とよく言われるものですが、この馬については当てはまる部分はありますか?
圭太:単にそういうワケではないですね。現状でも結果は出ていますから。
-:少し気になるのが、九州地方は台風が接近して、道悪になった場合の心配も。
圭太:う~ん、欲を言えば、良のほうがいいでしょう。
-:しかも、今までのパターンだとハイペースでズブズブの決着などよりも、スローで折り合いを欠いても伸びてくる馬に思えます。瞬発力に長けているなと。
圭太:そうでしょうね。これくらいの距離でそんな競馬がベストかなと。枠も極端な外じゃなければね。
-:ジョッキー自身に焦点をあてると、初めての小倉が話題になっています。
圭太:内田(博幸)さんなんかも行ったことがないと聞きますからね。まあ、行こうと思えば行けるのでしょうが、こうして、有力馬で行ける機会をいただきましたからね。10場制覇というチャンスもありますから、1回で決められたら最高です。
-:今週はそんな記事も多かったですね。タイトルへの意識は強いですか?
圭太:意識……、まあ、いつも通りですけれど、平常心で臨んで決められたらと思います。史上5人目の記録が懸かると言われていますし、もっと達成されている方がいそうなものなのかと思いましたが、たった5人の中に入れたら光栄ですよね。
-:その他の騎乗馬についてもお願いします。土曜新潟12R(3歳上500万下)はロジブリランテ(牡3、美浦・国枝厩舎)に騎乗されますね。
圭太:力は足りて不思議ではないんです。でも、前回は気持ちの若さが出てしまった感はあります。今回は輸送もありますし、コースは問題ないと思うのですが、競馬にいってみないとわからないタイプでもあります。
-:勝った時が良い時計でしたし、ちゃんと能力を出し切れればと思うんです。
圭太:もともと力通りに走れていないところもありましたし、あの時(2走前)だけは雰囲気も良く、走れてあの結果。期待した前走が……という感じで。難しいですね。
-:信濃川特別のブラックプラチナム、ダリア賞のニシノベースマンなどはいかがですか?
圭太:ブラックプラチナム(牡4、美浦・栗田博厩舎)は2走前に勝たせていただいた時も、前走も強かったですからね。あの走りなら、ここでも、という思いはあります。ニシノベースマン(牡2、栗東・森厩舎)は距離が短くなるのがどう出るかな、と思ってはいるのですが、勝ちっぷりは良かったですね。
-:8R(3歳上500万下)のフクサンローズ、7R(3歳未勝利)のルーラーキングはどうでしょうか?
圭太:フクサンローズ(牝3、美浦・小西厩舎)はいいモノは持っていますね。上でやっていくには成長も欲しいところですが、現状でどこまでやってくれるか。ルーラーキング(牡3、美浦・小笠厩舎)は使いつつ良くなっていますね。レースぶりは良くなっているので、チャンス十分かと思います。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。