'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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荒れる!?皐月賞はエポカドーロと挑戦!道悪が追い風になるか
2018/4/13(金)
ダノンプレミアムの回避で一転して様相のかわった今年の皐月賞。ただし、トライアルで際立った成績を残している馬も多くはなく、混戦といえるだろう。戸崎騎手がコンビを組むエポカドーロはレース運びの巧さが光る一頭だが、レース当日は悪天候が予報されている。道悪の適性も含め、勝機はあるのか?皐月賞含め、春の中山開催最終週へ意気込みを語ってくれた。
●「荒れる」クラシックの主役になる!エポカドーロと皐月賞へ!
-:今週は皐月賞(G1)でエポカドーロ(牡3、栗東・藤原英厩舎)と挑まれますね。小倉、中山と騎乗されて、中間は乗られていないと思いますが、改めてパートナーの印象を教えていただけますか?
圭太:ドッシリした馬ですね。新種牡馬のオルフェーヴル産駒ということで、ステイゴールドの血筋だと気難しい馬もいたりしますが、この馬はそういうところもないですから。観ての通り、先行力も武器です。
-:レースを観ているとスタートが速いのかなと思いました。
圭太:ええ、まずまず速いですね。
▲スプリングSはハナ差2着惜敗のエポカドーロ
-:前回はスプリンスグステークスで2着。戦前に考えられていた課題と、終わってみての印象の差はありましたか?
圭太:結果的にあの差なので、どうにかしていれば勝てたんじゃないか、という悔しい思いはあります。ただ、レース自体は大方イメージ通り、悪くない形では運べたとも思うので。
-:負けた相手(ステルヴィオ)も今回は人気になるでしょうね。幸いといいますか、今回の皐月賞は雨や強風など悪天候が予想されます。大荒れの天気になるかと。
圭太:そうですね。時計が掛かるのはプラスでしょうね。枠もちょうどいいところを引けた印象は受けます。ペースはそうそう、どスローになることはないメンツとも思います。あとはレース前に先生(藤原調教師)と打ち合わせすると思うので、どういう意見なのか。
-:天候が悪くなった場合はやはり前のレースに乗っていた方が騎手としてはやりやすいものですか?
圭太:まあ、そうですね……。ただ、やはり晴れて気持ちのいい陽気で乗れる方が騎手としては嬉しいものですよ。その方がお客さんも入るでしょうから。もちろん馬場が悪くなった場合の駆け引きなども面白いものですが。この馬についてはドボドボになったらわかりませんが、道悪は歓迎です。
-:ちなみに、先週も風が強かったそうですが、今週も強風が予想されています。中山は最後の直線だと、一般的にどちら向きの風が強くなりますか?
圭太:先週もそうですが、直線で向かい風が多いですね。だから、差し馬の方が有利というか。ただ、なぜかはわかりませんが、気になるといえば向こう正面の方がアオリを受ける感じはしますよ。
-:今年の皐月賞はダノンプレミアムという圧倒的な存在がいなくなりましたが、混戦といわれますよね。
圭太:コレといった存在がいないのは確かですよね。ただ、どの馬が中心なのかはわからないメンバーですよね。言われるとおり混戦というか。
-:では、皐月賞へ向けて意気込みを聞かせてください。
圭太:前哨戦で敗れはしまいましたが、いいレースはしていますよね。抜けた存在もいないと思いますし、この馬のいいところを引き出して、挑みたいと思います。
-:前回は小倉遠征の後でしたが、疲れはなかったですか?
圭太:そういったところは感じなかったですね。しかも、厩舎が厩舎なので、もっと変わってくると思います。そこにも期待しています。
-:ストレイトガールといい、前哨戦から本番と着実に仕上げがかわってくる藤原先生ですものね。楽しみにしております。
●桜花賞は課題の精神面が露呈
-:日曜中山最終のサロニカ(牝4、栗東・角居厩舎)はどうでしょうか?タイプ的には道悪はどうかと思っています。
圭太:ゲートの中がうるさくて、後ろからいきました。真面目な馬で脚は使えていますが、折り合いとスタート次第ですよね。馬場はたしかに気になりますね。
-:テイエムコンドル(牡7、美浦・石栗厩舎)は前回が低評価を覆す2着でしたね。
圭太:この馬の走りを考えると、どうしても後ろからになってしまいますね。ただ、いい脚は持っているので、展開が向いてほしいですね。
-:ただ、先程の話だと、今週の風はいい方に向くかもしれませんね。土曜の未勝利のベルクカッツェ(牡3、美浦・根本厩舎)は前回が惜しい結果でしたね。
圭太:背中自体はいいですね。どんな競馬も対応できそうですし、相手次第でしょうし、もうひとパンチあれば、です。
-:前回2着だったラストプリマドンナ(牝3、美浦・和田郎厩舎)は引き続き1200m戦です。
圭太:本質的にはもう少し距離が長くていいかもしれませんが、このクラスならやらないといけない馬ですよね。
▲ブラックシェルの半妹オノリシャスは1年3カ月ぶりのレース
-:オノリシャス(牝4、美浦・国枝厩舎)はかなり久々ですが、血統馬だけに気になる存在です。
圭太:楽しみにしていた馬なんですよね。ただ、間隔は開いているので、仕上がりはどうかわかりませんが……。
-:先週のレース回顧ですと、桜花賞(G1)はプリモシーン(牝3、美浦・木村厩舎)と挑みましたが、いかがでしたか?
圭太:そうですね……。返し馬までは落ち着いていたのですが、小屋の中が長かったせいもあるのか、どんどんテンションが上って嫌な感じでしたね。その分、集中力も欠いた雰囲気でした。
-:テンションの課題は口にされていましたが、今までもレース前にそういう傾向はありましたか?
圭太:いやあ、ありましたね。東京のときは僕も乗っていないのでわからないですけれど、初めての輸送もありましたからね。精神的な課題が出てしまいましたよね。
「馬自身でワーッとなってしまっているというか。人間でたとえると、子どもが我慢できず、わめいてしまうところに近い感覚ですね。ジッとしていられないといいますか」
-:返し馬の詳細は把握できず申し訳ないのですが、待避所は他の馬と同じ場所でしたか?東京競馬場だったら、よく横山典弘騎手などベテランの方は1頭だけ逆にいったりしますよね。たとえば、ワンアンドオンリーなどもそうだったと思います。
圭太:阪神の場合だと皆同じところなんですよね。東京くらいじゃないですかね?
-:1頭だったら、そうならなかったなんてことはありますか?もし、そうしていたらと思っていました。
圭太:いや、やっぱり関係ないと思いますね。馬自身でワーッとなってしまっているというか。人間でたとえると、子どもが我慢できず、わめいてしまうところに近い感覚ですね。ジッとしていられないといいますか。
-:次はNHKマイルカップということで、東京なので、輸送も短くなりますからね。
圭太:ええ、我慢してもらいたいですね。
▲次戦はNHKマイルカップで巻き返しを図るプリモシーン
-:忘れな草賞のアモーレミオ(牝3、美浦・勢司厩舎)は初めての関西圏がこたえましたか?
圭太:いつもよりは高かったですね。1コーナーまでは折り合いはキツかったですけど、あのテンションでいけていますし、いい感じで4コーナーも回れましたし、もう少し伸びるかと思っていました。現状はもっと力が必要かもしれないですね。それに折り合いついていれば、もっと走れるでしょうから、折り合い面の課題はつきまとうと思います。ただ、精神面を改善するのは少し時間がかかるのかもしれないですね。
-:枠も外過ぎたのではないでしょうか?
圭太:う~ん、そこまでは、ですね。ゲートも出る馬じゃないですが、今回は改善していましたけどね。
-:モアナ(牝4、美浦・高橋文厩舎)はどうでしたか?
圭太:いい雰囲気でしたが、直線でスペースがなく追えませんでした。スペースがあれば、もっといいところに来ていたはずです。ただ、追ってからの反応の遅さもあるので、そこが裏目に出てしまいましたね。
-:キタサンガンバ(牡5、美浦・小笠厩舎)はどうでしょう。相手は強かったです。
圭太:今回は上手に走れていました。ただ、それにしても勝った相手が強かったですね。
-:休み明けを勝たれたマイネルオスカル(牡3、栗東・中村厩舎)はどうでしたか?
圭太:距離が延びてよかったですね。身体も少し余裕があったように感じました。ああいう競馬で運べたら、上でも頑張れるんじゃないですかね。
-:アドバンスマルス(牡3、栗東・高柳大厩舎)は栗東・高柳厩舎の初勝利だったんですね。
圭太:そうですね。センスがあって、賢い馬でしたね。未勝利だったので、1800mで押し切れましたが、上に上がったらもう少し距離が短い方がいいかもしれません。バランスのいい走りがいい印象で、いいスピードも持っていますよ。
-:サンマルリトリート(牝3、栗東・山内厩舎)でも勝たれました。
圭太:調教でもいい感触でしたし、今後も走ってきそうですね。
-:ニュージーランドT(G2)のケイアイノーテック(牡3、栗東・平田厩舎)はどうでしたか?惜しいというか勝ったと思いました。
圭太:調教ではいい走りをしていたのですが、道中はトモがバラけるというか、ハマってきていないところを感じました。気性もあるのかな?こういう走りをするんだな、と追い切りとは違った感触を受けました。中山の1600mも独特ですし、ずっとコーナーのような形状じゃないですか?それで戸惑っていたのもあると思います。まあ、広いコースのほうがいいタイプでしょうね。
-:かなり上手く乗られて負けてしまったので……。
圭太:いや、それはわからないですけど。勝ったという感触はありましたが、もっと追い切りの感じならギュンと伸びてくるのかなと思いました。ちょっとダラダラっとした感じでした。
-:坂を上がって伸びてはいるようですが、伸びていないような……。
圭太:そうですね。カツジも遊んでいましたし、こっちもグッという感じがなかったですけれど。でも、馬体重も減っていましたし、その中での結果ですから、いい馬ですよ。力があります。
-:母・ケイアイガーベラも晩成でしたからね。先週の中山芝はどうでしたか?
圭太:内がずいぶん悪いかなという感じですね。今週は日曜に雨が降るようですし、外になりそうですが……。
-:下は硬いですか?見た目は荒れていても、時計が掛かっているかというと、むしろ速めかなと。
圭太:う~ん、もともと中山は地盤が硬いでしょうし、走りやすいでしょうね。芝のない状態でも内がよかったのですが、ここ最近はその傾向も少なくなってきていて、難しい馬場ではありますよね。ただ、パワーがあったほうが走りやすいですよね。軽さだけだとどうにもならないというか。芝丈も長く映ります。
-:話題はそれましたが、ケンホファヴァルト(牡5、栗東・森厩舎)はどうでしたか?
圭太:しぶとい馬ですが、自分から動いていかないといけないですからね。
-:エイシンティンクル(牝5、栗東・坂口則厩舎)は馬体も減っていましたね。
圭太:もっと覇気があるのかな、という感じは受けました。もう少し距離が短くてもよかったかもしれませんし、そうガツガツ先行していたわけではないのでね。
-:キルロード(牡3、美浦・田村厩舎)はどうでしょう?
圭太:ちょっと重さを感じました。ダートの方がいいんじゃないか、とは伝えましたよ。距離適性も以前よりキツくなっているのかもしれませんね。
-:しかし、キルロードやエイシンティンクルで逃げられましたが、後半のラップが同じような時計を刻んでいました。わかるものですか?
圭太:(きっぱりと)イヤ、わからないです。たまたまです。前半が作れる人は作れるかもしれませんが、これはたまたまですよ(笑)。
-:「12秒0」の感覚があるのかなと。
圭太:全然ないです。「12秒0で走ってこい」と言われたら13秒0になる自信はありますから(笑)。
-:またまた話はそれましたが、カガスター(牡3、美浦・高市厩舎)は待望の勝利です。
圭太:競馬が上手な馬なんですよね。上にいっても頑張ってくれそうです。
-:しかし、小柄なのによく頑張っている馬ですよね。
圭太:いや……あまりみせないですよね。だから、スタッフの人のケアが上手いのでしょうし、馬も丈夫なのでしょうね。
-:馬が気を抜く分ダメージが少ないというタイプもいたりしますが、どうですか?
圭太:そういうのはないですけどね……。自分からガッツリ走るわけじゃないから、軽減されているところもあるのかもしれませんね。
-:500万でも楽しみですね。そして、今開催で中山は終わりますが、ここまでを振り返ってどうでしょう。
圭太:率直にもっと勝ちたいですね。
「滝に打たれたり、座禅を組んだり……」
-:精神的には大丈夫ですか?ファンの方々は深刻に感じられたりしている人もいるかもしれません。
圭太:大丈夫ですね……。滝に打たれたり、座禅を組んだり……。
-:ハハハ。
圭太:やってないですね(苦笑)。
-:僕はトータルの勝ち星としては細かい着差、条件がけっこう影響していると思うので、心配していないですけどね。
圭太:勝つことが一番なので、いい加減結果を残したいですけどね。
-:しかし、最近話題になっていると思いますが、花粉症ですか?
圭太:花粉症じゃない……と思うけど、眼がかゆくなることはありますよ。
-:鼻腔のテープをつけているので、僕にもジョッキーは花粉症なんでしょうか?という声がよく届きます(苦笑)。
圭太:まあ、あれはトレーニングの一環なのでね。
-:しかし、今週もつけられるんですか?
圭太:G1の日はやめておこうかと思いますけどね(笑)。
-:その辺りも近々伺えればと思います。では、今週も頑張ってください。
圭太:ありがとうございます。
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は4月20日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。