'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月16日時点1567勝
有馬記念はスマートレイアーに騎乗&来季を担う大物誕生!?
2018/12/21(金)
一矢報いる騎乗をみせてほしい。2014年に有馬記念を制した戸崎圭太騎手だが、今年は思うように騎乗馬が決まらず、最終的には急遽参戦が決まったスマートレイアーとのコンビに。8歳馬ということもあり、伏兵の扱いは否めないが、初の中山、牝馬という点は過去に勝利したジェンティルドンナと重なる点も。枠順抽選会を終えた直後、グランプリウィークに挑む思いを語ってもらった。
-:今週ですが、有馬記念(G1)の抽選会が終えられて枠順も決定しましたね。今年はスマートレイアー(牝8、栗東・大久龍厩舎)と挑むことになりました。
圭太:抽選会に関しては、大外(16番)か13番しか残っていなかったのですが、少しでも内になったのはよかったですね。もらった枠でやるしかありませんから、そこで組み立てたいですね。なにせ初めて乗せていただくので、ファーストコンタクトを大事にできればと思います。
-:もう8歳となるスマートレイアーですが、どんな印象でしょうか?
圭太:馬はG1という大舞台もなれているでしょうし、乗りやすいタイプとも聞いていますので、堂々と挑めるのではないかと思います。
▲19日、最終追い切りを行うスマートレイアー
-:有馬記念は自身も2014年に勝たれたレースですね。改めてどんなレースでしょうか。
圭太:暮れの大一番ということで、普段、競馬を観ない方も観られると思いますし、そういう舞台で騎乗できるのは嬉しいことですね。その雰囲気を味わって、楽しみたいです。もともと騎乗馬もいなかった状況で声を掛けていただいたことも嬉しく思いますし、関係者には感謝しています。
-:この秋はG1含め、外国人騎手の活躍が目立ちました。思うところはありますか?
圭太:そうですね…。まあ、周りからも「数だけでいえば日本人で一番勝っている騎手なので、もっと頑張らないと」という声は掛けられるので思うことはありますね。ただ、外国人騎手も海外、世界の一線級が来ていますので、見習って僕も成長できればと思います。
-:今でこそ日本馬が海外での活躍が目立ちますが、海外は馬に乗る文化の浸透度も違いますし、たくさんの候補の中からトップに登りつめた人たちでしょうからね。しかも、制度的にリーディング上位の方々が来るようになっていますし。
圭太:そうですね。だからといって、負けていいわけではないのでね。
-:話は脱線しますが、新たな人や久々の来日となった顔ぶれもみられました。気になる人はいましたか?
圭太:う~ん、競馬とあまり関係ないかもですが、(ウィリアム)ビュイック騎手は競馬以外の場でも「ケイタ!」なんて向こうから話かけてくれたり、好青年という印象ですね。(オイシン)マーフィーも若いながらに日本語を勉強しているといいますか、会話してこようという姿が伝わってきますね。騎乗以外でも、面白いところは垣間見えた感じはします。
-:重複しますが、有馬記念はビギナーの方も注目するレースと思います。見どころも教えてください。
圭太:今はホープフルSもあって、日程面はファンの方々がどう感じているかわからないですが、ジョッキーにとっては有馬記念というレースはダービーの次に勝ちたいレースであると思いますからね。意識はしているでしょうし、競馬場の雰囲気を観ても、たくさんのファンの方々が集まり、盛り上がりますからね。一度勝った時の雰囲気を感じると、また勝ちたいという思いは強いです。
▲2014年の有馬記念より
-:強引な共通点を挙げると、はじめての中山というところはジェンティルドンナかぶります。
圭太:ああ、言われてみれば。早く教えておいてくれれば、抽選会のコメントで話題にできましたね。
-:すみません(笑)。その他の騎乗馬ではフェアウェルSのルッジェーロ(牡3、美浦・鹿戸雄厩舎)は久々のコンビですね。
圭太:ダートに替わってからもいい走りはしていましたね。今回は距離が課題となってきそうなので、気をつけて乗りたいですね。
-:土曜のグレイトフルSはルックトゥワイス(牡5、栗東・藤原英厩舎)、2歳未勝利のサピアウォーフ(牝2、美浦・斎藤誠厩舎)と騎乗された経験があります。
圭太:ルックトゥワイスはずっと乗せていただいて、勝ちきれず悔しい思いや申し訳ない思いがあります。是が非でも結果を残したいですね。もともとゲートが課題だった馬で、いいスタートを切れて臨めるようになっていたのですが、最近、2走前あたりからゲートが課題となっているので、そこがポイントでしょうか。有馬記念と同じ舞台ですが、問題ないと思います。サピアウォーフもいいレースを続けているので、勝利にこだわりたいですね。
-:先週のレースもお願いします。コーカス(牡4、栗東・藤原英厩舎)は戦前からどうか、とは個人的に感じていましたが、刺さる面もあったり、なかなか難しい結果でしたね。
圭太:気をつけて乗りたいと思っていましたが、ゲートから勢いがつかず、最後もモタれたり、現状では条件的にどうか、という印象がありましたね。
-:札幌で勝ってはいましたが、個人的には懸念していた通りでした…。ハートレー(セ5、美浦・手塚厩舎)はこのコースでこの枠は厳しかったでしょうか。
圭太:イメージでは前に壁を作って運びたかったですが、思っていた以上に後ろからに。それなら、とドンと構えて、能力を信じて後ろからいったのですが、ジッとしていた割に最後も交わされてしまい、本調子ではないといいますか、良い時に比べると…ですかね。
-:やはり調教でも状態の良さを感じていたからこそ、の競馬ではあったわけですね。
圭太:良さは感じましたね。自信を持って挑めたのですが、実戦に行くと追い切りの動きほど…でしたね。もどかしいところがありましたね。
▲枠順抽選会に臨んだ戸崎騎手
-:サイモンジルバ(牝3、美浦・根本厩舎)はもう少し前目のポジションでの想定だったそうですね。
圭太:先行する競馬もできましたからね。スタートしてから流れていたので、慌てず、終いの脚もあるので、じっくりいきました。
-:ジャパンスウェプト(牡2、美浦・古賀慎厩舎)は今後楽しみですね。
圭太:ポテンシャルは高いですね。ただ、気性的にテンションがたかぶり過ぎなければいいな、と思います。先生(調教師)も注意して育てているようなのでね。
-:シングフォーユー(牝2、美浦・牧厩舎)は上手くいったはず…ですが、勝ち馬も強かったです。
圭太:そうですね。ペース的にも上手くいったと思いましたが、相手は強かったですね。でも、新馬と比較しても良くなっていますよ。お姉さん(シングウィズジョイ)ともフットワークは似ているところがありますね。
-:さて…ダノンキングリー(牡2、美浦・萩原厩舎)はどうでしょうか?
圭太:…強かったですね。時計もいいですし、注目を浴びるレースだったと思いますね。
-:中山マイルの外枠は決して不利と感じないとはおっしゃっていただいていますが、距離ロスや手応えを考えても、驚く勝ちっぷりでした。ここまでの変わり身は想定できましたか?
圭太:いいモノは持っていると思っていました。新馬の時よりも追い切りも良くはなっていたので、楽しみではありましたけどね。新馬前は、背中はいいんですが、前さばきや身のこなしがどうなのかなあ、とも思っていました。でも、追い切りでもガラっと変わってきたのでね。
-:外からしか競馬をしていない、距離などの課題もありますが、来年、「なにか」は見えてきましたか(笑)?年末なので、こんな話も…。
圭太:まあ、まだ2戦でキャリアも浅いですから(笑)。跳ねたりということもあったりするので、その点が落ち着いてほしいですね。でも、新馬の時よりも雰囲気はだいぶ良くなっているのでね。
-:オルダージュ(牡2、美浦・青木厩舎)でも勝たれましたね。
圭太:いいスピードがありましたね。楽な手応えでいけましたよ。
-:念の為に伺うと、来年もこのコーナーは続けてよろしいでしょうか?
圭太:むしろ「拾って」いただけるなら(笑)。
-:年内の競馬も残りわずかですが、取り組み方として、いまの心境はどうですか?
圭太:いやあ、最高に楽しく、充実して乗れています。内面的にも、技術的にも変わってきているので、今はすごくいいですね。
-:それはよかったです。次週はそこらへんも踏まえて伺えればと思います。宜しくお願いします!
圭太:ありがとうございます。
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は12月27日(木)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。