'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月16日時点1567勝
関屋記念はディメンシオンとタッグ!1000勝パーティーの詳細もいよいよ発表
2019/8/9(金)
素質馬揃いの1週間。先週は残念ながら1勝に終わってしまった戸崎騎手だが、今週の騎乗馬を見渡すと、大手生産者の有力馬が多数スタンバイ。また、関屋記念ではディメンシオンに一昨年の秋以来の騎乗。重賞初挑戦にして好勝負へ導けるか。そして、ファン注目の1000勝達成記念パーティーの開催情報も公開間近。併せてお楽しみいただきたい。 (聞き手:競馬ラボ・小野田)
戸崎騎手の1000勝を祝したパーティーの開催が決定!
-:今週の新潟での重賞は関屋記念(G3)が行われます。ディメンシオン(牝5、栗東・藤原英厩舎)には実戦では2017年に1度乗られておりますが、今回は2週前の追い切りに乗られてから、久々のレースとなります。馬自体は当時から3連勝も経てオープン入りを果たしていますね。
圭太:以前に乗せていただいた時はちょっとテンションが高いイメージで、レース振りも上手く運べなかったのですが、この間(7月24日)、追い切りに乗った時は、レースと攻め馬ではまた違うと思いますが、ドッシリした感じを受けましたね。もともとフットワークの良さは感じていましたし、新潟のコースでも結果が出ているので、楽しみな存在かと思いますね。
-:他のジョッキーが乗っている時も、序盤はけっこう行きたがる感じがありますので、そこは課題だと思いますが、ある程度、良くなってきているということですね。
圭太:そう思いますけどね。あとは実戦に行って、落ち着いて走ることが出来るかどうか、でしょうか。
▲重賞初挑戦となるディメンシオン(7日撮影)
-:重馬場で2勝。レースもペースが流れた時の方が走りやすいように映りますが、そこは折り合い面の問題であれば、フットワーク的には綺麗な馬場の方が良いのでしょうか。
圭太:そう思います。距離は僕が乗せていただいた時は1400mでしたが、1600mという距離はピッタリじゃないでしょうか。
-:以前は左回りの方が良いタイプというイメージがありました。身体や走りのバランスでそう感じられるところはありますか。
圭太:う~ん、特にはないですけどね。そういうところも含めて、良くなってきているのかもしれませんね。
-:土曜のメイン(新潟日報賞)のモアナ(牝5、美浦・高橋文厩舎)は、前走のテレビユー福島賞は1200mの距離に不安を感じていた中で僅差の結果でした。
圭太:前走(4着)は1200mがどうかと思っていたんですけど、タイム差(0.1秒)なく頑張ってくれました。今回は条件も良くなりますし、良いレースをしたいですね。マイルだとやや長いイメージですし、条件は合うと思います。
-:土曜日の2R(3歳未勝利)のピチカートポルカ(牝3、美浦・加藤征厩舎)は前走で4着。このレースは、アルジェンタータやモッシュピットなど、同じく前走で乗られて惜しかった馬がいるレースですね。
圭太:相手は手強いですよね。馬は前走で後手を踏んだので、スタートは周りと一緒に出たいですね。ただ、ドッシリとした感じの競馬は出来るんですけど、ちょっとワンペースなところがある感じはしますね。
▲東京コースに変わってレース内容が上向いたレッドクーゲル
-:7R(3歳以上1勝クラス)のレッドクーゲル(牡3、美浦・尾関厩舎)はどうでしょうか。東京で未勝利戦を制して、昇級初戦となります。
圭太:東京で良い感触を得たので、コース的にも良さそうですね。昇級ですが、1勝クラスでも、という感じはしますけどね。あとは相手次第ですね。
-:三面川特別のアルミレーナ(牝5、美浦・国枝厩舎)はゲートの難しさもありますが、このクラスで勝ってもいいイメージはあります。
圭太:ゲートが課題なので、上手く出て、リズム良く運びたいですね。
-:前回(テレビ山梨杯3着)もこの1800mで走っているのですけど、距離に関してはどうでしょうか。
圭太:昔は折り合いでけっこう苦労しましたが、最近は大丈夫な時もある感じですね。その辺は、やっぱりその時、その時によって気性の難しさがありますかね。もともと気性の激しいところもあった馬なので。
-:日曜では柳都Sのアームズレングス(牝6、美浦・加藤征厩舎)はいかがでしょうか。
圭太:前走は強い競馬が出来ましたね。スタートで遅れましたけど、馬群を割って、1頭だけ脚が違う脚で差し切れたので。力はここでも通用していいのですが、正直、ワンターンの方が競馬はしやすいと思います。4つコーナーでどうかな、と感じですね。
-:他にもテン乗りで楽しみなところがいる週ですね。先週のレース結果では、(3歳以上1勝クラス9着)のアモレッタ(牝3、栗東・藤原英厩舎)は折り合い面の課題が出てしまいましたね。
圭太:(藤原英昭)先生からの指示は「前の方で競馬を」ということでしたけど、返し馬をやった感じではちょっと厳しそうだったので、本当に折り合い重視で行きたいなと思いましたね。スタートで遅れてポツンと行きたかったんですけど、それでもちょっと(ハミを)噛んでいたので、距離も新潟2000mはキツいでしょうし、難しかったですね。
-:テレビだと返し馬までなかなか観られないのですけど、パトロールを観させてもらうと、序盤からだいぶ行きたがっていましたね。
圭太:返し馬で、ものすごいものを感じたので、これは普通に出したらちょっとマズいな…という感じでしたからね。
-:この結果でしたが、能力自体は感じるものはありましたか?
圭太:フットワークは良いので、気性的に落ち着いてくれれば、と思いますけどね。距離ならマイルあたりでしょうか。
-:レパードS(G3)のヴァイトブリック(牡3、美浦・和田郎厩舎)は6着でした。
圭太:スタッフも(新潟)滞在など、色々と対策してくれて、テンションや雰囲気は前走よりも良くなっていました。ゲートも十分に出てくれましたし、それは良かったのですけど、僕もちょっと進路取りに汲々とした感じで、直線も上手く捌けなかったですし、スムーズさを欠いたので、もうちょっとスムーズに走らせたかったなというところはありましたね。
-:今年はけっこうペースが速かったですね。前半は速かったですね。逆に、本来であればこの馬は先行できたと思うのですけど、序盤の位置は、あのペースだったら良かったのかなという気はしたのですが。
圭太:位置取り的には良かったですけどね。ただ、昔よりも体を使えていない部分は多少残っているので、本来の走りではないのはないんですけどね。
-:他のレースでは両津湾特別(2着)のドナアトラエンテ(牝3、美浦・国枝厩舎)も序盤でリズムを欠いてしまう結果だったでしょうか。
圭太:前半はちょっと力みが取れずにロスした部分はありましたね。前走のレース映像を観ると、進んでいなかったんですけど、返し馬ではちょっと折り合いは大丈夫かなというくらいの勢いで、反応が良かったです。馬は良くなっているでしょうし、その中でチーク(ピーシーズ)も着けていたので、その辺はどうだったのかなという感じはしますね。
-:上手く噛み合えば、このクラスでも、という感じですか。
圭太:噛み合うというか、力は上でしょうね。
-:距離を短縮した(3歳以上1勝クラス6着の)シセイタケル(牡4、美浦・高橋文厩舎)はどうだったでしょうか。
圭太:1200mはやはり忙しい部分はありますかね。ごまかしては行けているのですが、直線でスムーズだったら、もう少し(上の着順に)来られていましたけどね。
-:(2歳新馬の)シオミチクレバ、リリーピュアハートは惜しくも2戦連続で2着でした。
圭太:シオミチクレバ(牝2、栗東・牧浦厩舎)も新馬の割には随分前半からエキサイトする感じで、ただワンペースというか、跳びが大きいところがあるので、不器用な部分はありましたけど、力はある馬ですね。リリーピュアハート(牝2、栗東・藤原英厩舎)は競馬も上手に走っていましたし、フットワーク的にも能力的にも勝ちたかったところではあるのですけど、勝った馬(ショコラブリアン)も強いのかなと。まだ線の細い部分がありますし、今後良くなってくる余地は大きくあると思うので、楽しみな馬だとは思いますね。
-:乗り替わりでしたけど、3歳未勝利(6着)のラインコマンダー(牡3、美浦・水野厩舎)の敗因はやっぱり距離なのでしょうか。
圭太:難しい馬ですね。1800mはいくらか難しい感じですかね。1700mだったらある程度、流れるので、道中はいくらか楽に運べると思うんですけど、それでもちょっと長いのかな。
-:状態面はどうだったでしょう。それこそ福島で(自身がJRA通算1000勝を決めた)エクリリストワールなどと一緒に走っていた馬だと思いますけど、時期が時期だけに致し方ない部分もありますが、夏場に使いこんでいましたからね。
圭太:比較はないけれど、ちょっと良くなかったかもしれませんね。
-:(3歳以上1勝クラス3着の)ライレローズ(牝4、美浦・古賀慎厩舎)は序盤の位置の差でしょうか。
圭太:フットワークは良い感じでしたね。ゲートを出てから、二の脚が付かない分、いつも位置取りが後ろになってしまうのかな、という印象でしたね。(距離は)もう少し長くても良い感じはしましたけどね。
-:(越後ステークス6着の)アーバンイェーガー(牡5、美浦・高橋文厩舎)の敗因はやはり距離でしょうか。
圭太:思ったよりも前半で付いていけたのですけど、付いていっている分、脚も削がてしまいますね…。ただ、勝つにはあの辺にいなければ、と思いますし、条件が1200mだと忙しいところがありますね。
-:(信濃川特別1着の)アドマイヤアゼリ(牡5、栗東・須貝尚厩舎)は僕の見立てではありますが、いい意味で意外な結果でした。
圭太:ワンターンで直線が長いという条件も良かったと思いますね。トモにまだ甘さが残っているので、持って行けた分、良い脚を使ってくれたのかなと思いますね。乗りやすくて、良い感じの馬でしたけどね。
-:僕は、逆にこのコースが微妙なのかなという感じがしたんですけど、それは良かったということですね。
圭太:ええ、良かったと思いますね。
-:(3歳以上1勝クラス3着の)アンダープロミス(牡3、美浦・萩原厩舎)は惜しい競馬でしたね。
圭太:クラスが違うような馬だったので、これはもう大失敗ですね。距離をロスしたくないと思って内に入れたんですけど、結局、道が空かなくて…。外をぶん回すことは避けた形をとったのですが。
-:あそこの場面で外に行っても、外5頭目ですもんね。
圭太:そうなんですよね。
-:僕も観ていて、良いところにいるんだな、内にいくのはいい競馬だなあと思っていたら、思いっきり壁になっていましたからね。
圭太:馬は1戦1勝のキャリアながら、上でもやれそうな程だっただけに、安全策で良かったです。
-:(2歳未勝利3着の)プリンスチャーム(牡2、美浦・栗田徹厩舎)は直線競馬に挑戦。キャリア2戦目で変化はありましたか。
圭太:新馬からゲートさえ出てくれればというイメージだったのですけど、すごく良い意味で落ち着いていまして、返し馬なんかも落ち着いて出来ました。レース振りもムキにならずに落ち着いて走れていたので、逆に1200mで良かったのかなという感じはしますよね。でも、それは良い方に出ていたので、今後としては良いのかなと思いますよね。テンションが上がったままだと課題になりますからね…。
-:(2歳未勝利7着の)ネージュフォレスト(牝2、美浦・手塚厩舎)はやっぱり気性の問題なのでしょうか。初戦は馬場が悪かったとはいえ、ジョッキーは精神面を指摘されていました。
圭太:やっぱり気難しさがありましたね。追ってから反応がないというか、何かちょっと走り切っていないところがありますね。前半の部分は良いかと思っていたんですけどね。
-:次週の門別・ブリーダーズゴールドC(Jpn3)のアンデスクイーン(牝5、栗東・西園厩舎)は2走前の東京でも2着の実績があります。
圭太:女馬ですけど、立派な馬です。堅実にどんな競馬でも走ってこられるタイプなので、出来れば、前がやりあって潰れる方が良いと思いますね。今回は牝馬限定戦でもありますからね。
-:今週は以上なりますが、ここからは僕からのお知らせです。いよいよ1000勝達成記念パーティーの開催を発表させていただきました。詳細も追加発表しておりますので、ご注目ください。次週は札幌記念(G2)でクロコスミアに騎乗とのことですが、来週もよろしくお願いします!
圭太:よろしくお願いします!
※次回は8月16日(金)に更新予定です!プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。