'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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続・戸崎圭太を知る男たち ~今後は調教師へ 真島大輔騎手がメディア初告白~
2019/8/22(木)
「シリーズ・戸崎圭太を知る男たち 真島大輔騎手」前編はコチラ⇒
第二のホースマン人生へ。戸崎圭太騎手の後輩であり、親交の深さを窺わせてくれた大井の真島大輔騎手だが、インタビュー続編はジョッキー自身について直撃。ノンコノユメと重賞を制し、さらなる活躍も期待されるところだったが、今後は調教師転身を視野に入れているという。今年も南関東リーディング3位につける好成績ながら、若くして将来を意識する理由とは。(聞き手:競馬ラボ・小野田)
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-:真島騎手自身にまつわることも伺いたいと思います。7月31日のサンタアニタトロフィー(S3)ではノンコノユメ(セン7、大井・荒山勝厩舎)の南関東移籍2戦目で勝利。G1馬の貫禄をみせましたが、レース後のコメントでは「距離が忙しい」ということでしたが。
真島大輔騎手:位置取りがどこであれ、絶対的に忙しいなと思っていました。前走の2000mの帝王賞(Jpn1)(3着)でも勝負どころではそんなに手応えはなかったんですよ。
▲南関東移籍2戦目で早速重賞制覇を果たしたノンコノユメと真島騎手
-:4角くらいの脚色はミツバなどの方が手応え良く回ってきているのかなと。
真:そうですね。だから、そんなに手応えが良い感じではなかったから、1600だとちょっと忙しいのだろうなと思っていたのですが、案の定、2コーナーからずっと“これはダメな流れだ”と思いながら、腹を括って1回内に入れて“ダメならしょうがないや”という考えでしたね。
-:だから、内に入れたのですね。
真:外に行けば、外々を回されて、脚を使わされ、絶対に付いていける感じがしなかったですから。それに当時の開催は内が有利の馬場。逃げ馬は垂れていたけど、道中で脚を溜めている馬が上位にくるケースが多かったです。 (58.5キロで)斤量も重いし、流れが悪いのは分かっていたから、どこかで腹を括るしかないなと。
-:そういう進路選択がそこに出たということですね。レース前のプランとしてはどうでしたか。
真:レース前は具体的には考えていなかったですね。まずはゲートで出遅れ癖があることは頭に入っていました。前回は大外枠だったから度外視として、今回は長めにゲートに入るので、どんな感じかと思っていたら、座ったりしていたので、“やっぱりやるか”と思っていましたね。でも、(スタートを)切る前はすごく集中していたので、これならと思っていたら、上手く出てくれましたね。
-:尻尾を持てるのも大きいですか。
真:十分にあったと思いますね。やっぱりコッチで尾っぽを持っているというのは、あの馬にとってはすごくプラスかなと思いますね。本当に利口ですね。やっぱりオープン馬だけあって頭が良いのだなと。ゲート以外で余計なことは一切しないです。でも、向こう(JRA)の厳しい世界でずっと使ってきて、ストレスがあったのかもしれません。馬がすごくリフレッシュしているし、ゲートの中のストレスもそれでちょっと癖になっているだけで、やんわりやってあげれば、コッチでは上手く出来るんじゃないのかなと思いますけどね。無事に2戦目で(重賞を)獲ってくれましたからね。
-:移籍してきて良かったですね。
真:大きいところも獲れたし、あの馬にとってはすごく良かったのかなと思いますね。
-:前回の帝王賞は正直、調教量としては物足りないかなという感じもしたのですが。
真:ハッキリ言えば、昨日(サンタアニタトロフィー)のデキで帝王賞を使っていたら、面白かったと思いますね。2着のチュウワウィザードには勝っていただろうし、オメガパフュームには、あの脚を使われましたが、勝ち負けはしていたと思いますね。すごく馬が良くなっていましたね。先生も帝王賞の時は「6割くらいだ」と言っていて、サンタアニタトロフィーは「ほぼ仕上がっている」と言っていましたからね。その通りに返し馬からすごく完璧なデキで、あとはレースの流れ次第だと思っていました。レースではもうあれしかないという感じ。でも、昔はああいう競馬をしていたらしいですね。ここ最近はずっと力でねじ伏せるようなレースばっかりだったから幅が広がりましたし、しかも1600の内で、あそこから切れ味抜群となれば、外回りならもっとユックリ行けるし、やれるんじゃないですかね。
-:一流のダート馬としてはあまり馬格がある方ではないですからね。それでも夏の乾いた馬場で、重い斤量を背負って勝てたことは大きいですね。
真:ムチャクチャ小さいけど、乗ると感じさせないです。あの小ささであの斤量で、あの上がりでは普通は来ないですからね。「最後の1ハロンは11秒台で上がっているほど」と聞きましたが、ダートで11秒台と言ったら、かなり切れたと思います。(2着の)クリスタルシルバーの的場(文男)さんも勝ったと思ったらしいから、それ以上に切れているということは、やっぱり余程の脚ということですからね。
-:まだまだやれますね。
真:これからもっと良くなると思います。厩務員さんもララベルの担当者さん(横山和己厩務員)で、造りが上手いし、すごく馬を大事にしてくれる方だから、楽しみではありますね。
-:目先の意識出来るレースとしては、秋なのか来年なのか、どうでしょう。
真:「(9月23日の)船橋の日本テレビ盃(Jpn2)から予定している」と言っていましたね。「日本テレビ盃をステップにJBCに行くのか、中央に行くのか両睨み」とも聞きました。まだゲートの不安もあるし、中央のレースであれじゃ、ちょっと怒られちゃうから(笑)、色々な選択肢を持っているみたいですね。船橋の回りもユッタリしているから、多分良いと思うんですけどね。今後が楽しみですね。
-:真島さん自身の今後の目標はありますか。
真:僕は調教師を目指します。
-:えっ?今年の下半期の目標の意味で伺ったのに、それは驚きです。
真:今年の調教師試験はもう終わったので、来年以降でしょうけど。初めて言いますけどね。いや、騎手はキツいですよ。腎臓をわずらってから、体もあまり強くなくなったし。多分、公には初めて言うんじゃないかな?
-:やっぱりグルテンフリーをやった方が良いんじゃないですか。
真:あれをやるくらいなら、調教師になった方が良いでしょう(笑)。そうそう、圭太さんもやっているだろうけど、サプリメントもけっこう飲んでいるし、飲んでもキツいところがあるので。トレーナーからクリニックを紹介してもらって、そこの先生に血液検査をしてもらって、処方してもらうようになったんです。
-:戸崎騎手も「サプリメントを飲んでいる」と言っていましたね。
真:そうですね。全部やって、それでも数値が上がらないから。効果がないわけではなく、足りない栄養素がすごく多いらしくて、亜鉛やビタミンCなどなど…。毎週、ビタミンCの点滴を打っていますからね。(減量で)汗取りもするから、汗と一緒に全部流れてしまうらしくて。それで、サプリメントでもビタミンCを摂ったり、ビタミンAや糖質も摂ったりしています。もう改造人間みたいになっちゃっていますね(苦笑)。だから、近い内に調教師でしょ、ハハハ(笑)。
-:まだ若いと思いますが、では、今度はこっちに来た戸崎さんの足を調教師として上げたり、乗せられるように。
真:あるんじゃないですか。あの人は乗るでしょ~。10何年とずっと。
-:ここ最近も南関東に来た時はエキストラ騎乗で勝つこともありますからね。
真:すごいところは義理人情で乗っているから。何でもかんでもじゃなくて、馬主さんや調教師の方から、直接頼まれて、大井にも恩返しをするという思いで乗っていますからね。何でもかんでも乗るという感じじゃないですね。
-:前に聞いたら「やっぱり乗り過ぎたら、こっちのサークルだし、それは悪いから」と言っていましたね。
真:それは思っているでしょうね。頼まれるけど、それはそうなんだろうけど、来る時は余程のことで、という感じじゃないですかね。
-:僕はあまり分からない部分はありますけど、それなりの縁がある人の馬ということですね。
真:そういう感じで乗っているんだと思いますね。
-:ちなみに、調教師試験の受験の目処は何年後でしょうか。
真:いや~、試験の内容も難しくなっているからね。何年か受けて、受からないなら止めちゃうかもしれない(笑)。その場合は、地元には帰らず、どこかでゆっくりしますよ(笑)。
-:故郷の佐賀には最近は帰られていないですか。
真:佐賀には帰っていないですね。この間の福島遠征の日が「里帰りジョッキーズカップ」の日だったので、重なっちゃいました。さすがに(福島テレビオープン5着だった)リコーワルサー(牡4、大井・荒山勝厩舎)には乗りたくて、佐賀の競馬会には「申し訳ないのですが」と連絡をして。
-:リコーワルサーのレースは、レースでオッというところはありましたからね。
真:そうですね。あの馬はすごく良いモノを持っているから、どうしても乗りに行きたくて。でも、佐賀が先に決まっていたから、筋的にはね…。
-:今後もまだまだ芝を使う可能性あるのではないでしょうか。
真:ありますね。今後も芝に挑戦します。秋も中央のレースを予定していると聞いています。あの馬は楽しみですよ。
-:真島さんの騎乗が必要になる場所はまだまだあるわけです。今回はありがとうございました。まだまだ先輩に負けじと、頑張ってください。
真:ありがとうございます。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。