'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
先週から美浦トレセンでの騎乗をスタート
2020/5/8(金)
──先週伺った時点では「明日(金曜)から美浦で乗る」とのことでしたね。その後は、日曜、水曜も騎乗されたそうですが、久々の環境はどうでしたか?
久しぶりに大きな変化だったと思います。また戻って来られたということが嬉しかったですね。所属厩舎の田島(俊明)先生には大人しい馬を用意していただいて、1日3頭ほど乗せてもらいましたが、牧場で乗せていただいてはいたので、馬に乗ること自体に大きな感覚、感触の隔たりはありません。
また、日曜に美浦で乗ること自体は初めてですが、コロナウイルス問題の影響なのか、とても静かに感じましたね。報道陣の人も少ないでしょうし、調教師の方も競馬場に行って不在ということもあるのでしょうけど、新鮮な感覚でした。まあ、この日から乗ります、と事前に言っていたわけでもないので、驚かれることが多かったですよ。
──乗った感触としてはまだまだ進展はなさそうですね。
そうですね。レースについては、まだハッキリとした目標は決めていないことは事実です。
──先週や今週のレースでは、天皇賞・春(G1)やかしわ記念などのビッグレースも行われました。観戦された印象はどうでしょうか。
天皇賞はやっぱりレースを見ていて、去年のことを思い出しましたね。悔しさがブワッとフラッシュバックするような感じで……。
レースはスティッフェリオが一時、勝つのかと思いましたが、注目していたフィエールマンが差し切る辺り、流石ですね。観ていて届かないんじゃないかと思うようなところにいましたからね。他には、キセキがゲートを出られるかどうか、という課題もあったと思いましたが、無事出てくれましたね。道中から動いていく形になったことについては、色々考えられていた中の一つの作戦なのかなとも思いましたが。
自分が最近乗せてもらった馬でいえば、シルヴァンシャーは休み明けだったことが響いたんじゃないでしょうか。ディープ産駒にしてはジワジワ伸びるタイプですし、条件自体はそう悪くないイメージはありましたからね。
かしわ記念は地方馬も少なく、正直寂しい頭数でしたね。実績上位だった2頭が大きく崩れる意外な結果でしたが、モズアスコットは地方競馬の砂が合わなかったのか、ルヴァンスレーヴは休み明けだったこともあるのでしょうね。その中でワイドファラオは気持ちよく、いいペースで運べての逃げ切り。フェブラリーSではハイペースを作る形になってしまったわけですし、条件次第で結果がガラっと変わるのも競馬らしく思いました。
──自分の意見では、当欄でお馴染みのサンライズノヴァは苦しい条件だったと思います。どうですか?
僕もよく乗せていただいたサンライズノヴァは南部杯こそ勝っていますけど、コーナー4つでスローでもありましたし、乾いた馬場ですからね。ちょっと厳しいんじゃないかと感じていました。
──先週のその他のレースでは、ミュージアムヒルがここのところ復調気配です。
ブリンカーを最近着けたことが良かったのでしょうかね。僕が乗せてもらった頃もまだ走れそうな雰囲気はあったので、噛み合ってきているんじゃないかと思います。
──日曜福島6Rに出走していたパーディシャーの母はエバーブロッサムでしたよ。
それは知らなかったですね。半兄のドリームリッチには乗せていただいていましたが、またお母さんとタイプが違うイメージでしたね。
──さて、トレセンにも通われることになり、ここのところの日々で特に取り組まれていることはありますか?
休みの間にコーヒーを淹れるようになりましたね。それは言ったか…。最近は、体のことばかりを考えていますね。今週は金曜、日曜、水曜とトレセンに行くようにもなりましたし、土曜を除いては1日置きに上半身と下半身のトレーニングをこなしている状況ですが、けっこうキツイ内容をこなしてはいます。
体の使い方も「気づき」があったので、すぐに反映するのは無理ですが、それがまた実戦で乗った時に無意識に反映できるようになればと思います。ただ、もっと日頃から意識を高い人ならば、きっともっと早く気づいていることなのでしょうね。僕の年代では遅いんですけど、やることに関しては、遅かろうがトライすべきなので、変わっていけばいいと思います。体の使い方一つで、他の動作にも色々変化がでてくるので。ここで力を入れると、こうなるんだなとか、色々面白いですよ。まあ、馬に乗ると、練習やトレーニング通りにいかないものですけどね。
──レースに復帰したら、すぐに変化を求めるのではなく、長い目で客観的にもみさせてもらえれば、レースの見方も面白くなりそうですね。今週はここまでですが、ありがとうございました!
ありがとうございます。
※次回は5月15日(金)に更新予定です!
※当コーナーは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点に基づき、電話にて取材を行っております
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。