'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月16日時点1567勝
再コンビに感謝と成長を実感 サトノフラッグとセントライト記念へ
2020/9/18(金)
ご存知の通り、昨秋から今年5月まで戦線離脱。クラシックの大半を棒に振る形となってしまった戸崎騎手だが、療養期間でも注目していた一頭が新馬戦で一度だけコンビを組んだサトノフラッグ。新馬こそ結果を出せなかったものの、一度使えば変わるという手応えを感じており、その後の活躍は見立て通り、むしろそれ以上だったかもしれない。今週はセントライト記念に挑むタイミングで再度の騎乗が実現。陣営の期待に応える結果を残すことができるか。力の入る一戦となりそうだ。
以前とは何もかもが違う サトノフラッグの追い切りに騎乗
——今週末は3日間開催となり、中山、中京でのローズS、中山での騎乗となりますね。一番の注目どころではセントライト記念(G2)のサトノフラッグかと思います。先週、今週と追い切りにも乗られたそうですね。
僕としては新馬以来、乗せていただくことになりましたが、ガラっと変わっていましたね。いい走りをしていましたし、1週前より今週の方が上がっている感覚もありましたし、楽しみな一戦だと感じています。
——新馬と今を比較するのも難しいところですが、客観的にレースも見られていたと思います。どんな部分が変わってきましたか。
何もかも違いますね。フットワークの素軽さ、筋肉の柔らかみといいますか、気性面、反応の良さ、前進気勢……かなりの違いを感じました。
——東京では高速決着、中山では重馬場の弥生賞で結果を出したように、ここまで多様な馬場に対応してきました。血統的にも、フットワーク的にも長く脚を使えるイメージはありますが、中山芝2200mという舞台をどう感じますか。
むしろ東京よりいいんじゃないですかね。この馬のお姉さん(バラダガール)にも乗っていましたが、そんなイメージがあります。
——ただ、G1での2戦は力を出し切れている走りには見えなかったですね。
そこは国枝先生もそう感じていたようです。もっとやれていいという手応えはあったようなので。ただ、当時は一度使った方が良くなる感覚はありましたが、新馬では僕も結果を出せていない中で、また乗せていただけることに感謝しています。オーナー、先生ら関係者には感謝していますし、結果で応えたいですね。
——改めて3日間開催初日、土曜から伺っていくと土曜7Rのデルマクリスタル、汐留特別のヤシャマルと継続騎乗になりますね。
デルマクリスタルは怪我から初めて勝たせていただいた馬で、思い出深い存在。その時に上にいっても通用する感覚はあったので、ここでもやってくれるんじゃないでしょうか。ヤシャマルの前走は逃げる形になりましたが、どんな競馬でもできそうなタイプですね。
——ローズS(G2)のシャレードは新潟で勝利。1勝クラスを勝ったばかりで相手関係は強化されます。
前走はいい伸びをみせてくれましたが、パワーを感じる内容。日曜は雨が降るんじゃないかという予報もあるようですが、馬場が多少渋る分には克服してくれそうですね。相手関係ももちろん課題ですが、コース形態が変わるのでその辺りもポイントになりそうですね。
——月曜の中山では3Rのウエスタンエポナ、4Rのバジオウと新馬に続く騎乗です。
ウエスタンエポナの新馬は幼さが残るようなところがあったので、そこが上手に走ってくれればいいですね。前回は大外枠のロスもありましたからね。バジオウは追い切りに乗りました。初戦よりも良くなってはいますね。テンションが上がってきている分は気になるところですけど、コース替わりはむしろ良さそう。いい勝負を期待したいです。
——7Rのスパークオブライフは東京、福島に続く騎乗。10Rのモクレレは久々の実戦ですね。
スパークオブライフは乗りやすさがセールスポイント。競馬が上手なので上手く組み立てたいですね。モクレレは力のある馬だけに、早く勝てればと思います。
中山開幕週は2勝で関東リーディングも10傑入り
——先週の中山では2勝という結果。デクレアラーとアドマイヤハレーはいずれも内から立ち回っての差し切りでしたね。
デクレアラーはスタートが決まってくれたことでいい位置で運べましたね。リズム良く運べましたし、上手くいったと思います。アドマイヤハレーは新馬戦の映像をみると、あれだけ変わってくるとは意外でしたね。返し馬から気持ちが入っていましたし、レースでも行きっぷりが良かったほど。これなら長い距離じゃなくても対応できたんじゃないかと思います。
——京成杯AHのアルーシャは結果的に前残りの流れでしたね。
枠も良く、本来ならある程度の位置は取りたかったですね。ゲートは出てくれたけのですが、その後に置かれるように後ろからに。最後はのびのびと脚を伸ばしてくれたように調子は良かったのかと思います。この馬に関しては僕としては終いに懸ける形が合っていると思うので、またどこかで展開がハマってくれればチャンスは有ると思います。
——最後の直線は気持ちが途絶えてもおかしくはないくらいに挟まれていましたね。
両サイドから挟まれるような形。それでもひるまなかったですし、逆に跳ね返すくらいの気持ちをみせてくれました。
——紫苑ステークスのスカイグルーヴはどうだったでしょうか。
戦前は折り合いがポイントになるかと思っていました。ただ、むしろ大人しいくらいでリズムよく運べたほど。本来はハナに行くくらいの考えでしたが、ゲートを出てから前進気勢を欠いたくらいで逆に落ち着き過ぎていましたね。もう少し行きっぷりがあるかと思っていました。
——ジャパンスウェプトとは久々のコンビでしたね。
新馬の頃から乗せていただいた際に気性面の難しさを心配していましたが、やっぱり危惧していた方に出てしまっていますね。最後も追い出してから気持ちよく走っているというより、ズブいわけではないものの、走ろうとしていない感覚でしたね。
——サトノワールドは勝ち馬が抜けてはいましたが、どうだったでしょうか。
全体的に直線ではムキになるところがありますね。外から被されそうにながらも盛り返してはいるのですが、もう少し力通りに走れればこのクラスは勝てると思います。
——マイネルアルケミーは惜しい結果が続きます。
前のポジションで、とは思っていましたが、終始右に行くところがありました。最後はしっかり伸びてくれましたし、どこかでチャンスは巡ってくるはずです。
——今週は土曜が復帰後、最多タイとなる9鞍の騎乗ですが、連続騎乗が多いですね。体調面はどうでしょうか。
いい感じですよ。感覚も繊細さが増したように思いますし、感じられるものが増えてきて楽しさも湧いてきていますね。
——秋はG1戦線も近づいてくるところ。今回、特に人気になりそうなサトノフラッグはG1出走可能な賞金もありますし、引き続き騎乗できれば今から楽しみなところですね。
僕も今から楽しみにはしています。そのためにも、まずは今回頑張りたいですね。
——また次週もよろしくお願いします。
お願いします!
※次回は9月25日(金)に更新予定です
※当コーナーは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点に基づき、電話で取材を行っております
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。