'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月16日時点1567勝
歴史的一戦のジャパンカップはミッキースワローと初コンビ!
2020/11/27(金)
3日間開催は東京・阪神を往復する形で転戦した戸崎騎手。残念ながら重賞制覇とはならなかったが、いずれも目処の立つ内容で終えられたよう。他にも約一年ぶりに浦和競馬場での騎乗や、栗東トレセンにも赴くなど秋を迎え話題は豊富。その中で今週はジャパンCにミッキースワローと挑むことに。3強対決として注目を集める最中、一矢報いることができるか注目だ。
マイルCSは外枠・スローで納得の騎乗も「相手が強かった」
――まず先週、ヴァンドギャルドで挑んだマイルCS(G1)ですけど、道中の位置などを見ていると、これは上手くいった雰囲気を受けたのですが、結果は6着。いかがだったでしょうか。
(藤原英昭)先生との作戦もありながら、正直、良い感じで思い通りにいけたなと思ったのですが、やはり直線で離されてしまったのは、相手が強かった感覚は受けました。
――直線でも一瞬これは差し切るかと思ったのですが、やっぱり相手が強かったですね。この馬にとっては上がりも速かったように思えました。
緩急がつきましたし、4コーナーの直線の入り口のところで一気にペースが速くなりましたからね……。
――当日の気配一つの課題だったと思います。そこはいかがでしたか。
聞いていたよりも大人しかったですね。大人しいというよりも落ち着いていましたかね。多少そういうところはあったものの、もっと煩くなるかなと思っていたんですけどね。ただ、ゲートはうるさかったですよ。タイミング良く出ましたけど、あの辺はまだ課題になると思いますけどね。
――東京スポーツ杯2歳S(G3)で2着のタイトルホルダーは、先週伺った時は木曜追い切り。その時点では映像が観られなかったのですが、追い切りを観たら動きが良いなと思うと同時に、僕が想像していた通り、意外と行きっ振りも良い感じがしました。少頭数だけに折り合い面は大丈夫かなと気になっていました。
追い切りでもそう思いましたか?追い切りではそんなにムキになることなく、リラックスして良い感じで消化出来たのですが、スタッフも気の入りやすいところを懸念して、単走でやったり、ユッタリと作ってくれて、攻め馬はとても上手くいっていたと思いますね。ただ、レースに向けての返し馬から気の入りが全然違いましたね。
――返し馬は中継でも一度映ったのですが、やっぱりそういうところがあると。
もう少しフワッと抜けてくれるともっと幅が広がるんですけどね。返し馬からそういう感じだったので、やっぱりレースに行ってからも、真面目でムキになっているところはありましたね。
――それは、初戦の競馬、ペースを見るとそういう気配はなかなか感じられないものかと思いますが、そういう可能性は初戦の段階から感じられる部分はあったのですか。
ありましたね。性格も真面目で、そういう反応やセンスの良さを凄く感じていたので、2戦目がどうかというところがありましたので。
――実際にレースに行っての内容や着差はどう感じられましたか。
道中はもう少しリラックスさせたかったことが一番ですね。スタートも速いですし、二の脚もありますし、その中でリラックスさせることがなかなか難しかったのですが、それなりに我慢も利いていたし、最後もしっかり反応もして伸びてくれていたので、本当に力はあるとは感じました。
――現段階では次はホープフルSと。あとは、今後に向けて精神面がどう上手く治まっていくかというところですかね。肉体的な部分での伸びしろはどうでしょう。
やっぱり新馬の時は緩さもあって、という段階でしたけど、筋肉の質感だったりがしっかりとしたところも窺えました。それは追い切りの時から感じていましたけど、成長したと実感しましたね。
――先週の東京の芝の感触、状態はいかがでしたか。
もう内はキツいですね。(BコースからCコースへ)コース替わりでしたけど、4~5頭分くらいは良くないかもしれないですね。極力内は避けたいところですが、やっぱり手応えがあるとないとでは違います。あれば外へ持ち出せますけどね。直線を迎えた時に手応えがないと、外まで持っていくというのもなかなか出来ない部分もあるので。
全体トップクラスの土日17鞍に騎乗
――今週の話題を伺いたいのですが、今週は頭数が多いですし、浅く広く伺いたいところ。(2歳未勝利の)バジオウは新馬、未勝利と惜しい結果が続きます。
2戦目で馬も良くなっていましたけども、右回りが上手じゃないと感じましたし、左回りで使いたかったですね。今回は東京ということでバランス良く走ってくれれば良いなと思いますね。
――新馬のスマイルフェアリーとタイセイスラッガーは追い切りに乗られたそうですね。
スマイルフェアリーはユッタリとしたフットワークで、追い切りなんかでは動けていたので、どんなレースになるか楽しみですね。タイセイスラッガーはまだ緩さなんかもあるのですが、良い動きはしていましたけどね。
――(3歳以上1勝クラスの)コトブキテティスは昇級してからは初めての騎乗となりますね。
未勝利でも強い勝ち方をしてくれた馬で、この先も走ってくれるという感触はありました。重賞(紫苑S10着)は残念でしたけど、その後は(3着と)しっかりと走れているので、今回もチャンスじゃないでしょうか。距離も大丈夫だと思いますし、強いて言えば、東京よりも中山の方が良いところは気になりますね。
――(3歳以上2勝クラスの)ランドルーラー、カトレアSのレモンポップとゴドルフィンの馬が続きます。特にレモンポップは新馬戦で負かした相手が次戦で圧勝という点からも気になるところです。
ランドルーラーは最後の脚を活かした競馬になるのかなと思うのですが、しっかり伸びてこられる馬ですね。レモンポップは新馬が強かったですし、素質はあると思うので。今回に関しては(1600mという)距離がポイントになると思うので、そこを上手に走ってくれれば、幅も広がってくるので楽しみですね。
――キャピタルSのピースワンパラディは久々のコンビになりますね。
2400mの青葉賞で乗せていただいたのですが、あの時も上手に走って、最後も伸びてはきていたのですが、本来はもう少し短いところなのかなという意識もありました。今回1600mで乗せてもらえるのは非常に楽しみだなと思いますね。ここのところ使っているところが短い距離なのでね。最後の脚もしっかりしたものを持っているので、どういう感じになるというか、走れているので、楽しみな馬ですね。
――(3歳以上2勝クラスの)フィルムフェストも久々の騎乗ですね。
なかなか結果が出ていない中、札幌で強い勝ち方をしたので、やはり能力はあるんだなと思いました。そこを上手く引き出せれば良いなと思っていますけどね。
――日曜日の(2歳未勝利の)アオイカツマは前走が2戦目なりに良くなりましたね。
前走は馬体にも余裕があったので、一度使って良くなっていると思います。このクラスは卒業出来る馬なので、結果が欲しいですね。
――(3歳以上1勝クラスの)チョーズンワンは2走前に乗られて、前走は違うジョッキーで距離延長して上位争いしていましたね。
1600mでも最後の脚は凄く良くて、内容も良かったので距離がダメということもないでしょうし、前走も2100m(2着)で走っているので、幅広く走れるタイプ感じですが、能力はあると思いますね。
――ベゴニア賞のフェアリーリングは、新馬の時計は目立ちませんが、勝ち方が良かったですね。
まだ非力な部分はあるのですが、全身を使った良いフットワークはしているので、このクラスでも楽しみだなと思っていますね。
――オリエンタル賞のモクレレは前走が惜しい結果でした。
この馬も能力はある馬なので、もう少しの着差なので、しっかりと勝ち切りたいなと思いますね。
――ちなみに、先週妹(アカイトリノムスメ)が勝ちましたけど、阪神ジュベナイルフィリーズは使わないそうですね。未勝利と赤松賞の勝ち時計が丸っきりお母さん(アパパネ)と同じ (未勝利・1分35秒9、赤松賞・1分34秒5)という珍事でしたね。
えっ……。それはすごいですね。
――走っているのを観ていても、馬体は随分小柄というか、体のサイズ以上に走ってくるなと思いました。
そうなんですよね。まだ非力なんです。正直、今回阪神ジュベナイルフィリーズを抜いたのは、この馬としては良い方向に向くんじゃないかと思いますけどね。
――シャングリラ賞のオーバーディリバーは前回がすごい内容でしたね。
見ての通り、能力は足りると思います。前走はアンラッキーで、隣の馬にぶつかって躓いてしまったので、毎回あることではないと思うので、そこは気を付けて、結果を求めて騎乗したいですね。
――ミッキースワローで挑むジャパンC(G1)の枠順(4枠7番)がもう出ましたね。
ラッキーセブンなので(笑)、レースでもラッキーになるようになると良いなと思いますね。
――先週の追い切りに乗られての感触はいかがでしたか。
本当に無駄のない走りというか、スッキリとした良いフットワークで、良い馬だなとは感じましたね。2年前のジャパンCでも5着と走れているので、条件も悪いとは思わないので、相手は好メンバーですけど、挑戦者の身として頑張りたいと思いますね。どちらかといえば、結果が出ているように中山の方がいいのかもしれませんけどね。
――一応、追い切りでは併せ馬だったと思いますけど、追い切り前に何か(菊沢)先生からプランとかこう乗ってくれというのはあったのですか。
いや、特に細かい指示はありませんでした。感触を確かめるというか、別に目一杯やることもないし、ということは言われましたね。
復帰から約半年 50勝到達も目前
――たくさん話題に出来る時はしていこうと思いますが、今週は話題にしていただく頭数が多いですね。先週のレース回顧では、未勝利のシュルードアイズは新馬戦が見どころのある内容でした。
能力はありますね。上の馬にも乗せてもらっていた血統でしたね。まだ緩さもあったりで器用さには欠けますが、外目からゆったりと走らせたかったですね。ただ、中山に替わっても全く問題ないと思います。
――アルトヴォラーレは2戦目の精神面と距離延長が裏目だったでしょうか。
そうですね。ペースも速くなってしまいましたし、真面目な性格が裏目に出てしまいました。
――西宮Sのヒートオンビートの能力はあると思いましたが、多頭数でスローになりそうなメンバー構成が気になっていました。
もったいない競馬になってしまい、消化不良のレースになってしまいました。もう少し道があれば良かったです。
――新馬のネビーイームは僅差の結果でしたね。
大きな馬でまだまだ緩さがありますね。気持ちは入っていましたが、モノ見をしながら走ってました。もう少ししっかりしてくれば勝つチャンスは巡ってくるはずです。
――ジェットエンブレムで勝たれましたね。
返し馬から雰囲気が良かったですし、思ったような競馬はできました。先頭に立ってからも遊ぶようなところがあり、上にいってもやれるんじゃないでしょうか。
――奥多摩Sのビッククインバイオは前走とは違うペースに持ち込めましたね。
馬場が良かったのもこの馬には良かったですし、いいペースでいけましたね。
――ヴィアメントはハミの執り方に問題があるとのことで、実戦ではどうだったでしょうか。
やっぱりもう少しとっていってくれた方がレースはしやすいですね。追い切りだけでなく、実戦でも感じました。
――ブルメンダールは押し切ったと思ったところから、勝ち馬の強襲に遭う惜しい内容でしたね。
乗りやすくてセンスの良さも感じました。まだ緩さはありますし、追ってからがもうひと息ですが、いい素質のある馬だと思います。
――浦和記念のデルマルーヴルはどうだったでしょうか。
戦前は気にしていなかったのですが、小回りで独特の浦和。緩急もついたペースでリズム良く、馬が気持ちよく走れなかったですね。枠は気にならなかったんですけどね。
――ケガをした浦和競馬場、思うところはありましたか?
いや~特に無いですよ。また帰ってこられてよかったなとは思いますけどね。相変わらず独特な競馬場の雰囲気だなと思いましたね。
――浦和競馬場の「独特さ」は色々あると思います。どんなポイントですか?
やっぱりお客さんとの距離の近さですね。大きな声は出せないでしょうけど、声援もいただきましたね。
――来週からまた開催替わり。チャンピオンズC(G1)はチュウワウィザードに騎乗とのこと。次週もよろしくお願いします!
よろしくお願いします!
※次回は12月4日(金)に更新予定です
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。