'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月16日時点1567勝
メモリアルV&サウジC騎乗など吉報続く年末 朝日杯FSは重賞連勝なるか
2020/12/18(金)
12月に入りチュウワウィザードと久々のG1制覇、そこからサウジCへの騎乗依頼。先週はJRA通算1100勝達成。暮れにかけて明るいニュースが増えてきた戸崎騎手だが、残り2週となった中央開催でもGⅠにはいずれも騎乗予定。特に今週の朝日杯FS、次週のホープフルSは実績上位馬と挑む。勢いままに再びG1勝利となるか、注目だ。
朝日杯FSは大久保厩舎・ショックアクションに騎乗
――先週はJRA通算1100勝を達成。100単位という意味では節目の勝利になったと思いますが、いかがだったでしょうか。
区切りということで、たくさん有力馬に乗せていただいて、コツコツとやってきた結果なので、嬉しく思いますし、またたくさんの人に感謝したいですね。
――100ごとがめでたいかはともかく何度も同じことになっちゃいますけど、ケガを経験された中で一年年弱でまた100勝を達成できていることは素晴らしいです。
そうですね。今年中にできたのは良かったと思いますね。
――1100勝も割と見慣れた勝負服で達成ということで、そこも良かったかですかね。
(サンライズ)ノヴァでお世話になっていますからね。
――今週ですが、土曜日が中山ということで、(2歳未勝利の)アルトヴォラーレはいかがでしょうか。
新馬の時に良い走りをしてくれて、前走はちょっと距離を延ばして、その分、苦しくなったのもあるし、ペースも厳しかったことも応えちゃいましたね。やはり距離が短い方が良い印象だったので、この条件(ダート1200m)になるのは良いと見ています。
――ダートさえこなされば、条件的にはすごく合う感じはするのですが、適性に関してはいかがですか。
もともとダートでも、とは思っていたので、こなしてくれるんじゃないかと思いますけどね。
――同じく(2歳未勝利の)シュアーヴアリアも乗られたことのある馬ですね。
ずっと惜しい競馬ができていますし、力的には十分足りるので、あとは1着が欲しいところ。狙っていきたいですね。
――(2歳新馬の)レープハフトは追い切りに乗られたそうですね。
背中の感じは良いんですけど、まだちょっと緩さもありますね。その緩さがレースに行ってどう出るか。ギアの上がり方もまだ体が沈めない感じも気になります。
――ひいらぎ賞のアラビアンナイトは未勝利戦を制して今度は新馬と違い、中山でもマイルの距離になります。
前走も良い勝ち方をしてくれたので、どんなレースをしてくれるか楽しみですね。新馬の時も中山で走れていますし、距離も問題ないと思いますね。
――ターコイズS(G3)のビッククインバイオは中山で乗られていないと思いますけど、中山になると成績がいつもあまり良くないというのがどうなのかと思いますが、いかがでしょうか。
先行力もありますし、それを活かせれば良いなと思っていますね。東京で乗った感触で中山がダメではないので、あとは相手関係だったり、オープンに入っての力量差ですかね。
――日曜日ですと、(2歳未勝利の)ウインメイユールはショックアクションと同じ大久保厩舎。追い切りにも乗られたそうですね。
そんなに大きい馬ではないんですけど、芯がシッカリとした馬で、素軽いバネがあるような感じなので、良い走りをしてくれるんじゃないかと思います。
――朝日杯フューチュリティステークス(G1)のショックアクションは新潟2歳Sを制して、その後一頓挫があったものの、出走にこじつけました。
先週、栗東で騎乗しました。「1週前なのでしっかり動かしてほしい」という指示だったのですが、1週前追い切りもブランクを感じさせない動きができていました。脚部不安もあって前哨戦を使えなかったようですが、乗った印象では影響もなかったように思えますし、楽しみな一戦になりますね。乗りやすくて特に不安な点などはよくも悪くもといったら語弊がありそうですが、感じませんし、あとは拮抗したメンバーだと思うので上手く導けたらと思います。
――今年はホープフルSを含め、昨年のコントレイルやサリオスほど突出した存在はいないようにも感じます。
完成度は高いし、競馬も作れるタイプですね。
――阪神の芝は内側が荒れています。枠順は気になるところではありますか。
どうなんだろう。分かんないですね。この馬に関してはこうじゃなくちゃいけないというこだわりはないですが。
――坂に関してはこなせる、むしろ良いのかと思います。
ええ、問題ないと思いますね。
――「完成度が高い」ということですけど、新潟の時と今回で、成長という部分では多少なりともあったりはするのでしょうか。
力は付いていると思いますよ。
久々の海外GⅠ騎乗へ チュウワウィザードとサウジCに挑戦!
――先週のレースについてもお願いします。カペラS(G3)のフォーテは砂を被り始めたら後退していったように見えました。
そうですね。新馬だけ乗ったことがありましたが、その時のイメージからもその危険性は心の中ではあったので。ただ、馬自体は体もシッカリしていましたし、変わってきた部分、成長は感じましたね。
――今まではちょっとスピード任せというか、勝ちに行った競馬をしていたので、そこが慣れてくれば、ですかね。
ずっと逃げて勝っている馬なので、そこはやっぱりメンバーも上がって、簡単にいくものではなかったですね。今後色々覚えていってくれれば、勉強していけばまた良いんじゃないかと思います。
――(常総Sで5着の)レッドアルマーダは、最後盛り返している辺りはジワジワ脚を使うタイプなのでしょうか。
トモの緩さもあったりして、道中あまり流していけないタイプですかね。速い上がりよりは上がりが掛かってくれた方がいいですね。
――(チバテレ杯4着の)フルデプスリーダーはいかがだったでしょうか。
スタートでちょっと出負けして、位置取りの分でしょうね。もう少し前の方で競馬したかったです。
――(3歳以上1勝クラス5着の)クリノプレミアムは観ていて敗因が不可解なところがありました。
一度使ったことで前向きな部分が出て、そこは良かったんですけど、ハミに乗るようにずっとぶら下がるような感じでしたね。少し起きて走れるような感じになれば良いものの、結局そこでエネルギーを消耗していますね。
――(2歳1勝クラス1着の)ラペルーズは強い勝ち方だったと感じました。
フットワークも良かったですし、少しユッタリとして走るところはあるんですけど、感じの良い馬ですね。道中も手応えもありましたし、ペースも流れているんじゃないかと思ったのでじっくり行けました。
――どちらかと言えば、乾いたダートの方が良いタイプですか。
乾いて前残りはちょっと嫌ですけどね。そこはどちらでも大丈夫じゃないかと思います。
――(師走S11着の)パンサラッサはやっぱり芝の方が良いのでしょうか。
何してもダートの方が良ければ、もう少し結果が良かったと思うので、芝ですかね。馬はすごく素軽くて、背中も良いので、ダートもダメじゃないだろうなと思って返し馬を終えたんですけど、結果を見ると……という感触はありますかね。
――1100勝達成となった(アクアラインS1着の)サンライズカラマは改めていかがでしょうか。
すごく乗りやすかったですし、どんな競馬でもできそうな感じで、強みと思いますし、大きい馬なので、あまりゴチャつくのは良くない感じでしたね。今回は展開も良くて、スムーズに走れました。
――(2歳未勝利1着の)テンウォークライはダート替わりで結果を出しましたね。
やっぱりダートの方が合う印象もありました。ただ、外に張っちゃって修正するのが大変なくらいでしたけど、その中で勝てるのですから、力はまだまだ通用しそうですね。
――(2歳未勝利3着の)フーラリは、次は1200の芝といった条件が合う感じになりそうですか。
随分気持ちは乗ってきちゃっている感じはしますかね。
――既に伺ってはいましたが、チュウワウィザードのサウジCに関しては乗りに行くということでよろしいでしょうか?
ただ、こういう状況なので、まだまだどうなるかはちょっと分からないですけど、その方向ではいますけどね。
――余程の事態じゃない限り、行くということですね。
そうですね。
――すごいですね。サウジCが今後どういう路線になっていくか分かりませんけど、日本人ジョッキーとしては初めて乗ることになりますね。
そうなんですね。
――実現すれば日本人としてはサウジカップ初騎乗になりますね。
本当に、今の状況でなかなか日本ジョッキーが海外で乗れることは少ないと思うので、こういうチャンスをいただけたというのは非常にありがたいことですし、感謝したいと思いますね。
――これまでかなり頑張ってこられているので、帰国後の隔離を強いられてもそれはそれで僕としては良いお休みになるんじゃないかと、正直思ったところもあったんですけどね。
隔離は嫌ですけどね。良い休みにもならないですよ。やっぱり乗れれば乗りたいですよ。
――ちょっと2カ月では情勢が変わるとは思えないですけど、その時にちょっとでも海外渡航者の制限が緩んでいたら良いですけどね。
2週間とは言わず、10日にしてもらいたいなと思っているんですけどね。そうすれば1週間だけで済むので、ね。
――どんなメンバーが集まってくるか分からないですけど、ちょっと今から楽しみですね。最悪回避になった場合でも、フェブラリーSに行ける日程ですからね。
そうですね。
――何かと年末に掛けて、良いニュースが増えてきたのかムードがありますね。
ちょっとあり過ぎというか、幸せですかね。
――やっぱりそこまで苦労された部分が徐々に反映されてきているのかもしれないですね。
周りがコロナで大変な中、本当に申し訳ないというか、感謝の気持ちがありますね。
――次週は有馬記念(ミッキースワロー)、ホープフルS(タイトルホルダー)とありますが、最終週もよろしくお願いします!
ありがとうございます。
※次回は12月25日(金)に更新予定です
※当コーナーは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点に基づき、電話で取材を行っております
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。